ベトナム旅行3日目午後

昼のレストランでは衝撃のエレファントフィッシュの丸揚げが出た。象の耳に似ているから この名前がついたらしい。正面から見るとピラニアみたいに歯がギザギザしていて恐い。 鱗がトゲのようにささくれだっていて、凶悪な風貌。それが野菜に支えられてきれいに 盛り付けられている。写真を撮ったり様々な角度から見てわーわー言ってたら、ウェイター さんが箸でバキバキ解体してさらに激しい光景。ライスペーパーに人参、パクチー、空心菜、 何かの葉っぱ、スターフルーツの輪切りを少々、その上にほぐした身を置いて、くるくるっと 巻いてくれた。ニョクマムと唐辛子のたれにつけていただく。う、ライスペーパーが固くて しょっぱい。噛み切るのに一苦労。注目のエレファントフィッシュはというと見かけの割に 淡白な味の、普通の白身魚だった。隣に座っていたNさんが
「ひれも食べれるのかなぁ」
とぺきっと折って食べていたのでつられて食べてみたら、香ばしくてなかなか。すると ウェイターさんが「ゴーン(おいしいよ)」とうなずきながらばきばき折ってNさんのお皿に こんもり盛ってきた。うける。

茹でた手長海老は塩とレモン汁につけて。揚げたもち米とイカのフライ(胡麻の衣)は 日本人にもお馴染みの味。空心菜のニンニク炒めは定番のようだ。ビーフンのラーメンは 素朴でおいしい。ラーメンといっても麺の上に野菜スープをかけてしばらく置いてから 食べるものだったけど。デザートにランブータンとバナナが出て一生懸命食べた。おなか いっぱい。飲み物代:ミネラルウォーター1万5000VND。

お手洗いに行ったら2つある個室のうち奥のが鍵がかからないらしく、後から来た白人の おばさんに親切心から言ってあげたんだけどシカトされて悲しくなる。昨日、ベンタイン 市場を歩いているときにもベトナム人の売り子に対してふんぞり返って値切ってる白人の おばさんを見たばかり。全ての西洋人がそうではないかもしれないけど、アジア人に対して 見下すような態度を取られると腹が立つよ。


バスに戻って、再びホーチミン市へ戻る。バスの中は暑かったようで、ペンがビニール ポーチの中で爆発してた。インクを拭くのにウェットティッシュを4枚も使ったけどきれいに 落ち切らなかった。耐水性だから、ちょっと手も汚れちゃった。

サウさんの話は少し深刻なものが多かった。まず徴兵制についての話。18〜25歳の間の 2年間、男女問わず徴兵される(ただし今は平和なので女性は名前のみ登録する)。3ヶ月間は ずっと訓練で、一旦帰れても次は半年間〜1年間ずっと従軍しなければいけない。月給は 1000円程度で、食事は国の補助があるらしい。

ベトナム人の海外旅行事情。日本、カナダ、アメリカ、オーストラリアには行きにくいと いうこと。日本に行こうとすれば8000ドルのデポジットと、200万円相当以上の貯金がある 日本人の保証人が必要らしい。さらに1週間のツアーでも28万円くらいするんだって。教師や 役人の月給が1万円弱というから、どのくらい大変なことかわかる。あたしの今回のツアー 代は往復飛行機代、空港とホテル間の送迎、3泊のホテル代、2日間フルの観光を合わせて 82000円。物価の違いがあるにしろ、とにかく経済の差を感じた。

女性の立場が弱いという話。人口の52%を占めていながら、生きるのは大変なのだそう。 再婚しづらく、バツイチになると売春や水商売で暮らして行かなければならない。男性は 何度でも結婚できるらしい。ベトナムについての本を読んだとき、戦争の影響で女性の 地位も向上したと書いてあったから男女平等なのかと思っていたけどそうでもないようだ。 その国の人が言うんだから。

ベトちゃんドクちゃんが一時期入院していたという国立の産婦人科病院の前も通った。 枯葉剤の影響で生まれた500万人の奇形児のうち、3分の1はもう死んでしまったという。 政府から何の援助もしてもらえないそうだ。たまに街中で見かける車椅子の絵葉書売りは、 もしかしたら…と思った。


バスを降りてシクロ体験。車椅子と自転車の後ろ半分みたいな作りで、乗るときは前半分が 宙に浮くから落ち着かない。クッションが効いているのでお尻が痛くなることはない。荷物を ひざに載せていたら、運転手さんが肩を叩いてバッグの取っ手を車輪の枠に紐で括りつけ、 右手をその上に添えるようにしてくれた。もしや荷物が道路に放り出されるくらい激しい のかと心配になった。鎌倉を走っている人力車のように周りに壁があるならいいけど、身 一つであの交通量の道路に乗り出すんだ…。サウさんはバイクタクシーに乗って先に目的地に 着いてる、と言った。あまりスピードは出さないみたいだけど、そっちの方が怖そう。例に よってノーヘルだし、前の運転手の腰に腕を回すとか掴まるではなく座席を後ろ手に握って いる。

走り出して5分くらいずっと緊張していた。道路の舗装の関係でガタタタタ、と揺れたり する。街中のカフェでくつろいでいる人たちや果物売りのおばさんがこっちを見るので 恥ずかしい。何せ現地では歩くのが辛いお年寄りが乗るものらしいから。しかも一挙に11台の 大群だし。道路の真ん中を走るのは珍しい体験だから、1枚写真を撮った。

「Butterfly」というお店で20分自由時間がもらえた。ここもかわいいー。奥から アオザイを着た、あたしくらいの年恰好の女の子たちが4人、日本語でわやわやしゃべり ながら出て来た。サウさんは
「どこ行っても日本人だらけです」
と笑っていた。

そして、ドンコイ通り散策時間。18h40まで2時間自由行動だ。アオザイツアーデスクと いう、日本人スタッフ常駐のツアーデスクで待ち合わせ。ディナーはあたしの泊まっている レジェンドホテル内のレストランなので、休みたい人はそちらで集合してもいいことに なった。一旦荷物を置きにホテルへバスを出してもらう。そのときサウさん経由で翌日の オプションツアーを申し込んだ。2人以上という所を、倍払うから1人で参加させて欲しいと 相談してみたらOKだった。所要時間4時間のツアーを午前と午後で2つ申し込んだので、 全部で60ドル。予期せぬ出費ではあるけど1日1人で行動するのは疲れるし危ない。 ツアーならガイドさんと車つきだからいいかなぁと思った。

再びドンコイ通りに戻って来て、まず日本語がやけに上手いベトナム人オーナーのお店 KOKOROに入った。20分くらいはいたかなぁ。ずっと見てても飽きない。手刺繍とミシン 刺繍の見分け方や、シルク地の等級などを丁寧に教えてもらい、オーナーお勧めのバッグを 3つ、友達へのお土産用の花の刺繍の素敵なブックカバーを6枚買う。自分用に買ったパッチ ワーク風のバッグにはベロア地が入っていて、これは日本やヨーロッパのお客さん向けに デザインしたんだって。ママにはビーズ刺繍が持ち手までびっしりついた豪華な、でも 普段使いできるような落ち着いた色合いのショルダーバッグと、パーティーにも行けそうな 小さなマチなしのハンドバッグ。10%割引のクーポンありで、全部で80ドル。いきなり 飛ばしている。

漆器のお皿や木工品を売っているギャラリーで、お箸を5セット買う。寄木、螺鈿、石 などの面白い細工がされている木のお箸が、草で編んだケースに入っている。レジに持って 行ったら店のおばさんが何とスルメを食べていた。恐る恐るお箸を置いたら、かったるそうに 電卓を打って見せてきた。
"May I pay with Vietnamese Dong?"
と訊いたら、無言で換算してくれた。観光客に媚びないベトナム人もいいなぁ、この国でも スルメ食べるんだなぁと変に感心してお店を出た。

KITOという陶器・ 雑貨屋さんでバッチャン焼きのおちょこをパパ用に1.5ドルで買った。日本の100均にも最近 ベトナム陶器が出て来たけど、出所がしっかりしていて品質の良い物は底の部分に名前が 入っていると聞いた。これはKITOと入っている。

アオザイツアーデスクではインターネットが使えたので、ママにメールを打った。 これで今夜は電話しなくてもいいかなぁと。冷やした蓮茶を出してくれてほっと一息つく ことができた。時間になって集合してみたらあたしが一番買い込んでいた。恥ずかしながら まだ買い足りない!!


レジェンドホテル内の「ホアライ」というベトナム料理レストランへ。ホアライは ジャスミンの花という意味で、とてもいい香りのフラワーレイをかけてもらった。これまで とは違って1組ずつテーブルにつくことになり、Iさん夫婦とご一緒させていただくことに なった。恐縮してたら「遠慮しないのー」と言われた。季節のフルーツのミルクシェイクを 頼んだら、いちごだった。お子様気分だわ。

目の前のステージでは伝統舞踊と音楽の生演奏が繰り広げられた。肌も露わな踊り子 さんが…とドキドキしながら写真に撮ったら実は肌色のタイツ着てたことがわかったり、 おなかの前にある小鼓みたいなのは何だろう、叩くのかなぁと思っていたら最後まで触れも しなかったり、踊りは面白かった。楽器はハンモック型の木琴や、ギターのようなもの、 パーカッション、手で音を変える一弦の不思議な楽器など、これも楽しかった。ツアーに 伝統楽器体験演奏みたいなのがあったら良かったのにな。

料理はたまごスープ、海老のすり身をサトウキビに巻いて焼いたはんぺんみたいなの、 野菜サラダ、さくさくのソフトシェルクラブ、ウナギに似た味のお魚、空心菜炒め、 チャーハンが出た(ノートに書いてないから記憶が怪しい)。デザートはフルーツの盛り 合わせかバインフランから選べた。このプリンはカラメルソースと砕いたピーナッツを かけて、ミントの葉をのせてある。目にもおいしかった。最後に飲み物代を2回も間違って 請求されたので、ちょっと気分を害したけど。

お会計を済ませた頃サウさんが現れて、集合。この11人で集合するのはこれで最後。 明日から自由行動だからだ。あたしのように5日間の予定で来ている人は、明日でベトナムを 発つ。3組の人は6日間だった。皆さんに「ありがとうございました」とお礼を言った。 Kさんの奥さんが
「頑張っていい卒論書いてね」
と言ってくれたので、嬉しくなった。


エレベーターの中でIさん夫妻と明朝の待ち合わせ時間を決めて、またディナーのときの 飲み物代を奢ってもらったお礼を言った。部屋に帰ってお風呂にゆっくり入り、NHKを 見ながらお金の計算などをした。朝が早いから早く寝ようと思って、日記を書かなかった。

Nov.1, 2004


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