渡辺真由子 ”「創作子どもポルノ」と子どもの人権 ”と国会会議録


 これは、第186回国会において両院の法務委員会が児ポ法を審議した記録を抜き出し、渡辺真由子 ”「創作子どもポルノ」と子どもの人権 ”(勁草書房2018年)第2章が引用した部分を示し、論文を自称するものとしてありえない処理を明らかにし、併せて同書が引用していない重要部分を明示するものである。
 引用部にはこの赤っぽい背景色を、引用せず趣旨が渡辺によって書かれている場所はこの緑っぽく赤系より暗い背景色を、〔〕内の補足的記述にはこの黄色っぽい背景色を、その他の重要箇所には赤い下線をそれぞれ附した。
 このファイルの意味等は、詳細頁の関係箇所を参照されたい。また、いきなりそちらへは飛ばず、この件入口を確認されるようお勧めする。

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186回国会衆議院法務委員会21号会議録2014年6月4日

○江崎委員長 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
 本件につきまして、ふくだ峰之君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会及び公明党の四派共同提案により、お手元に配付いたしております児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。遠山清彦君。
○遠山委員 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案の起草案につきまして、提案者を代表して、その趣旨及び内容について御説明申し上げます。
 児童ポルノの所持、提供等の行為については、これが真に悪質な児童に対する性的虐待行為であるという基本的認識や、児童ポルノが広く流通している現状に対して有効な規制を及ぼさなければならないとの思いが、これまでも与野党の垣根を越えて共有されてきたところでありまして、平成十一年の法律制定時、また、平成十六年の改正時と、いずれも超党派の議員立法により、累次、規制が強化されてまいりました。
 そして、前回、平成十六年の改正法附則に、法律の施行状況や児童の権利の擁護に関する国際的動向等を踏まえて三年を目途として検討すべき旨の見直し条項が置かれたことから、各党において、児童ポルノ等に関する規制のあり方全般について真摯な議論がなされ、平成二十年六月には自公案が、平成二十一年三月には民主党案がそれぞれ提出されました。その後の平成二十一年七月には、自民党、公明党、そして民主党の議員による実務者会合において修正協議が行われ、大枠で合意を見ることとなったものの、残念ながら超党派の議員立法として提出するには至りませんでした。
 その後も、自民党及び公明党の共同で、また民主党から、それぞれ単純所持罪等の処罰に係る改正案が提出されましたが、いずれも衆議院解散により廃案となり、昨年の五月に自民党、公明党、日本維新の会が共同で提出した改正案についても本委員会において審議がなされていないという状況でありました。
 このような経緯に加えまして、前回の改正から十年が経過をし、この間のインターネットの発達により児童ポルノ被害に遭う児童の数がふえ続けていること、児童ポルノ単純所持罪を設けるべきとの国際社会の強い要請があること等に鑑みまして、今国会において、本委員会の理事会のもとに、委員会を構成する各会派の理事会メンバーから成る児童ポルノ禁止法改正に関する実務者協議会が設置されることになりました。
 同協議会におきましては、昨年、自民党、公明党、日本維新の会により提出された改正案に加え、平成二十一年の実務者会合において大枠で合意を見た案を中心に、現在の目で見て真に児童の権利の保護に必要な規制を加えるとの観点から、三回にわたり真摯かつ熱心な議論が行われた結果、内容において合意に至りました。
 このような実務者協議会のメンバーの努力に加え、本委員会理事を初め、平成二十一年実務者会合メンバーを含めた各党関係議員の御協力の成果が、本日、ここに起草案として結実した次第であります。
 次に、本起草案の内容について御説明申し上げます。
 第一に、児童ポルノの定義及びその所持に係る罰則に関し、改正を行っております。
 その一は、児童ポルノの定義を改正しております。すなわち、いわゆる三号ポルノについて、その定義をより明確にするため、「殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されている」との要件を付加しながら、その「性的な部位」については「性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部」をいうものといたしました。
 その二は、児童買春、児童ポルノの所持その他児童に対する性的搾取及び性的虐待に係る行為の一般的な禁止規定を、総則において設けることといたしております。
 その三は、自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノの所持について、罰則を設けております。すなわち、「自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する」こととしております。
 また、所持罪の新設に当たり、施行前から所持している児童ポルノについて罰則の適用前に適切に廃棄等の措置を講じていただけるよう、所持罪は改正法施行の日から一年間は適用しないものとしております。
 その他、児童ポルノの製造の罪について盗撮の場合にも処罰範囲を拡大するほか、適用上の注意規定を明確化するとともに、その具体化を図っております。
 第二に、心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する制度を充実及び強化しております。すなわち、心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置を講ずる主体として、厚生労働省、法務省、都道府県警察、児童相談所、福祉事務所を例示し、措置を講ずる主体及び責任を明確化することとしております。これに加えて、社会保障審議会及び犯罪被害者等施策推進会議は、相互に連携して、児童買春や児童ポルノに係る行為により心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の実施状況等について、当該児童の保護に関する専門的な知識経験を有する者の知見を活用しつつ、定期的に検証及び評価を行うものとすること等としております。
 第三に、インターネットの利用に係る事業者の努力規定を設けております。すなわち、インターネットの利用に係る事業者は、捜査機関への協力、管理権限に基づく情報送信防止措置その他インターネットを利用した児童ポルノの所持、提供等の行為の防止に資するための措置を講ずるよう努めるものとしております。
 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。
 何とぞ、御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
 以上です。(拍手)

○江崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。土屋正忠委員。
○土屋(正)委員 ただいま御紹介いただきました土屋でございます。
 上程された委員長提案について質疑を行いたいと思いますが、けさ、新聞の各紙を見ると、極めて衝撃的なニュースが流れておりました。平成十七年十二月に吉田有希ちゃんが今市市で殺害をされ、犯人が捕まらなかったわけでありますが、昨日逮捕されたという記事が新聞各紙に載っております。
 まだ詳細は明らかではありませんが、新聞報道によれば、勝又容疑者の所有するパソコンから多数の女児のビデオ画像が見つかり、一部について、被害者有希ちゃんのものですと供述している、こういうことであります。ビデオには幼児性愛や猟奇的な画像なども含まれていたと報道されております。
 まことに痛ましいことであり、吉田有希ちゃんに心から御冥福をお祈りすると同時に、御家族にもお悔やみの言葉を申し上げたいと思います。しかし、それと同時に、このことはあたかも、きょうポルノ単純所持について議論をされているこのことが、しっかりやれよ、ちゃんとやってくださいよということを暗示しているような気がいたすわけであります。改めて、きょうの会議の重大性を感ずる次第でございます。
 私は、児童ポルノが犯罪に結びつくことについて関心を持ったのは、今から約二十年近く前でございました。詳細については記憶をしておりませんが、EUの各国において、ベルギー、オランダ、ドイツ、フランスなどにおいてマフィアが一斉に逮捕されたわけであります。児童ポルノを作成し、販売したという罪であります。そのときの記事に載っていたことで極めて衝撃を受けたのは、マフィアの逮捕された幹部は、俺たちが悪いんじゃない、買うやつがいるからだ、需要があるから供給しているんだ、こういう言葉が載っておりました。盗人たけだけしいと思いますが、しかし、ある面で真実だと思いました。
 私は、残念ながら、そのときは武蔵野市長という立場でしたので、立法府におりませんでしたが、機会があればこのことをただし、発言し、しっかりとした基準を世の中につくっていきたいと考えたことを昨日のように思い出すわけであります。
 また、今回の件に関して言えば、私は、委員長提案の前の、自民、公明、日本維新の会三党の提案した修正原案に賛成者として名前を連ねた立場であります。でありますから、しかも、自民、公明、日本維新の会三党には賛成者がいるわけでございますから、その附則にあった児童ポルノ漫画が今回の委員長提案の中には残念ながら削除されている、このことについて、改めて、修正原案に賛成した立場でお尋ねしたいと思います。
 動議提出者に、その理由を簡潔にお答えいただきたいと存じます。
○ふくだ委員 御指摘の検討規定に対しましては、関係団体を中心に、創作者の萎縮を招くおそれがあるといった反対の主張があったことも事実でございます。〔引用に改行なし〕
 こういった意見を踏まえて、今回の実務者協議会におきましては、検討規定の内容について改めて検討を行いまして、児童ポルノの禁止法は実在の児童の保護を目的としたものであるから、単純所持については罰則化を図るけれども、漫画、アニメ、CG等に関する検討規定につきましては、関係団体等からの懸念を踏まえまして、今般の改正案から削除するという結論に至ったところであります。〔引用に改行なし〕
 児童の将来に対する責任を私たちが果たすために、受給側への処罰、つまり単純所持を厳罰化した本改正案を早期に成立させることを優先させていただきました。

○土屋(正)委員 ありがとうございました。
 それでは、次の質問に移りたいと存じます。
 資料一をごらんいただきたいと存じます。お手元にお配りをした資料一は、平成二十二年五月四日の読売新聞の朝刊の記事であります。
 この「親は知らない PART5 女児襲う漫画手つかず」という記事をごらんいただきたいと存じます。
 この記事によると、「見ず知らずの男たちに女児が襲われ、やがて父親も暴行に加わる――。 二〇〇四年に市販された漫画のストーリーだ。描いた漫画家の男(四十二)はその二年後、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(提供)の容疑で逮捕された。同法違反や強制わいせつなどの容疑で〇六年から〇七年にかけて四十一人が宮城・埼玉両県警に摘発された「女児愛好団」の中心人物とされる。 愛好団の中には、彼の作品の登場人物さながらの行為に及んでいたメンバーもいる。」以下省略しますが、「自分が女児を襲った際の映像をこの漫画家に提供した男もいた。 別の元メンバーは、この漫画家の作風を「構図もストーリーもリアルで群を抜いていた」と振り返る。」。
 さて、次のセンテンスに、「「日本から問題のある漫画が世界中に出回っている」。〇八年十一月にブラジルで開かれた「第三回児童の性的搾取に反対する世界会議」。日本は参加者から「児童の性的な姿態や虐待を描いたアニメや漫画を規制していない」と名指しで批判された。」以下ずっと続きますが、こういう記事でございます。
 この記事について、こういう漫画が表現の自由とか創作活動を萎縮させるとかという理由で野放しになっている、こういうことについて、野放しになっていいのかどうか、法の元締めであります谷垣法務大臣に御見解をお聞かせいただきたいと思います。

○谷垣国務大臣 法務大臣としてお答えいたしますと、今、これはコミックスですね、それを表現の自由の名のもとに放置していいのかどうかというお尋ねでございます。
 私は、こういうもの〔引用風の文中で「こういうもの」を「コミックス」に置換〕の中には、子供の性をもてあそぶ極めて好ましくないものがある一方で、表現の自由ということは十分に尊重しなければならない、まことに難しい問題だと御答弁するのが法務大臣としての立場でございます。
 しかし、現行の児童ポルノ法は、これは議員立法でできておりますが、この議員立法を基本設計した人物は私でございます。これを国会に提案いたしましたときは、私は閣僚をやっておりましたので、提案者にはなっておりませんが、要するに、なぜ、実在の子供を写した写真は処罰できるけれどもコミックスが処罰できない構造になっているのかというのは、当時、日本発の児童ポルノが蔓延しているじゃないか、日本はきちっと取り締まりをすべきだという国際的な世論、強いものがございました。
 先ほどお引きになった三回目のブラジルの会議がございましたが、二回目は日本で行われたと記憶しております。私はその会議にも出席をいたしました。それから、お名前を出していいか悪いかわかりませんが、スウェーデンの女王陛下から、直接、日本はこのようなことを取り締まれないのかという御要請を受けたことが私ございます。
 そういうことを受けまして、各党派で協議をいたしました。これを本来取り締まるなら、コミックスのようなものを取り締まるのは、刑法百七十五条のわいせつ図画罪が、本来、刑法の立法者はそういうことを想定していたと思います。〔引用に改行なし〕
 しかし、当時私が検討いたしますと、当時のリーディングケースは、いわゆるチャタレー事件の最高裁判決でございましたが、性の自由化というような風潮もあったんだと思います。表現の自由ということもそれは強く言われておりまして、刑法百七十五条では児童ポルノのようなものは取り締まるのはなかなか難しいぞという結論になりまして、そうすると、百七十五条〔引用では数字を一七五条と表記、以下同様。〕は、善良な性風俗を守る、つまり社会の法益を守るという立場で立法されておりますが、それではなかなか難しい、それならば、実在の子供、こういうものが健全に育っていく中で、自分が写った写真のようなものが世間に出回っていたら、これは名誉毀損でもあるし、子供の健全な成長を害するということにもなるだろう。だから、実在の子供の権利を守る、つまり、社会的法益を守るという立法ではなくて個人的法益を守る罪として考えて、この立法をつくったわけでございます。

 したがいまして、コミックスは罰せられない。コミックスのようなものも、相当ある意味では弊害をまき散らすものがあると当時私どもは考えておりましたから、それについては、実在の個人の写真の方をまずこの立法でやって、後日の議論に任せようということで今日まで来たということでございます。〔引用に改行なし〕
 私は、法務大臣としてお答えする枠を破って御答弁申し上げたのは、やはり課題としてこういうものは残っているという気持ちを、私、一政治家として強く持っている、このことは申し上げたいと思います。

○土屋(正)委員 過去の経緯について私もよく存じ上げませんでしたが、谷垣法務大臣が当時衆議院議員としてこの法律の骨格をおつくりになった、しかも、その骨格をおつくりになるに当たって、個々個人の写真あるいは映像という、個人の人権救済と、これがもたらす社会的害悪に対する、それを守るという法益、両方とも見据えつつ、まず前者の基本的人権を守るという方向を先へ進めた、こういうお話で、まことに情理を尽くした御答弁をありがとうございました。
 立法者にもお尋ねしようと思いましたが、谷垣大臣がああいうお答えをされましたので割愛させていただきますが、今御指摘のあった刑法第百七十五条、「わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、」というこの百七十五条は、「チャタレイ夫人の恋人」の最高裁もありましたが、同時に、少なくとも、実在しなくても、創作物でも、それが社会に与える害毒が多い場合には取り締まりの対象になる、これを発動するかどうか、どこまで発動できるかどうかは別にして、こういう法の構成になっているんだろうと思います。
 でありますから、これが極端な、児童の、ひどい、いわゆるコミックというと何やらやわらかく聞こえますけれども、相当露骨な性的虐待を伴う漫画みたいなものも、創作物だからといってその罪を逃れられない、その社会的害悪を逃れることはできない、私はこのように申し上げておきますし、また谷垣大臣も内心そうお考えになっているのではなかろうか、こんなふうに拝察いたします。
 さて、三番目の質問でございますが、資料二をごらんいただきたいと存じます。
 資料二は、熊本三歳女児殺害事件であります。けさの新聞が、今のところ実在する女児の映像しか映していないのに対して、これは児童ポルノ漫画が犯罪に結びついたという案件であります。
 この案件を簡単に申し上げますと、早口で申し上げますが、平成二十三年三月三日、熊本市内のショッピングセンター内で、女児をトイレに連れ込んで強姦しようと考えていたところ、被害女児、当時三歳を見つけ、強姦は難しいもののわいせつ行為はできると考えて、同児をトイレ内に連れ込み、着衣の上から胸をなでた、同児が大声で叫び暴れるなどし、また同児を捜す声などが聞こえたために、犯行の発覚を恐れるために、同児の首を左手で絞めて殺害した。殺人並びに強制わいせつ致死に問われたものでございます。そして死体遺棄にも問われたわけでありますが、これの捜査過程の中で、この被告人宅から多数のわいせつ漫画が発見されたということになるわけであります。わかりやすく言えばシミュレーションをしていた、こんなふうにも考えられるわけであります。
 こういうことについて立法者はどのようにお考えか、簡潔にお答えいただきます。
○ふくだ委員 お答え申し上げます。
 土屋委員が、児童ポルノ漫画が犯罪を誘引し、児童に大きな被害をもたらしているというお考えは私も認識させていただきました。
 児童が犯罪に巻き込まれたり、権利を侵害された状況が長く続いたり、いつかみずからの児童ポルノが表に出てくるかもしれないという不安を持ち続けることをよしとする国会議員は多分誰もいないと思います。まさに土屋委員はその筆頭だと認識させていただきました。
 資料二及び三に関する資料を読ませていただきましたが、当然、あってはならない大変に悲惨な事件であると思います。
 ただ、今回の事件はまさに個別具体的な事件の一例でございますので、一般論として全てがどうかということはお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、一言で言うならば、土屋委員と同様に、二度と起きてほしくない犯罪でありますし、犯人に対して私も憤りを感ずるところでございます。
○土屋(正)委員 ありがとうございます。
 こういう共通の認識を持って、まず、この法律を成立させた後、さらに、いわゆる先ほど谷垣大臣がおっしゃったような個人の人権救済はもちろんのこと、そこから始まって、どのような社会に対する悪影響があり、それを法律として規制する意味があるのかということについて、今後とも、ぜひ私も一国会議員として考えていきたいと思いますし、また、立法者もぜひお願いいたしたいと思います。
 同時に、これは国家秩序の根本に関することでございますから、法務省としても、こういうことについて御議論し、研究していただくようお願いをいたしたいと思います。
 結びに、意見として申し上げたいと思います。
 私は、漫画あるいはコミック、呼び方はいろいろありますが、非常に可能性に富んだ、すばらしい創作活動だと思います。
 私たちの年齢になると、例えば「鉄腕アトム」、手塚治虫。手塚治虫のシリーズは全部読みました、最後の「火の鳥」まで、復活の問題まで。それから、非常に温かい感じでは「サザエさん」。「ドラえもん」もありましたね。それから「ゴルゴ13」などは麻生副総理も愛読者ですが、私はその次ぐらいじゃなかろうかと思っております。それから、「まことちゃん」、「漂流教室」。ちばてつやさんが描いた「あしたのジョー」、最後に白くなって燃え尽きるというシーンは今でも覚えていますよ、全力を尽くした後。そのほか、「課長島耕作」、「沈黙の艦隊」、これは私の友人が描いた本であります。「ワンピース」。最近読んだ本の中には、「テルマエ・ロマエ」という、ローマ時代と現代とを行ったり来たりするとても楽しいあれがあります。
 私は、創作物というのは、まさに言論の自由とか表現の自由の中で出てくるものというのは、人々に勇気を与えたり希望を与えたり、それから失意の底に陥っている人を励ましたり、こういうことこそ創作活動の意味であって、先ほどの資料一に出てくるような、気持ち悪くて読む気にもならないような劣悪な表現をもってやっているものを保護する必要はない
 よく自粛するという話がありますけれども、こういうのは自粛してもらわなければ困るんです。創作活動が萎縮するというけれども、豊かなところでどんどん創作活動をやってもらうと同時に、こういうことについては萎縮してもらいたい。
 心ある漫画家なら必ずこのことはわかってくれるはずだということを申し上げ、頑張って、これからも国会議員としてお互いに責任を果たしていくことをお誓いして、私の質問を終わります。
 きょうは、どうもありがとうございました。
○江崎委員長 次に、橋本岳委員。
○橋本(岳)委員 おはようございます。自由民主党の橋本岳でございます。
 土屋委員に続きまして、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして質疑をさせていただきます。
 まず、この法案は、今回、提案者の皆様方が大変な御苦労をされて取りまとめていただきました。また、先ほど谷垣大臣から、その骨格をつくったのは私だという話がございましたけれども、ここに至るまで、さまざまな議員の方、もちろん、議員に限りません、いろいろな方々が力を合わせて、ここまでこの法律をつくってきていただいた、そしてまた、きょうこういう機会が持たれたということは、本当にそのいろいろな方々の協力があっての、努力があってのことでございます。
 まずもって、ここまでつくっていただいた御提案者の皆様方に心から敬意と感謝を申し上げたい、このように思っております。お疲れさまでございました。まだ終わっていませんから、成立するまで頑張りましょうということであります。
 ついては、せっかく御提案をいただきましたので、その改正点について幾つか、クリアにするという観点で質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 私からは、いわゆる三号ポルノと呼ばれているところについて、今回の改正で詳しくなりました。改正前は、「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」、こういうことになっておりましたが、今回の案では、「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」、こうなっております。ここら辺の言葉遣い、ちょっと一つ一つ尋ねていきたいと思います。
 まず、「殊更に」という言葉がございます。単に写っているじゃだめよ、殊さらに写っていないとだめよということなんだと思いますが、どういう意味でこの言葉が入っているか、教えてください。
○ふくだ委員 橋本議員にお答え申し上げます。
 「殊更に」とは、一般的には、合理的な理由なく、わざわざとか、わざととかという意味と解されるところでございますが、これは、当該画像の内容が性欲の興奮または刺激に向けられていると評価されるものかどうか判断するために加えさせていただきました。
 その判断は、性的な部位が描写されているのか、あるいは児童の性的な部位の描写が画像全体に占める割合、例えば時間だったり枚数だったりですね、そうしたものの客観的要素に基づいてなされるというものと考えております。
○橋本(岳)委員 そういうことで、多少制限をかけたということなんだろうなというふうに理解をいたします。
 続けまして、「児童の性的な部位」というふうな表現になっております。その後、括弧書きで少し具体的に書いておりますが、改めて、どのような意味でこの文言があるか、教えてください。
○ふくだ委員 具体的には、まず、衣服の全部または一部を着けない児童の姿態のうち、児童の性器等、例えば性器あるいは肛門または乳首が露出をしているというものを真に可罰的なコアの要素と捉えつつ、性器等のみでは処罰範囲が狭過ぎて、例えば裸の児童を後方から撮影して性器等が写っていない場合まで対象外となってしまうことから、性器の周辺、例えば臀部だとか胸部などを含む児童の性的な部位にまで対象を今回広げさせていただいたということで御理解いただきたいと思います。
○橋本(岳)委員 もう一点御確認をします。
 「露出され又は強調されている」ということになっております。「強調され」という言葉の意味を教えてください。
○ふくだ委員 露出のみでは、性的な部位が隠れてはいるけれども強調、誇張されている場合などが含まれないということになってしまいますので、性的な部位の強調も対象とすることにさせていただきました。
 具体的にどのような場合が強調に当たるかについては、描写の方法を含めた写真及び映像等の全体からこれは判断されるものであると思っております。例えば、着衣の上から撮影した場合や、ぼかしが入っている場合や、児童が意識的に股や胸を強調するポーズをとっていない場合であっても、性器等やその周辺部を大きく描写したり長時間描写しているかどうか、着衣の一部をめくって該当する部分を描写しているかどうかなどの諸要素を総合的に勘案しまして、性的な部位を強調していると判断されることはあり得るというふうに考えております。
○橋本(岳)委員 ありがとうございました。
 要は、こういう文言を追加するということで、単に、性欲を興奮させ刺激をするものというのは余り客観的とは言えないような条文にもともとなっていたわけですけれども、もう少し判断基準を追加して、わかりやすく、判断しやすくしたということなんだろうというふうに理解をしておりますが、そういう理解でいいか、確認してください。
○ふくだ委員 今回の二条三項三号の改正は、当該画像の内容が性欲の興奮または刺激に向けられているかを、性的な部位が描写されているか、児童の性的な部位の描写が画像全体に占める割合の客観的要素に基づいて判断をするために加えさせていただいたものでございます。このような判断は、従前、性欲を興奮させまたは刺激するものの該当性判断の一要素として行われてきたところでございますけれども、今回の改正は、このような判断を行うことを明記することにおきまして、三号ポルノの定義の明確化を図るという趣旨でございました。
 これによりまして、例えば、水浴びをしている裸の幼児の自然な姿を親が成長記録のために撮影をしたようなケースとか、あるいは、その画像の客観的な状況から内容が性欲の興奮または刺激に向けられていると評価されるものではない限り、殊さらに露出されまたは強調されているものとは言えずに、処罰の対象外になるということでございます。
 このように、「殊更に」との文言を追加することにより、画像の客観的な状況から三号ポルノの該当性判断を行うとの趣旨が明確になり、処罰の範囲をより明確にすることができるというふうに考えておるところでございます。
○橋本(岳)委員 ありがとうございました。
 まさにおっしゃるとおりで、処罰を加えるからには、きちんとその基準というのは明確でなければならないという原則的なことがあるわけでございまして、そういう意味で、今回の改正の中でそうしたことができたということはいいことだと思いますし、逆に言うと、では、子供の肌が写ったものは一切いけないのかというと、別にそんなことでもないよということもあるということで、ある意味で、子供の健全育成に害のある、まさに児童ポルノと呼ばれるような類いのものをいかにしてクリアに定義をするかということで、今回の提案者の皆様方、御議論された方々の御苦労があるんだろうなということを拝察する次第であります。
 では、続きまして、これは先ほど土屋議員も御発言になりましたけれども、漫画、アニメ、CG等について私なりの思いを申し上げさせていただきたいと思います。
 さっき土屋先生が挙げられたような事例が決して繰り返されるべきではない、私もそのように思います。私も子供の親、娘を持つ親でございますから、当然、自分の子供たちがそんな目に遭ったらどうなるか、どう思うかということは痛いほどわかるつもりでありますし、また、世の中には、目を背けたくなるような写真にとどまらず漫画、アニメ、CG等がある、あるいはインターネット等を検索すればそんなものは幾らでも出てくるということも承知をしておりますので、これをそのままにするのはどうなのかという問題意識自身、私も共有をするものであります。
 ただ、これは法律をつくる立法者の私なりの矜持の一つとして、やはり、きちんと検証されない仮説によって法律、規制をつくるべきではないと私個人としては思っております。
 さきに撤回された改正案の附則ではこのように書いてありました。「政府は、漫画、アニメーション、コンピュータを利用して作成された映像、外見上児童の姿態であると認められる児童以外の者の姿態を描写した写真等であって児童ポルノに類するものと児童の権利を侵害する行為との関連性に関する調査研究を推進するとともに、」云々、こういうことになっておりました。
 したがいまして、条文上、いいのか悪いのかという価値判断はしないのだ、ただ、関係性があるのかないのか調べるのだ、調査研究をするのだ、それは政府がやるのだ、こういう規定になっておりました。

 だということは、土屋議員がおっしゃりたかったことも僕はよくわかります。そうした犯罪をした人の家宅捜索をしてみたら、そうした児童ポルノの類いの映像、漫画等がいっぱいあった。あることでしょう、きっと。だから、そういうことがケースとして当然あったということは十分に承知をしております。そして、もしかしたら犯人の人がそういうものを見て犯行をしたいと思ったということもあり得ることだろうと十分に思います。
 その上で、しかしながら、では、その漫画、アニメ等を規制すれば児童に対する権利の侵害は減るのか。これが減るということが立証されれば、それは規制されるべきだという話になるわけですけれども、その因果関係を立証するというのは実はそんな容易なことではないと個人的に思っております。
 私も議員になる前は調査屋さんでしたので、社会調査屋さんの一人として、仮に私が調査研究をしろと言われたときにどうするのかということを考えてみますと、まず、児童の権利を侵害する行為をすること、あるいはそうしたことをした人、する人と、児童ポルノ等の漫画等が相関関係があるということがまず前提として必要です。
 そこの調査というのはまずすごく難しいですね。なぜか。要するに、犯罪をした人は家宅捜索されますから、そこに何冊漫画があったとか、こういうポルノがあったとかいうことがわかります。だけれども、それを幾ら積み重ねても相関関係の立証はできません。というのは、要するに、犯罪をしない人、ごく一般の健全な方がどのぐらいそういう類いのポルノ、漫画を持っているのかということと比較をして差がないと相関関係の立証になりません。
 要するに、犯罪をする人のことに、当然、それが新聞報道になりますから、こういうことがあった、ああいうことがあった、みんなそういう印象を持ちます。それは間違いなくそういう人もいると思います。だけれども、もしかしたら、もしかしたらというか、僕は十分に蓋然性のあることだと思いますが、別段犯罪を犯さない健全な社会人として生活をしている人だって、もしかしたらそういう本を個人で楽しんでいる人というのはいるかもしれません。別に、本屋で売っているものです、成人であれば買えます。それを個人で自分の部屋で眺めて楽しんでいる分には、何ら法規制をする社会的な害悪のある行為ではないということでありますから。
 では、その人たちに対してどうやって、あなたは何冊ポルノの類いの漫画を持っているんですかと。これは家宅捜索するわけにいきません。アンケートして、調査票にそんな質問を書いたって、真面目に答えるかどうかわからない。センシティブクエスチョンという言い方をしますけれども、その回答が信頼性がどのぐらいあるかということが疑われる。
 仮にここで、ふくだ峰之先生、何冊持っていますかといって、もしかしたら、正直にお答えになるかどうか、それはわかりませんけれども、いや、ふくだ先生はきっと正直にお答えになると思いますが、ただ、それが本当に正しいかどうか検証するすべが誰にもない。
 したがいまして、相関関係があるかどうかの調査そのものがまず非常に困難だということがあります。
 そして、仮に相関関係があった、犯罪を犯した人の方が例えば児童ポルノの漫画をたくさん持っているということが立証されたとします。だけれども、今度は、これが因果関係なのか相関関係か、そこの鑑別がまた一苦労があります。
 要は、単に、相関があるね、だけれども、実は別の原因があって、その原因によって漫画も好きだったし犯罪もしてしまうことになったということであれば、児童ポルノの類いの漫画を仮に規制して世の中からなくしましたということをしても、犯罪は減らないということになります。そうかもしれません。わかりません。
 ですから、そうしたことをどうやって排除するのかということは、では、時系列的に見ていこうとか、いろいろ社会科学のさまざまな方法論の中で検討をしていかなければなりませんけれども、なかなか容易なことではございません。きちんと慎重な手続に沿って結論を出していかなければならない、まさにセンシティブな問題だというふうに思っております。
 したがって、私は、自民党内の議論のときに、どういう調査を考えているんですかということを質問しました。そのときには、ちょっと正確ではないかもしれませんけれども、まだ具体的な想定はしていませんとか、その類いの返事が返ってきました。だから、私は、この項目は削除すべきだということを党内で申し上げました。
 自然科学において、あるものが存在をするかどうか立証するというのは、一例存在すれば、STAP細胞はあると言っていることが、今のところ、本当かどうか立証されていませんが、誰かが一例実験に成功すれば、あるということになる。それが自然科学です。
 だけれども、社会科学は実験ができない。その中でどうやってやるか。そのために、調査とか観察とかいろいろな手段があるのであって、そうしたことの厳密な手順を踏まないと、統計というものは容易に、統計はうそをつくという、まさにそういったタイトルの本がありますけれども、つくる人も読む人も、きちんと、もっともらしい統計だとかそういうものは疑って考えないといけないと私は経験的に思っていますし、それをつくるという立場になったとしても、非常に慎重なことが必要なのであって、それで初めて結論が出せることだと思っています。
 結論が出て、それで規制をしようというんだったら、僕は、すごく、もうもろ手を挙げて賛成をします。だけれども、現行では、そういう調査をしようということを法律に書くというのが最初の提案でございましたから。
 日本の社会というのは、パトカーがうちの前にとまっているだけでも、あのうち、何かあったの、こう言われるようなところがございます。法律そのものにいい悪いということの価値判断は書いていないとしても、法律に書いてあるということで、創作者が萎縮するかどうかはそれは創作者の問題ですけれども、少なくとも周りの人はそう思うということになるわけであって、私は、規制というものをするのであれば、きちんと社会科学的に裏づけのある有効な規制をしなければならない、そうではない規制というのは、国会として、立法府として、そうした規制というのはつくるべきではないと思っておりますので、今回、そういうことは外すべきだということを申し上げました。今申し上げた点についてどう思うか。
 それからもう一つ、あわせて質問をします。
 ただ、今までるるこの規制を外すべきだという話をしましたが、そうかといって、では、ずっと放置しておいていいのかと言われると、私も、必ずしもそれについて、全く、もう放置したままでいいんだと断言をする自信もございません、正直言って。本当に目を覆うようなものもあるということも認識をしております。土屋委員のおっしゃりたかったこともよくわかります。
 だとすれば、それは今後、別に法律に書かなくたって調査検討はすればいいんだから、されるべきかもしれませんし、自主規制という言葉が出ましたけれども、そうしたこともあるべきかもしれません。その辺もあわせて、提案者から一言いただきたいと思います。
○ふくだ委員 橋本委員の御指摘は、まさに実務者協議における基本的な考え方と同じ方向を向いておると思います。〔引用では改行なし〕
 本改正案は、あくまで実在する児童の権利保護のためのものであって、仮説に基づく判断による立法は、似つかわしいとは思っておりません。一つの個別事件を一般論として判断するのではなくて、科学的に検証された際には、本改正案の対象である実在する児童の権利保護とは別の問題として取り扱う必要があるのではないかというふうに考えております。
 また、漫画、アニメ、CGを今回検討事項から外したからといって、何をやってもよいということでは決してないんだと思います。表現の自由は、民主主義国家の運営において最も大切な国民の権利であることは間違いありません。だからといって、何を表現してもよいということとは異なるんだろうと思います。〔引用では改行なし〕
 児童ポルノに類する創作物は、創作者あるいは関係団体等のまずは自主的な取り組みによって対応すべきものであるということを認識しておるところでございます。

〔以下から引用なし〕
○橋本(岳)委員 ありがとうございました。
 この法律によって児童の権利の侵害の被害が一件でも減ることを願って、質問を終わります。
○江崎委員長 次に、國重徹君。
○國重委員 おはようございます。公明党の國重徹です。
 本日は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきます。
 まず冒頭、本日の委員会には、児童ポルノの被害児童を初め子供の人権を守るために活動されてきて、また、我が党も何度も意見交換をさせていただき大変お世話になっております、日本ユニセフ協会のアグネス・チャン大使にもお越しいただいております。アグネス・チャン大使、御多用の中、本当にありがとうございます。
 それでは、質問に入らせていただきたいと思いますけれども、警察庁によりますと、二〇一三年の国内の児童ポルノ事件の検挙件数は千六百四十四件、被害児童は前年比二一・七%増の六百四十六人で、いずれも過去最高であります。
 私には五歳の娘がおりますけれども、その娘と同じ五歳のときから十一歳のころまで六年間、親戚のおじから性的虐待を受け、その様子を写真撮影されていた女性の証言がございます。日本ユニセフ協会のホームページに全文が公開されておりますけれども、その一部を抜粋し、読み上げさせていただきます。
 虐待が始まったころ、自分が何をされているのかわからず、おじの要求に笑顔で応えていました。おじの行為は年々エスカレートし、小学校に上がり性的な行為の意味がわかるようになったこともあり、私は虐待を拒否しようとしましたが、このことが明るみに出ればおまえは警察に捕まる、両親に捨てられると言われました。
 あの写真がどうなったのかを考えると恐ろしくて、中学生に上がってから、私はリストカットや自殺未遂を何度も繰り返しました。その後、インターネットの使い方を覚えてからは、ネット上に自分の写真がばらまかれていないかと、何かに取りつかれたようになって毎日探しました。そこで、日本人だけではなく、外国の子供たちが写っている児童ポルノを目にして、背筋が寒くなり、何度も嘔吐して泣きました。でも、自分の写真を探すことがやめられないのです。
 好きな人ができても、あの写真がある限りは、自分には絶対に結婚もできないし、子供を産むこともできないと考えています。今のように児童ポルノが簡単に手に入る世の中では、私はとても過去を忘れることはできません。自分の人生は終わってしまったように感じます。もし世の中を変える力のある人がいるのなら、どうか私を助けてください。
 この女性のように、子供のときに性的な虐待を受けて、しかも、その虐待の記録がインターネット等を通していつ世界じゅうにばらまかれるかもしれない恐怖にさいなまれている人たちがいます。この不安、恐怖は半永久的であります。地獄の苦しみを感じている人たちに、また傷ついた子供たちに寄り添えない政治であってはならない、私はそう思います。
 OECD加盟国三十四カ国の中で、児童ポルノの単純所持を処罰していないのは日本だけです。本改正案では、自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持した者、同様の目的でこれに係る電磁的記録を保管した者についての処罰が定められており、一日も早く成立させるべきだと考えます。
 他方で、捜査権限の濫用によって国民生活が脅かされるようなことがあってもなりません。しっかりとした法整備、運用のチェックが必要であります。
 そこで、以下、法文に基づきまして、具体的に質問をさせていただきます。
 先ほど橋本岳委員の方からも、児童ポルノの定義、触れられておりましたけれども、私も若干触れさせていただきます。
 本改正案の二条三項で、児童ポルノの定義が規定されております。二条三項の二号、三号には、これは現行法上も規定されておりますけれども、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」とありますけれども、この性欲を興奮させまたは刺激するものかどうかの判断は、誰を基準とするのでしょうか。刑事局長にお伺いいたします。
○林政府参考人 現行法の二条三項二号及び三号にいいます「性欲を興奮させ又は刺激するもの」といいますのは、これは一般人を基準に判断すべきものと解されていると承知しております。
○國重委員 ありがとうございます。
 今、性欲を興奮させまたは刺激するものかどうかは、一般人を基準に判断すると答弁をいただきましたけれども、なぜ一般人を基準に判断するのか、その理由について刑事局長にお伺いいたします。
○林政府参考人 一般人を基準に判断する理由でございますけれども、その理由を明らかにした裁判例の集積はまだ十分ではございません。そのため、法務当局として確たることは申し上げられないのでございますけれども、児童ポルノ禁止法の制定時には、提案者からその理由として、通常、構成要件に規定してあることは、一般通常人というものを基準としている旨の御答弁がございました。また、地裁レベルではありますけれども、その理由につきましては、法の一般原則からして、その名宛て人としての普通人または一般人を基準として判断するのが相当である、このような言及をする裁判例もあるものと承知しております。
○國重委員 ありがとうございました。法の一般原則等から理由を述べていただきました。
 では次に、児童ポルノの所持罪について、動議提出者にお伺いしたいと思います。
 児童ポルノの所持罪、七条一項について、「自己の性的好奇心を満たす目的」が要件とされておりますけれども、この目的を要件とした趣旨についてお伺いいたします。
○遠山委員 國重徹議員の御質問にお答えする前に、一言、私からも、本日傍聴をされておりますアグネス・チャン日本ユニセフ協会大使初め関係者の皆様が、六年前、それ以上前から、児童ポルノの規制、処罰について、国際社会の中で、児童を守ることについて不十分ではないかということで、さまざまな啓蒙活動をされてまいりました。我が党も大変な示唆を受けたわけでございますし、今回まとめさせていただいた起草案の中にも、皆様の努力が大きく反映をされております。そういう意味で心から敬意を表したいと思います。
 その上で、ただいま御質問をいただきました七条一項、「自己の性的好奇心を満たす目的」を要件とした趣旨でございますが、いわゆる単純所持と申しましても、さまざまなケースがあると想定されます。例えば、嫌がらせなどによりメールでそういったものを送りつけられた場合、あるいは、本人がネットサーフィンをしている間に、意図しないアクセスで児童ポルノが自分のコンピューターに入ってしまう場合、あるいは、パソコンがウイルスに感染をして勝手に児童ポルノをダウンロードした場合、また、インターネット上の掲示板に児童ポルノが掲載された場合における、掲示板の管理者やサーバーの管理者が、自分がつくったサイトにそれが投稿されてしまうことによって事実上持ってしまうという場合がございます。
 そういった場合、それらを処罰するというのは合理的ではないということでございますので、処罰範囲を合理的に限定するために、「自己の性的好奇心を満たす目的で、」というものをつけて、所持の対象を明確化したわけでございます。
 なお、この「自己の性的好奇心を満たす目的」という文言は、現行法でも、第二条第二項の児童買春の定義において用いられておりますので、解釈上確立をされております。
 また、所持の目的につきましては、所持の態様あるいは分量、それから所持している対象の内容等の客観的事情からの推認によって立証される必要がある、こういうことになっております。
 以上です。
○國重委員 詳しい答弁、ありがとうございました。
 ちょっと私の後の質問にもかぶってくるかと思いますけれども、一応、念のため質問をさせていただきます。
 先ほどの御答弁によりますと、自己の性的好奇心を満たす目的を児童ポルノ所持罪の要件にした趣旨は、処罰範囲を合理的に限定する点にあるという答弁でありましたけれども、先ほど冒頭聞きました児童ポルノの定義、これは、一般人の性欲を興奮させまたは刺激する児童ポルノをポルノということでした。
 そうしますと、一般人の性欲を興奮させまたは刺激する児童ポルノを、自己の性的好奇心を満たす目的を持たないで所持するケースは想定し得るのか、想定し得るとして、具体的にどのようなものが考えられるのか、これについて質問したいと思います。恐らく、先ほどの答弁の中にもいろいろな、嫌がらせメールとかが出てきましたけれども、そのようなケースでいいのかどうか、改めて確認をいたします。
○遠山委員 自己の性的好奇心を満たす目的を持たずに児童ポルノを所持するケースはあるかということですが、端的に答えれば、これはあり得ると思います。
 例えば、大学の研究者が研究目的で児童ポルノを、残念ながら、今回の改正案が成立しないと、児童ポルノを持っていること自体は違法化がまだされておりません。ですから、残念ながら、いろいろな形で流通をしているわけでございますから、今は所持することはさほど難しい状況にないわけでございます。そういう中で、例えば、研究目的でそれを所持するに至った場合。あるいは、マスコミの報道記者さんが取材の過程で、取材上の必要性から児童ポルノを所持するに至ったような場合ということもあり得るかと思いますので、それらは、自己の性的好奇心を満たす目的での所持ではないと認められた場合には、第七条一項の処罰規定は適用されないということでございます。
 もちろん、個別具体的なケースはいろいろあります。もしかしたらうそをついている可能性もあるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、先ほどの答弁でも申し上げましたように、所持の態様とか分量とか所持しているものの内容等から、客観的に、そういった目的を持って所持しているのか、していないのかということを判断するということになろうかと思います。
○國重委員 よくわかりました。
 次の質問に行きます。
 具体的な想定ケースはわかりましたけれども、ただ、自己の性的好奇心を満たす目的のような、個人の内心に踏み込むような主観的要件を課すことになれば、捜査機関による自白強要を誘発させることにならないかというような危惧の声もございます。
 これについて、今、遠山議員の方からも答弁がございました。さまざまな客観的な事情によってまた判断していくんだというようなことがありましたけれども、改めまして、自白強要を誘発することにならないか、これについて質問をいたします。
○遠山委員 お答え申し上げます。
 ただいまの点は大変重要な点だと思っております。自己の性的好奇心を満たす目的を持っていたのかどうかということは、これは主観的要素が大変強いということもございますし、個人の内心に踏み込むような要素があると、これは捜査機関による自白強要につながるのではないかという懸念が一部で示されていることは、私ども立案者の中でも認識をいたしております。
 結論を申し上げますと、先ほど来申し上げておりますとおり、客観的事情からの推認によって立証されないと、性的好奇心を満たす目的を持っているとは判ぜられないわけでございます。よって、捜査当局による自白の強要を誘発することはあってはならないということでございます。
 実は、これは平成十一年からの現行法におきましても、先ほど申し上げましたように、第二条第二項の児童買春の定義において用いられておりますので、解釈上も、また運用上もある程度確立をされていると考えておりますところ、捜査当局による恣意的な運用を招く規定ではないということを提案者として申し上げておきたいと思います。
○國重委員 ありがとうございます。
 では、念のため、政府参考人にもお伺いいたします。
 所持している対象の内容だけで自己の性的好奇心を満たす目的があるかどうか、これを推認するのであれば、いわゆる三号ポルノの定義に該当するものは全て自己の性的好奇心を満たす目的があると評価されるおそれがあると考えます。しかし、そうではなくて、今、遠山議員の方も答弁がありました、所持している対象の内容のほかに、所持に至った経緯、また態様、分量等の客観的事情も踏まえて、自己の性的好奇心を満たす目的があるかどうかを慎重に判断するという理解でいいかどうか、お尋ねいたします。
○林政府参考人 まず、一般論として申し上げますと、目的犯におけるその目的の立証というものは、まずは、基本は、当該具体的事案におけるさまざまな客観的な事情というものを基本としつつ、被疑者、被告人を含む関係者の供述をも踏まえて行うものと考えております。
 したがいまして、自己の性的好奇心を満たす目的についても、御指摘のとおり、所持に係る児童ポルノの内容だけで判断するのではなく、当該児童ポルノを所持するに至った経緯でありますとか、その内容とか、あるいはその分量、その所持の態様など、さまざまな事情を踏まえて慎重に判断することになるものと理解しております。
○國重委員 では、少し細かくお伺いします。動議提出者に伺います。
 改正案七条一項の「自己の意思に基づいて所持」「保管するに至った者」とはどのような意味でしょうか、伺います。
○遠山委員 お答え申し上げます。
 これは、端的に申し上げると、自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持、保管した者を限定する、明確化する趣旨で付加されたものでございます。
 これは、所持あるいは保管開始の時点において、自己の意思に基づいて所持、保管するに至ったことが必要である、よって、この点を証拠により立証することを要するという趣旨でございます。
○國重委員 では、同じく改正案七条一項の「当該者であることが明らかに認められる」とはどのような意味か、これも動議提出者に伺います。
○遠山委員 先ほど申し上げた「自己の意思に基づいて所持」「保管するに至った」の後に、さらに今回の改正案では、「当該者であることが明らかに認められる」ということをあえてつけさせていただいております。これは、取得の時期などを含めて、自己の意思に基づいて所持するに至った時期とか経緯などについて、できる限り客観的、外形的な証拠によって確定するべきであるという趣旨を明確にするために加えたものでございます。
 よって、現在でも、提供目的の所持罪について、実際の捜査、訴追の実務におきましては、取得の時期、経緯について、仮に自白が得られた場合でも、必ず起訴前にその裏づけ捜査をする取り扱いになっているわけでございまして、自己の意思に基づいて所持するに至ったと思われる者についても、本当に当該者であるかどうか、しっかりとした捜査に基づいて客観的な証拠が集められ、それに基づいて立証されなければいけない、こういう趣旨でございます。
○國重委員 ありがとうございます。
 では、次に、本改正案の附則について、経過規定についてお伺いいたします。
 附則一条二項には、「この法律による改正後の第七条第一項の規定は、この法律の施行の日から一年間は、適用しない。」という経過措置が設けられておりますけれども、この趣旨について動議提出者に伺います。
○遠山委員 お答え申し上げます。
 附則第一条二項の趣旨でございますが、これは、先ほども申し上げましたように、現在は、児童ポルノの単純所持は犯罪化されておりません。所持できるということでございます。今回の改正案が成立をして施行されると、これが処罰の対象に、もちろん性的好奇心を満たす目的を持って所持した場合でございますけれども、処罰の対象になるわけでございますが、施行前から所持している児童ポルノを罰則の適用対象となる前に適切に廃棄等の措置を講じていただけるようにする猶予期間として、一年罰則を適用しないという規定を設けたわけでございます。経過措置と理解していただいても結構かと思います。
○國重委員 ありがとうございました。よくわかりました。
 一年後、法を法律の施行の日から一年間は適用しないということですけれども、それまでに、児童ポルノを所持していた人も今回の処罰の対象にしなければ、児童ポルノがいつばらまかれるかわからない、この不安、恐怖にさいなまれている人たちを救うことはできない。適切な今回の経過規定であると思います。
 次に、児童ポルノの加害者というのは、処罰を受けて何年かたてば、刑務所に入ったとしても出所する。ただ一方で、被害児童というのは、その肉体的、精神的な傷というのはそうそう癒えるものではありません。この被害児童の保護というのも極めて重要なことになってくると思います。
 現行法における被害児童の保護のあり方について、動議提出者としてどのような問題点があると考えているのか、お伺いします。
○遠山委員 お答え申し上げます。
 先ほど来、土屋議員の御質問の中でもたびたび言及がありました、児童ポルノやその延長線上にあったかもしれない犯罪等の被害を受けた児童の保護に関してどのような問題があるかということでございますが、現行の被害児童の保護に関する問題点としては、大きく二つあるんだろうと考えております。
 一つは、保護のための措置をどのような機関が実施し、そして責任を負うのか、これが法律の規定上不明確であることでございます。二つ目の問題点は、保護の制度についての専門家による継続的な検証及び評価というフォローアップ体制の制度的な手当てがなされていないということが挙げられると思っておりまして、それらについて、対応を今回の改正案の中で書かせていただいたということでございます。
○國重委員 今、遠山議員の答弁で、二つ大きく問題点があることがわかりました。
 では、現行法における被害児童の保護に関する問題点の一つが、被害児童の保護のための措置をどのような機関が実施し責任を負うのかが不明であったとのことですが、この問題点を受けて本改正案ではいかなる改正をするのか、その趣旨とともにお伺いいたします。
○遠山委員 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、規定上、どの団体、機関が責任を持って児童の保護を実施するのか不明確であるということで、今回の改正案では、実施主体と責任の所在を明確化するため、被害児童の保護のための措置を講ずる主体の例示を置くこととしております。
 具体的には、第十五条の措置につきまして、主として、児童福祉法に基づく相談、指導、一時保護、施設への入所等の措置の実施が想定されておりますことから、同法で保護に関する権能が与えられている児童相談所及び福祉事務所などが実施することが考えられます。
 このため、法文の中で、児童相談所、福祉事務所及び児童福祉法を所管する厚生労働省を例示として挙げたところでございます。
 加えまして、法務省は、児童ポルノ禁止法を所管しているだけでなく、人権擁護に関する業務を所管し、法務局職員及び人権擁護委員が相談業務を通じて被害児童の権利擁護を図る役割があるということにも鑑みまして、法務省も関係行政機関として列挙することとしたところでございます。
 また、都道府県警察については、犯罪被害に遭った児童を最初に保護することが多いということでございますので、これも例示の中に含めたところでございます。
 以上です。
○國重委員 ありがとうございました。
 では、問題点の二点目、被害児童の保護のための施策の専門家による検証、またフォローアップ体制の制度的な手当てが現行法ではなされていないということも問題点の一つに挙げられましたけれども、それを受けて本改正案ではいかなる改正をするのか、趣旨とともにお伺いいたします。
○遠山委員 お答え申し上げます。
 被害児童に対する保護に関する施策の充実には、これは専門的な知識経験を有する者による継続的な検討及び検証が不可欠であると思っております。先ほど来申し上げておりますとおり、現行法にはその旨の規定がない、制度的な手当てがなされていないという問題があるわけでございます。
 そこで、被害児童に対する保護の措置としては、主として、先ほども申し上げましたように、児童福祉法に基づく措置が想定されておりますので、同法を所管する厚生労働省に設置をされております社会保障審議会におきまして、被害児童の保護の措置に関する施策について専門家による継続的な検証及び評価を行わせ、フォローアップの体制を制度化することにいたしております。
 また、この被害児童は犯罪被害者でございます、児童ポルノの被害児童は犯罪被害者という面もあるわけでございますので、この犯罪被害者の保護の観点からも、総合的に施策の検証、評価が必要であると考えております。そこで、内閣府に設置をされております犯罪被害者等施策推進会議にも、社会保障審議会と同様の役割を負わせるという規定をつけさせていただきました。
 ですから、今後は、この法律が成立した後は、社会保障審議会、これは厚生労働省所管です、それから、内閣府にございます犯罪被害者等施策推進会議におきまして、適時適切に施策の実施状況の検証等が行われ、そして、厚生労働省等におきまして、同審議会の意見を踏まえて、被害児童の保護に関する施策の充実が図られることになることを期待しているところでございます。
 なお、私個人的には、國重議員が本日の冒頭引用されました、小さいころに意識なく児童ポルノの被害に遭って、大人になってから、成人してから自分がどういうことをされたのかということに気づき、そして、今インターネットがこれだけ普及をしている時代でございますので、自分の写真がばらまかれているのではないかという精神的苦痛から自殺未遂に至るというような方の例があるわけでございまして、こういう方々は今成人でございますが、私は、幅広く考えれば、犯罪被害者という概念の中に含まれるのではないかというふうに思っておりまして、内閣府の犯罪被害者等の協議の場において、そういう方々に対してもどのような対応あるいは支援を政府機関がすべきか、関係機関がすべきかということについてもぜひ協議をしていただきたいと思っているところでございます。
 以上です。
○國重委員 ありがとうございました。大変重要な指摘も答弁の中でいただいたと思います。
 私も、きのう、さまざま役所の皆さんともお話をしていましたけれども、やはりそこで感じたのが、よく言われる縦割り行政の弊害というか、連携というのが、連携は一応やってはいるんだけれども、統括して被害児童の保護のためにしっかりと適切なコーディネートをするようなところが余りないなということを実感しました。
 これは、私は国民の代表として、率直に違和感というか、そういうものを感じましたので、今回のこの十五条、また十六条の二、非常に重要な法文だと思います、これをしっかり実効あらしめるために、私もしっかり今後チェックしてまいりたいと思います。
 では次に、厚生労働省にお尋ねいたします。
 性被害を受けた被害児童の保護、支援のための具体的な施策が諸外国に比べておくれているというふうに聞くこともございますけれども、この支援の取り組みの現状、これが一点目。
 二点目として、保護者や身近な人が加害者である場合、出所すれば再び接触するかもしれないという不安に児童がさいなまれ続けることになります。再被害のおそれのない安全な場所で継続的、専門的なケアを受けられること、被害をきっかけに崩壊した被害家族の機能を再構築するために、被害児童を支えるべき家族も含めた支援に取り組んでいく必要があると考えますけれども、現状の課題を踏まえた今後の取り組みについて伺います。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
 性被害を受けた児童に対する支援でございますけれども、まず、児童相談所におきまして、児童心理司によるカウンセリング、それから児童福祉司によります指導援助を行うとともに、緊急の保護を必要とする場合には一時保護を行っております。また、医療的なケアが必要な場合、病院などの専門機関をあっせんしておりますし、さらに、子供の生活の立て直しが必要な場合、こうした場合には児童福祉施設に入所させる、こういったような支援を実施しているところでございます。
 また、今先生御指摘ありましたように、保護者の一方が加害者である場合といったことが多いわけでございます。そうした場合に、児童との関係構築、しっかりした受けとめをつくるという観点から、加害を行っていない保護者に対する相談支援といったような総合的な取り組みも行っているところでございます。
 こうした児童相談所の取り組みを支援いたしますために、厚生労働省におきましては、児童相談所の性的虐待対応ガイドライン、これを策定いたしますとともに、児童相談所におきます性暴力被害事案への対応に関する実態調査、これを実施しております。こうしたものの成果を児童相談所に提供して、また活用していただいているところでございます。
 それから、あわせまして、性被害を受けました児童への支援に関する調査研究を実施いたしておりまして、そうした中で、取り組みを進めるに当たっての課題といたしまして、児童相談所の体制の強化、あるいは、今般の法案でも指摘されております関係機関との連携体制の構築、こういったものが必要であるという御指摘を受けております。
 そこで、こうした課題への対応といたしまして、一つは、児童相談所の職員の対応能力向上を図るための研修の実施、それから、医療機関や弁護士等との連携によります児童相談所の医療的あるいは法的対応力の強化、それから、児童相談所とNPOなど民間団体との連携によります相談対応や保護者への指導の実施、こういった取り組みを進めているところでございます。
 今般の法案も踏まえまして、また、性被害を受けた児童の保護に関する取り組み、この充実に努めてまいりたいと考えております。
○國重委員 ありがとうございました。
 では次に、法務省に伺います。
 被害を受けた子供たちを早急に見つけ出し、子供たち一人一人に応じた人権の擁護をしていくことも重要であると考えますけれども、人権擁護に関する現在の取り組み、また、現状の課題を踏まえた今後の取り組みについて伺います。
○萩原政府参考人 お答え申し上げます。
 法務省の人権擁護機関では、性被害を含む子供の人権問題につきまして、全国の法務局の窓口、電話、メールなどで人権相談を行っております。
 特に、子供の人権問題につきましては、フリーダイヤルの電話相談窓口の子どもの人権一一〇番、そして、メール相談窓口のSOS―eメール、これらを設けているほか、全国の小中学生に相談用の便箋兼封筒を配付し、児童生徒に悩み事を書いて郵送してもらい、それに返信して相談に応じるという子どもの人権SOSミニレターの取り組みを行っております。
 こういった人権相談などにより、児童に対する性的虐待など人権侵害の疑いのある事案を認知した場合は、人権侵犯事件として関係者の聴取等の調査を行い、児童相談所などの関係機関と連携協力して、被害児童の保護を図るなどの措置を講じているところでございます。
 今後の課題といたしましては、これらの相談窓口についてより一層適切な周知に努めるとともに、先ほど委員が言われましたとおり、人権侵犯事件について関係機関との連携を強化し、被害者の救済に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○國重委員 ありがとうございました。
 今、一層の周知にも努めていきたいという答弁がありましたけれども、私も弁護士として、子どもの権利委員会というところに所属して、子どもの人権一一〇番、こういったことも数年担当してまいりました。
 そして、感じたことが、一回、それでデータを出したんですけれども、そこにかかってくる電話というのが、ほぼ、九割五分ぐらい、保護者、また、おじいちゃん、おばあちゃんとかいうような成人の方からかかってくる電話で、ターゲットにしている子供からかかってくるのはごくわずかということで、我々も、その相談の時間帯とか曜日とかを変えたり、また、どうやってそれを周知していくのか、それぞれの学校に法教育で入っていくときにペーパーを配ったり、それを継続して持ってもらえるようなものをつくったり、いろいろ考えてまいりましたけれども、また現場の声を聞いてより一層のこの周知、特に性的被害というのは言いにくいものだと思いますので、そういうことも踏まえた適切な措置をしっかりと進めていっていただきたいと思います。
 時間の関係で、最後、一問だけにします。
 文科省にお尋ねいたします。
 先ほど、冒頭申し上げましたとおり、警察庁によりますと、二〇一三年の国内の児童ポルノ事件の検挙件数は過去最高になっております。その大半の事件、八三・六%にインターネットが関連していると報告されております。
 子供が自分の裸を自分で撮影して交際相手や知人にメールで送るなど、子供自身が児童ポルノを作成、提供するケースも頻発しております。元交際相手らの画像を別れた後にインターネット上で流出させる、いわゆるリベンジポルノもあります。また、LINEが援助交際の巣窟になっているとも聞きます。
 児童が安全にインターネットを利用し、危険から身を守れるようにする必要があると思いますけれども、児童を性犯罪から守るための情報モラルに関する教育の現状と課題、今後の取り組みについて伺います。
○藤野政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、児童生徒がインターネットを利用した犯罪に巻き込まれないようにするためには、情報モラルの育成というのは大変重要だと認識しておるわけでございます。
 そのため、文部科学省では、学習指導要領におきまして、情報モラルを身につけさせることを明記しております。これに基づきまして、各学校において、インターネット上の犯罪や違法・有害情報の問題を踏まえた指導を行うこと、違法な行為をもたらす問題について考えさせる学習活動を行うことなどの具体的な指導を行うこととしているところでございます。
 また、SNSなどによりますトラブルなど新たな課題に対しましては、昨年度、教員が指導する際に役立つ動画教材、あるいは教員向けの指導手引書を作成いたしまして、全国の教育委員会に配付し、普及を図っているところでございます。
 さらに、スマートフォンなどのトラブル、犯罪被害の事例、その対処方法などを盛り込んだ児童生徒向けのリーフレットを作成し、全国の小中高等学校に配付するとともに、関係省庁、関係団体が連携した啓発講座でございますe―ネットキャラバンを実施するなど、情報モラルの育成に関しますさまざまな取り組みを推進しております。
 文部科学省といたしましては、引き続き関係省庁でございますとか関係団体等と連携しながら、学校における児童生徒の情報モラルの育成に係る取り組みを推進してまいりたいと存じます。
○國重委員 ありがとうございました。
 被害児童の苦しみ、また児童ポルノの被害者の苦しみが少しでも和らぐよう私もこれからも一層尽力してまいることをお誓いして、本日の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○江崎委員長 次に、枝野幸男君。
○枝野委員 動議提出者の皆さんには、お疲れさまでございます。
 基本的に提出者の皆さんにお尋ねをしますので、その上で、政府の側は基本的にはそれで間違いないですねという確認をとりたいと思っています。そうであるならば、長々と答弁しないでいただいて、結論だけ端的にお答えください。でないと、ちょっと時間が足りないかと思っております。
 まず、起草案の七条一項で新設をされますいわゆる所持罪について、これには、「自己の性的好奇心を満たす目的」という規定と、「自己の意思に基づいて所持」「保管するに至った」という規定が入っております。この両者の関係について、まず起草案提出者の方に御説明をいただきたいと思います。
○階委員 まずもって、枝野委員におかれましては、この間、平成二十一年の実務者会合の中心メンバーとして、この児童ポルノ禁止法の改正作業に携わっていただいて、その御努力があったればこそ、今こうしてここに成案が出される運びになったものと理解しております。本当に御努力に感謝を申し上げます。
 その上で、御質問の件でございますけれども、まず、この規定は、実務者協議の結果、自己の性的好奇心を満たす目的での所持罪との骨格を維持しつつ、その所持について、自己の意思に基づいて所持、保管するに至ったという文言を追加することとされたものです。
 「自己の性的好奇心を満たす目的」は、立件対象となる所持の時点での目的についての要件でありますが、「自己の意思に基づいて所持するに至った」とは、当該所持を開始した経緯及びその時点での認識についての要件であります。
 そして、両者の関係につきましては、自己の性的好奇心を満たす目的というものが、いわゆる目的犯としての構成要件を意味するものであるのに対しまして、自己の意思に基づいて所持、保管するに至ったということは、処罰範囲に限定をかけるもので、自己の意思に基づいて所持するに至った時期やそのような所持に至った経緯などを証拠により立証することを要請する趣旨であることを明らかにするものであります。
○枝野委員 まず、法務省の政府参考人に、今の理解でよろしいですね。
○林政府参考人 両者の関係につきましてただいま提案者から御答弁ありましたが、基本的に、その内容、同様の理解をしております。
○枝野委員 次に、この七条一項の適用の対象ですが、いわゆる児童ポルノを例えば第三者から勝手にメールで送りつけられたであるとか、それから勝手にかばんの中に放り込まれたとか、自分のロッカーの中に入れられてしまったとかいうような場合は、自己の意思に基づいて所持するに至った者に該当しない、したがって、今件の処罰対象にはならない、こういう理解でよろしいですね。
○階委員 おっしゃるとおりでありまして、基本的には、今挙げられた事例については自己の意思に基づいて所持するに至った者には該当しません。
 もっとも、送りつけられた時点では自己の意思に基づくというものでなかったとしても、その後、メールに添付された児童ポルノ画像を開き、当該ファイルが児童ポルノであることを認識した上で、性的好奇心を満たす目的を持って、これを積極的な利用の意思に基づいて自己のパソコンの個人用フォルダに保存し直すなどしたときは、その時点で新たに自己の意思に基づいて所持するに至ったということが認められると考えております。
○枝野委員 今の後者の点は大事なところだと思いますが、これは他の質問者が確認をしていただけると聞いておりますので、そこは今のお答えにとどめておきたいと思いますが、今の理解も、法務省、共通の理解でよろしいですね。
○林政府参考人 ただいま一般論としてのお答えがございました。基本的に同様の理解をしております。
○枝野委員 そこで、提案者にお尋ねしますが、本条項については、単純所持を処罰の対象とした規定と受けとめている向きもありますが、単純所持を処罰の対象としているのではなくて、自己の性的好奇心を満たす目的で自己の意思に基づいた所持について処罰する、所持全般が処罰対象になったものではないと理解がされますが、それでよろしいですね。
○階委員 御指摘のとおりでありまして、所持全般が処罰されることになるわけではありません。
○枝野委員 これは大事なところなので、法務省は政務の方でお答えください。今の理解でよろしいですね。
○平口大臣政務官 ただいまの提案者の答弁のとおりで結構と思います。
○枝野委員 さてそこで、この罪は、自己の性的好奇心を満たす目的が構成要件でありますし、第三条の「適用上の注意」で、今回新たに、学術研究、文化芸術活動、報道等を例示列挙して、こういったところの権利侵害になってはいけないという趣旨のことが規定をされております。
 その適用上の注意をまつまでもなく、構成要件上はっきりしているかと思いますが、例えば、児童ポルノ製造が違法化される前につくられた映画や書籍の中には、形式的には、この児童ポルノ処罰法の児童ポルノになるかもしれないようなものが含まれています。
 しかし、こうしたものは、例えば、図書館、アーカイブス、報道機関、あるいは、かつてそういったものも一般的な雑誌の中などにも入っていましたから、例えば出版社が自分たちの出したものを歴史的にとっておくとか、こうした形で所持をしていても違法ではない、そして、これらの機関が、例えば、みずからの倉庫、図書館などを全部家捜しして、そういうものが残っていないかなとか、そういったことを家捜しする必要はないという理解でよろしいですね。
○階委員 今のケースでは、そもそも、自己の性的好奇心を満たす目的という要件は満たさないことが想定されますので、第七条一項の適用の前提を欠くと考えております。
 なお、付言いたしますけれども、児童ポルノ所持等の一般的禁止に関する第三条の二という条文を今回設けておりますが、この条文は、性的搾取または性的虐待に係る行為が許されるものではないことを理念として宣言する規定であります。
 したがって、廃棄、削除等の具体的義務を課すものではありません。
○枝野委員 これも大事なところですから、政務の方から、法務省、お答えください。
○平口大臣政務官 ただいまの提案者のとおりとして理解しております。
○枝野委員 これは、お答えまではいいですけれども、ここはなかなか大変なところで、いわゆる研究機関とか図書館とかアーカイブス、出版社、報道機関等、法人ですから、そもそも性的好奇心を満たす目的は法人は持ちませんし、そこははっきりしているんですが、個人、例えばフリーのジャーナリストとか、そういったケースはあり得るわけです。
 一番極端なことをいえば、先ほど、今回の修正に至る経緯について階提案者が付言をしていただきましたが、私はこの法律をつくるときからかかわっておりまして、つくるときには、児童ポルノの実態というのはこんなにひどいんですよと。その時点では、十八歳に満たない児童のいわゆる裸のものも合法でしたから、ちまたに出回っている週刊誌のようなものにも載っていた時代ですし、それから、前回のここでのこれに関する議論で申し上げた「サンタフェ」問題とか、いろいろありましたが、確かに、まさに児童虐待でこれはひどいよねというようなものを、当時、一緒に議員立法の作成作業に当たった、あれはたしか野田聖子さんだったと思いますけれども、こんなに実態はひどいんですよというサンプルをいただいています。
 いただいたものが、もしかすると、私の書類のたくさんたまっているところに、どこかに残っているかもしれません。当然のことながら、こうしたものは目的に当たっていませんから、わざわざ全部ひっくり返して捜せという趣旨ではないということだというふうに思っています。
 恐らく、例えば弁護士さん、児童ポルノの被害者を守るための弁護士さんが、まさに事件の証拠として児童ポルノ画像などを、自分の事件記録が残っているところに入っているなんというケースは当然あり得るわけでありまして、こうしたものも目的要件を満たしませんから、当然、それを捜して処分しろということにはならない、こういう規定であるというふうに理解をいたします。
 次に、今の話とも関連をするんですが、附則の第一条二項、この法律の施行日から一年間は適用しないものとするということになっておりますので、施行後一年たちますと、過去に取得をしたものであっても、性的好奇心を満たす目的で所持をしていれば、犯罪が成立をするということになります。
 ここで悩ましいのは、改正法施行前に取得をした、所持をするに至った児童ポルノについて、取得の時点では、自己の性的好奇心を満たす目的で入手をした、しかし、罰則規定が適用される本改正法施行の一年後までに当該目的がなくなった場合。
 これは、二十年前、三十年前、児童ポルノが違法化される前に、いろいろなものが出回っていました。そのときに、あるいはそのころには、普通の週刊誌などにも、恐らく形式的には児童ポルノに当たると思われるようなものが載っていました。そうしたものを、確かに若いころは買って持っていたよね、だけれども、もうどこに行ってしまっているかわからないよね、逆に言うと、性的好奇心を満たす目的というのはなくなっているというケースは、これはあり得るんですね。
 二段階に分けて聞いておきますが、まず、一般論として、まさに取得当時は自己の性的好奇心を満たす目的があっても、本改正法の罰則規定施行時点で自己の性的好奇心を満たす目的がなくなっていれば、犯罪は成立しないという理解でよろしいですね。
○階委員 委員御指摘のとおり、立件対象となるのは、改正法施行後一年たってからということになります。
 したがって、それ以後なお所持している場合であっても、立件対象となる一年経過後に性的好奇心を満たす目的がなければ、処罰対象にはならないということであります。
○枝野委員 これは、法務省、政府参考人、今の理解でよろしいですね。
○林政府参考人 今提案者からの御答弁にありましたとおり、改正法第七条一項の適用開始後の所持の時点で、自己の性的好奇心を満たす目的が認められない場合には、処罰の対象とはならないと理解しております。
○枝野委員 そこで、先ほどもちらっと申し上げかけましたが、まさに、本法の最初の、児童ポルノが処罰対象になるような、入手をすることが処罰対象になるような時点以前には、これはいい悪いは別として、歴史的な客観的事実で変えられませんから、児童ポルノに該当するようなものが残念ながら世の中に普通に出回っていたという時代に、まさに自己の性的好奇心を満たす目的でそうしたものを入手していたけれども、もうすっかり、そんなものを持っていることすら、あんなのあったかなとか、あったかもしれないなというようなことで、どこか、倉庫の隅か、押し入れの隅か、書棚にたくさんいろいろな本が並んでいる中のどこかに紛れ込んでいるかもしれないななんというケースは、これはあり得る。というか、かなりの方がそうしたケースに該当し得るんじゃないかと思います。
 こうしたまさに、今でも時々出して見ているというようなケースは別として、何十年か前に入手をしたかもしれないなというものは、でもそのままどこかに行って放置されているということは、自己の性的好奇心を満たす目的はもう失われているわけで、そうしたケースについて、どこかにあったかもしれないから、これは処罰対象になっちゃうからまずいな、家捜ししても全部捜し出さないといけないな、こんなことは求められない、これは大事なところだと思っていますが、これでよろしいですね。
○階委員 大変重要な問題だと思っています。そういう弁解を不合理にする方もいらっしゃるかもしれないので、ここは丁寧に申し上げたいと思います。
 まず、今の議論というのは、一年経過後、古いものがまだどこかにあったという場合に、性的好奇心を満たす目的がどういう場合に認められるかということを問題にしていると言えるかと思います。
 そこで、自己の性的好奇心を満たす目的とは、当該事件において立件対象となる所持の時点においてその有無を判断すべきものであります。そしてその有無は、所持者の内心についての供述だけでなく、児童ポルノの所持の態様、分量、所持している対象の内容等の客観的事情からの推認により認定されるべきものであります。
 その上で、個別具体的な証拠関係により本来認定すべき事柄ではありますけれども、立件対象となる所持の時点で自己の性的好奇心を満たす目的が認められない場合には単純所持罪で処罰されることはないわけでありまして、かつては自己の性的好奇心を満たす目的を持って児童ポルノを収集していて、現在も家のどこかに児童ポルノが保管されていると認識している場合であっても、罰則適用開始後の所持の時点において自己の性的好奇心を満たす目的がないときは処罰されず、そのような場合に、家捜しまでして見つけ出して廃棄することは求められないと解しております。
○枝野委員 今の点、これは、政府参考人、よろしいですね。
○林政府参考人 提案者から御答弁ありましたとおり、基本的に同様の理解をしております。
○枝野委員 きのうですか、栃木の女児殺人事件については、いろいろなものを、特にコンピューターの中をいろいろ調べたら、まさにこの殺人事件の証拠になるようなものが見つかったということで、これは大変時間はかかりましたけれども、そうしたことに至ってよかったことであります。
 逆に言うと、何かの件で捕まった人が、コンピューターから家の押し入れから倉庫から全部家捜しをされたら、どこかに何か一つ二つ、こういったものがほこりをかぶって存在をしたみたいなことはあり得るわけで、それで、じゃ、もう一件、別件で逮捕されているわけでしょうから、もうイーハンつくからこれも起訴してしまえみたいなことがあるとするとこれはまずいわけなので、そこのところは、今の理解、もちろん、言い逃れに使われるようなことがあってはいけないので、客観的に、どういうところに、どういうふうに保管というか放置されていたのかという事実関係がしっかり大事でありますけれども、少なくとも、ほこりをかぶって、倉庫や押し入れかどこかその辺に、もう長年にわたって見ていないなと思われるようなケースについては今のような対応がなされないと、みんな、家捜ししろと言われたら、これは本当に大変なことになると思いますよ。
 この上で、今のようなケースでもう一つ、より具体的に悩ましいケース。
 今のように全く放置してというか、あったかもしれないな、だけれども、捨てちゃったか、どうしたかなというようなケース、性的好奇心を満たす目的はもう失われているなと思われるケースだったとして、でも、その後、引っ越しがあったとか大掃除をしたとかというときに、ああ、昔、確かに二十年前、こんなのを買っていたなというものが見つかりました。この場合でも、自己の性的好奇心を満たす目的は、そこで何かすればというのは別ですけれども、単にそこで発見をしただけでは、自己の好奇心を満たす目的が失われていた、そして、その時点で新たに生じていないというケースはあり得るわけですよね。
 そうすると、どうなるでしょう。
 これは先ほど、後で具体的に別の方が詰めて確認をしていただけるとお答えをいただきましたが、自己の意思に基づいて所持、保管するに至ったと評価し得るための積極的な利用の意思に基づき新たな所持、保管が開始されたと認められる事情ということが必要ですよね。それとイコールではない、むしろ目的のところでありますから、家捜しじゃなくて、引っ越しとかあるいは大掃除をしていたらそんなものもありました、そんなものがあったけれども、そんなものがあったなと気づいただけで、廃棄をしようとか、別にこれは見るものじゃないなと。
 これは、気をつけないといけないのは、一般的な週刊誌みたいなところに写真が何枚かだけ昔あったみたいな話なんかだと、その週刊誌自体はいろいろな当時の世相とかを反映しているんだからとっておこうみたいな話があり得るわけですよね。だから、そういった意味では、例えば、当時の週刊誌とかがずっと並んでいるところに一緒に並べておきましたみたいな話もあり得るわけで、こうした場合も、もちろん具体的な案件の事実認定は難しいですけれども、より積極的に、昔、性的好奇心を満たす目的で買ったものが出てきてくれたから、また性的好奇心を満たす目的を持って持っていようということに至ったような事情がなければ本罪は成立しない、こういう理解でよろしいですね。
○階委員 適用開始前から持っていて、仮に適用開始後、引っ越しなどで見つかったケース、その場合で、性的好奇心を満たす目的が認められるかどうかが問題になるというのは、先ほど申し上げたことであります。
 なお、その場合であっても、積極的な利用の意思に基づいて新たな所持、保管が開始されたと認められるかどうかということも重要なわけでございまして、そのような積極的な利用の意思に基づいて新たな所持、保管が開始されたと認められなければ、自己の性的好奇心を満たす目的という部分において否定されるということはあり得ると考えております。
○枝野委員 今の理解で法務省は、政府参考人、よろしいですね。
○林政府参考人 今提案者からの御答弁の内容と基本的に同様に理解しております。
○枝野委員 階さん、ちょっと順番を変えて、一番最後のものはちゃんと確認をとっておかないと危ないところなので、先にやらせてください。
 今回、漫画、アニメ、CGなどと児童の権利を侵害する行為の関連性についての検討規定は設けないものとするということで各党一致をしたということでございます。これは特に我が党が強く主張していることでございまして、そもそもこの法律は、改正の前後を問わず、児童の権利を擁護することを目的としている、第一条に明確に書かれています。つまり、児童虐待や児童ポルノの被写体にされるということを通じて児童の権利が侵害される、そうしたことを防ぐことが目的になっている。まさに児童を保護する、虐待の対象になっている児童を保護するものであって、いわゆる風紀犯とかではありません。
 アニメ、漫画、CGなどについては、一般論としては権利が侵害される児童は存在しないということになっておりますので、本法でこうしたものを対象にすることは、本法の目的からするとおかしなことであって、逆に言うと、そうした、どちらかというと風紀犯、公の善良な風俗を保護法益とするような問題とごちゃごちゃにしてしまう、あるいは、低年齢のお子さんがこうしたものを見ることによる弊害みたいなことも、これまたいわゆる虐待の対象の子供を守るということとは保護法益が違います。
 そうした意味では、漫画、アニメ、CGなどに対する規制などについてこの法律の中に、附則とはいえいろいろ一緒にすることは、むしろ、この法律の本来の大事な目的である具体的児童の、虐待を受けた児童、あるいは児童が性的虐待を受けないようにするというこの目的からは、違う目的のものを一緒にすると、かえって本来の目的を十分達成することに対してマイナスになるというふうに考えていますが、これは、階提案者、民主党の考え方について御説明ください。
○階委員 今御指摘のあったように、当初の自民党さん、公明党さん、維新の党さんの案では、附則として、「政府は、漫画、アニメーション、コンピュータを利用して作成された映像、外見上児童の姿態であると認められる児童以外の者の姿態を描写した写真等であって児童ポルノに類するものと児童の権利を侵害する行為との関連性に関する調査研究を推進するとともに、インターネットを利用した児童ポルノに係る情報の閲覧等を制限するための措置に関する技術の開発の促進について十分な配慮をするものとする。」という規定が設けられておりました。
 しかし、今委員の御指摘のとおり、この法律のそもそもの目的は実在する児童の権利擁護という点ですから、この目的からは少し外れているのではないかということで、実務者協議の中で最終的に合意しまして、この附則は外して、アニメ、CG、漫画などについてはこの法律の中では規定を設けないということになりました。
○枝野委員 ここは、保護法益が違う、ましてや、個々人としての児童の権利を守るという、なおかつこれが、今回の改正がなされることもその大きな背景ですが、守り切れていないという、大事な大事な目的を持っているこの法律に、全然保護法益が違うものをごちゃごちゃにしようとすれば、本来の目的が不十分にならざるを得ないと私は思います。
 したがって、児童の保護を徹底するという観点からは、今後もこの区別をしっかりとやっていくことが重要だということを申し上げておきたいというふうに思っています。
 次に、起草案の三条の「適用上の注意」について確認をしたいと思います。
 先ほども私の方からもちらっと申し上げましたが、これまで、この適用上の注意については、単に「国民の権利」とされていた部分が、「学術研究、文化芸術活動、報道等」という例示を挙げた上で、「国民の権利及び自由」としております。
 その趣旨はいかがでありますか。特に、不当に侵害しないように留意しなければならない対象となる権利、自由は例示されたものに限らないと考えておりますが、それでよろしいでしょうか。
○階委員 これまでも、改正前から、児童ポルノ禁止法の運用に当たって、国民の権利を不当に侵害しないように留意すべきであるということは規定として設けられておりました。
 ただし、今般の改正により、七条一項に自己の性的好奇心を満たす目的での所持罪という新しい処罰類型を設けることになりましたので、私的領域に過度な規制が及ぶことへの懸念が払拭されるように、適用上の注意規定を詳細に改正する必要があるということで、今回の改正に至っているわけです。そのため、学術研究、文化芸術活動、報道といった本法の規制と密接な関係を有する具体的な国民の権利、自由を例示として追加し、適用上の注意規定の充実を図っております。
 なお、「権利及び自由」ということで「自由」という文言が加わっておりますが、これは、学術研究、文化芸術活動、報道というのは、通例、何々の自由という言いあらわし方をしますので、そことの平仄を合わせたものであります。
 また、「学術研究、文化芸術活動、報道等」というふうに「等」をつけておりますので、対象となる権利、自由は、例示されたものに限らず、プライバシーや政治活動なども含まれるということであります。
○枝野委員 今と似ていますが、今の規定の後段は、「不当に侵害しないように留意しなければならない。」とされていたものが、「児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護するとの本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない。」ものとすると、かなり具体的、詳細に書かれています。
 先ほどの保護法益の絡みの規定だと思いますが、これについての趣旨を御説明ください。
○階委員 この法律で規定する児童買春や児童ポルノに係る行為が処罰されるべきこと、あるいはこの法律の適用が適正に行われることは当然でありますが、この法律による規制等が、国民の私生活、プライバシーや表現の自由とも密接な関係を有するということで、先ほども申し上げましたが、適用上の注意に関する規定が置かれているということであります。
 今回、捜査機関の権限の濫用のおそれについても指摘があることから、そのようなことがないよう、軽犯罪法の規定などに倣い、さらに適用上の注意を具体化した厳重な規定を置く中で、今議員から御指摘があったように、この法律の趣旨、目的を、「児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護する」と具体的に規定し、そのような目的を逸脱しないよう、念には念を入れて、より詳細に規定した次第であります。
○枝野委員 次に、十六条の三で新設されます雑則、インターネットの事業者に対する努力義務規定についてお尋ねをしたいと思います。
 これはもう皆さん御承知のとおり、インターネット事業者が、インターネットコンテンツセーフティ協会、ICSAを二〇一一年ですか設立して、警察やインターネット・ホットラインセンター、IHCと連携して、ブロッキングのためのいろいろな努力を既に進めているところでございます。
 ICSAによるブロッキング等の対応の対象になり得る事業者の持っているシェアは、インターネットで七七%、携帯電話では九五%のユーザーのところをシェアする事業者が、こうした団体をつくって努力を進めているところでございます。
 今回の努力義務規定は、こうした適切な事業者に、少なくとも努力をしている事業者に新たな規制を行うというものではなくて、むしろこうした努力をさらにしっかりと進めていくべきだという後押しをする趣旨だと私は理解をいたします。
 また、重要なのは、こうした努力を怠っている、まさに、違法なことをうまいことやって児童ポルノを拡散させたりとか、そのことで暴利をむさぼっている一部の事業者がまたこういった努力のところに加わってこないとか、こういうところに対して、しっかりとやらせよう、やってもらわないと困る、こういう趣旨だと理解いたしますが、階提案者の御認識をお答えください。
○階委員 今の第十六条の三のインターネットの利用に係る事業者に努力義務を課す規定ですが、委員御指摘のとおり、この条文は、適切な事業者に対して新たな規制を行う趣旨ではなくて、こうした努力を後押しするということと、措置の不十分な事業者に一層の努力を促そうという趣旨であります。
○枝野委員 今の点は、法務省、それから、これは実際には運用するときに警察がかなり関係してくると思いますが、それぞれ政府参考人、今の理解でよろしいですね。共有ですね。
○平口大臣政務官 お答えいたします。
 インターネットを利用した情報の発信等に必要な電気通信役務を提供する事業者の業務に関しましては、法務省は所管する立場でございませんので、私の方から申し上げるのが適切かどうか、これはちょっとわかりませんが、お尋ねなので、あえてお答えいたします。
 改正法の十六条の三は、これら事業者一般に対して、児童ポルノに係る情報の送信を防止する措置等を講ずる努力義務の規定である、このように理解をいたしております。
 したがいまして、この規定は、これまでそうした措置を講じてこなかった事業者に対してその努力を促すというものであるとともに、これまでそうした措置を講じてきた事業者に対しては、引き続き従前どおり努力するように促す趣旨であると理解をいたしております。
 以上でございます。
○宮城政府参考人 お答え申し上げます。
 私どもも委員と同じ理解をしてございます。
 今般の法律の成立によりまして、これまで自主的に努力をされてきた主体におきましては、引き続き取り組みを行われ、こうした努力をしてこなかった事業者においては、ブロッキング導入等への自主的な取り組みを進めていくべきもの、このように考えてございます。
○枝野委員 あと、このインターネット絡みでいいますと、附則の三条の第一項について、いわゆる閲覧制限についての技術の開発の促進について政府は十分に配慮するという規定になっているところであります。
 こういったものの技術の進歩は大変大きいですし、そうした中で、先ほどの団体をつくっていらっしゃる事業者は、必ずしも自社の利益に直接つながる話ではないのに、団体をつくって一生懸命、技術を高めることを含めて努力をされているわけでありますから、当然、この政府の「十分な配慮」については、具体的に予算措置をとる、すると書いちゃうと、また政府が反対をされるかもしれないのですが、「十分な配慮」の中には、場合によっては予算措置をつけてこういった開発を進めていくということも含んでいる、こういう趣旨で理解したいと思うんですが、よろしいでしょうか。
○階委員 提案者としては、今委員が御指摘された技術の開発に向けた予算の措置も十分な配慮に含まれると考えております。
○枝野委員 そうしたことも含めて、政府として努力をしてもらいたいわけですが、これは、予算の話になると総務省だと法務省さんがおっしゃったと聞いていますが、なので総務省さんも政府参考人に来ていただいています。
 総務省の政府参考人として、まず、必要があれば予算要求するようなことも含めて、こうした技術の開発に向けた努力をされるという思いでよろしいか。
 それから、実はこれは、総務省だけの話とは私は必ずしも思わないのですけれども、法務省も本法の所管として、こうしたもの、フィルタリングその他のために必要なことがあれば、法務省が予算要求して、そういったことを後押しすることがあっても全然おかしくないと思うんですが、法務省と総務省、それぞれにお答えください。
○安藤政府参考人 お答え申し上げます。
 総務省では、プロバイダーの規模などに見合った精度の高いブロッキングを導入可能な環境を整備し、事業者の自主的な導入を促進するために、平成二十三年度から平成二十五年度までの三年間、実装に適したシステムの開発やその実証を行ってきたところでございます。
 総務省といたしましては、これら三年間の開発、実証の成果を活用し、今後、事業者の規模などに応じた自主的なブロッキングの導入の一層の普及促進にまずは努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 また、そうした普及促進の取り組みや今後の技術の動向の中で、必要に応じて適切な検討をしっかりとしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○平口大臣政務官 先ほど御答弁申し上げた所管等の問題はございますが、附則三条一項は、インターネットを利用した児童ポルノに係る情報の閲覧等を制限するための措置に関する技術の開発の促進について、政府が十分な配慮をするものとしたものでございます。
 この点に関しましては、関係省庁において、予算措置の要否を含め、必要な検討をしていくものと考えております。
 以上でございます。
○枝野委員 基本的に、役所は各省、自分のところの予算をふやしたくて、境目にあると両方が要求するというのが一般的なんですから、余り腰を引いたことを法務省はおっしゃらない方がいいと思います。
 最後、間に合いました。この附則の三条の二項では、技術開発の状況等を勘案しつつ検討して、必要な措置を講ずるということになっていますが、この検討の仕方、中身なんですね。
 まさに現場の実態とか技術の実態などは、先ほどのICSAなどの事業者が一番よくわかっているわけでありますし、いろいろと海外の事情なども研究されているというふうに聞いております。こうした皆さんに中心になって加わっていただいて検討を進めないと意味がないのではないかということが一つ。
 それからもう一つは、ここでは閲覧の制限について検討対象としているんですが、なかなか閲覧制限というのは、ファイル名を変えてまたアップロードするみたいな話で、イタチごっこになりがちであります。ここは、違法な児童ポルノということについてはっきりしているのであれば、表現の自由との関係があっても削除させるというようなことは、これは問題ないと思いますので、むしろ、どうやって削除などに持っていくのかといった研究が必要じゃないかというふうに思っていますが、提案者と、それから、これはどこが答えるんでしょう、やはり総務省なんでしょうか。では、両方、提案者と総務省でお答えください。
○階委員 今御指摘のとおり、ICSAですか、専門的な知見を持った実務者の協会の方々の知見を活用しつつ検討を行うのが効果的だと考えております。
 また、本規定に基づく検討は、御指摘のあったように、閲覧の制限について検討対象としておりますけれども、削除の手法もより本質的でありますので、これも検討の対象から排除されないものと考えております。
○安藤政府参考人 お答え申し上げます。
 前半の方の部分でございますけれども、児童ポルノのブロッキングの運用については、ICSAなどブロッキングの実務の実態や海外の状況にも通じたものを中心に現在も検討が行われておるところでございますけれども、今後とも引き続き効果的な検討が行われるよう期待するとともに、総務省といたしましても、そうした活動をしっかり支援してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 それから、ブロッキングと削除の関係でございます。
 イタチごっこの面もありますが、もちろん、ブロッキングの方を、いろいろと努力をし、そういったふうにURLを変えたりしたときに、できるだけ迅速にそれをまた追いかけていってブロッキングするというような取り組みももちろん行っておりますが、それと並行して、それを乗り越えちゃっているものについて言えば、委員御指摘のように、削除というところも一つ重要なポイントになってこようかと思います。
 この点につきましては、これまで事業者団体において、法律の専門家などの意見も伺いながら、削除できる場合を明らかにするためのガイドラインでありますとか、事業者とユーザーとの間で適用されますモデル契約約款を作成しまして、そういった中で、違法なアップロードなどがされた場合には、それはいろいろと削除などの対応をさせていただきますよといったようなことを規定していただいているところでございます。
 総務省といたしましても、こういった民間の取り組みを引き続きしっかりと支援してまいり、適切に削除等の取り組みが行われるよう取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○枝野委員 終わります。ありがとうございました。
○江崎委員長 次に、高橋みほ委員。
○高橋(み)委員 日本維新の会の高橋みほでございます。
 きょうもどうぞよろしくお願いいたします。
 既に何回か同じような質問があって、私も同じものもちょっとあるんですけれども、重要な点ですのでよろしくお願いしたいと思っております。
 今回の法改正、本当に遅きに失したというか、もっともっと早くやるべきではないかなと私は思っておりまして、また、児童ポルノといいますと、物すごく腹立たしいというか許しがたいものであると私は思っております。やはり子供の立場から見ると許しがたいし、私のような女から見るともっともっと、男性の被害者という方も多いかとは思いますけれども、やはり女の立場としてもとても許しがたい問題だなと思っております。
 ですから、今回、規制、もちろんこうやって一歩一歩進めていくべきだとは思うんですけれども、やはり現実に即応して、これからもいろいろ、本当にこれでいいのかということをやっていっていただきたいなと最初ですけれども思っております。
 まず最初に、警察庁では、児童ポルノの愛好者や手口などの情報を集めてデータベース化をすると二〇一一年の七月に決めたとされております。やはり何といっても、そういうことを、犯罪を犯しているときちんと逮捕されるんだということが周知されるということはとても重要なことだと思っておりますので、実際、このデータベース化をしてどのような効果があったのかなどを教えていただければと思っております。
○宮城政府参考人 お答え申し上げます。
 今、警察庁におきましては、児童ポルノの愛好者らが画像投稿掲示板などを利用いたしまして児童ポルノ画像を広域的にやりとりしている事態に鑑みまして、法の施行後、これまでに都道府県警察で検挙いたしました事件の被害者は約四千四百人おられます。このうち、小学生以下の被害者、これは約七百人でございます。これに係る情報を警察庁で集約、分析いたしまして、低年齢児童ポルノという形でカテゴリー化いたしまして、その愛好者グループの実態解明に資する資料としてこれを関係都道府県警察に提供して捜査しておるところでございます。
 都道府県警察では、このデータのほかに、一つは、警察庁から提供されます外国の捜査機関からの情報、そして、何よりもみずから行う捜査活動によりまして児童ポルノ事犯の取り締まりに当たっておりまして、摘発した事件の被害者のうち身元が明らかになったもの、すなわち年齢がわかるものでございます。これについて見ますと、小学生以下の児童は、平成二十五年に九十二人、これは児童ポルノ全体の中の一四・二%に当たります。平成二十四年には七十三人、これも全体の一三・七%、平成二十三年には全体の一六・八%の百一人、こういったものを検挙といいますか、摘発しております。
 今後とも積極的な取り締まり等を都道府県警察に指導してまいりたい、このように考えてございます。
○高橋(み)委員 ありがとうございました。
 本当に適切な取り締まりというのは大事なことだと思いますので、これからもぜひ頑張っていただければと思っております。
 そして、私、今回の法改正で一番問題だと思っておりますのが、先ほど何回も質問者の方から出ていました漫画、アニメ、CG等に関して規制の対象から外すというところが、私は一番大きな問題じゃないかと思っております。
 先ほど土屋委員は、もうそんなのは表現の自由の範囲ではないというようなことをおっしゃっていたんですけれども、橋本岳議員は、因果関係がないのを取り締まるのはちょっとどうかというようなお話をされていましたし、枝野議員は、保護法益がそもそも違うんだよということを話されていました。
 確かに、今回の法律というのは一次的には実在の児童の保護を目的としているというのは、私は明らかだと思っております。しかしながら、一次的な保護法益以外にも、例えば善良な性風俗というものを二次的な保護法益として加えるということは、刑法などの法律を見ても可能だと私は思っております。ですから、今回の児童ポルノでも、実在の児童の保護を目的、プラス、やはり善良な性風俗というものもあると見て、漫画、アニメ、CG等における児童ポルノも処罰していく方向であるべきではないかなと思っているんですけれども、今回それを加えなかったというところの御趣旨を御説明いただきたいと思います。
○遠山委員 高橋みほ議員にお答えを申し上げます。
 けさからずっと出ている問題点でございますけれども、まず確認しておきたいのは、この児童ポルノ禁止法が児童ポルノの提供、製造等の行為を規制しております。それはなぜかといいますと、このような行為が児童ポルノに描写された児童の心身に長期にわたって有害な影響を与え続けるものであり、このような行為が社会に広がるときには、児童を性欲の対象とする風潮を助長することになるとともに、児童一般の心身の成長に重要な、深刻な影響を与えるからであるということでございます。ですので、高橋委員が御指摘になった趣旨も法律のもともとの立法趣旨の中に含まれていると考えております。
 他方で、先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、現行法では第一義的には実在する児童の権利を保護するということを目的としておりまして、実在していない児童を描写したポルノについては、この法律に言う児童ポルノには原則としては該当しないという整理をさせていただいているところでございます。
 御指摘がずっとけさからございます。実在しない児童を描写した漫画、アニメ、CG等のいわゆる疑似児童ポルノにつきましては、これはもちろん児童を性欲の対象とする風潮を助長するおそれがございます。私も、個人的にはそれは強くあると思います。その一方で、先ほど橋本岳委員からも御指摘がありましたし、私ども提案者からの答弁でも丁寧に説明をさせていただいておりますが、この規制が表現の自由にかかわる問題が論点としてございます。また、それらと、これは橋本委員の御指摘にもありましたが、児童の権利を侵害する行為とCGや漫画等でつくられる好ましくない風潮との関連性について十分な調査研究が行われているとは言いがたい現状でございます。
 ただし、その調査研究をする必要性につきましては、私どもの実務者協議でも議論をされましたし、そういった指摘については配慮しなければならないという意識はあるわけでございますが、今回の法律の附則からは落とすということで五会派の実務者で合意をしたということでございます。
○高橋(み)委員 全てほかの、例えば公害問題でも、因果関係とかがわからないからといってほっておいて、被害が増大するということもすごくあると私は思っております。もちろん、これから必要な調査もしていただけるとは思っているんですけれども、やはり、因果関係がそれほどはっきりしないものであっても、かなりその因果関係が濃厚であるという疑いがある場合は、やはり何らかの規制をかけていく必要性があるのではないかと私は思っておりますし、そう思っている方の方が一般的には多いんじゃないかなと私は思っております。
 次に行かせていただきたいんですけれども、二条三項三号の定義のことについて、ちょっとお尋ねしたいと思っております。
 これは、「殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、」というものが今回加えられております。普通、私がイメージすると、要件を加えるということは、処罰範囲が限定されるというようなイメージがございます。どちらかというと、やはり、児童ポルノというのは制限を少し厳しくしていきたいなというイメージが私としてはあるのですけれども、今回この要件を加えたということについて、どういう御趣旨かお尋ねしたいと思います。
○遠山委員 お答え申し上げたいと思います。
 御指摘の場所は、当該画像の内容が性欲の興奮または刺激に向けられていると評価され得るかどうかを判断する基準をより明確にしたものでございまして、私どもの意識としては、結論から言うと、処罰範囲を狭めるという趣旨ではないというふうに考えております。
 先ほど申し上げたこの判断の基準でございますが、性的な部位が描写されているか、児童の性的な部位の描写が画像全体に占める割合、これは例えば、ビデオの場合は時間の長さでございますし、それから、写真等の場合は枚数等があるわけですけれども、そういった客観的に証明できるような要素に基づいて、当該画像が性欲の興奮や刺激に向けられているんだということをやはり立証する必要があるんだろうと思います。
 前に出た答弁の繰り返しになりますが、例えば、水浴びをしている裸の幼児を、その自然な姿を親が成長の記録のために撮影したようなケースは、客観的な状況から、そういう性欲の興奮や刺激に向けられると評価されない、そういう場合には処罰の対象外になるということでございます。
 ただし、私どもの実務者協議の中でも、これは非常に衝撃を我々受けたわけですけれども、実際にあった事例として、実の親とか親戚が、みずからの子供を児童ポルノの対象にして、画像を製造して、それを金銭目的で売っていた等の事件が実際に過去に摘発をされているわけでございますから、そういう観点からいえば、撮影した人間が親だから自動的に問題がないということにもなりません。
 これはあくまでも、今回の法律の中で具体的に書かせていただいた基準に照らして、それが児童ポルノであるかどうかということを厳格に判断していく趣旨でございます。
○高橋(み)委員 ありがとうございました。
 処罰範囲を狭めるのではないというお言葉を聞いて、安心しました。ただ、言い逃れということをする人が世の中にはちょっといますので、これは性欲を興奮させたり刺激するものではないんだから、自分は当たらないよという言い逃れなどが絶対できないようにしていただきたいなというのが私の要望でございます。
 次に、ちょっと細かいことになるのかもしれないんですけれども、三条です。「適用上の注意」についてというところがあるんですけれども、「学術研究、文化芸術活動、報道等に関する国民の権利及び自由を不当に侵害しないように留意し、」とあるんですけれども、学術研究とか報道等に関しては、私は余り心配はしていないんですけれども、文化芸術活動と児童ポルノとの線引きはやはり難しいんじゃないかというようなイメージがございます。
 例えば写真集に一枚、二枚、児童ポルノと思われるような写真が入っている場合とかいろいろあると思いますので、どのように文化芸術活動とポルノとを区別するのか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
○西田委員 高橋委員の質問にお答え申し上げます。
 御質問の趣旨というのは、この第三条で例示した文化芸術活動ということについて、芸術性がある場合に児童ポルノに当たるのか当たらないのかという判断ということでございましょう。
 この第三条というのは、先ほど階提案者の方からも御説明させていただいたとおり、これは現行法にある適用上の規定に、さらに文化芸術活動や学術研究といったものを例示した規定でございます。
 児童ポルノに当たるかどうか、該当するかどうかというのは、これは従来のとおりでございまして、児童ポルノ禁止法の第二条三項の各号の定めに該当するかどうかをもって判断する、ここは変わらないところでございます。
 具体的に、この第二条三項の第三号、いわゆる三号ポルノでございますけれども、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」という要件、この判断についてでありますけれども、児童が実際に描写された画像等の全体から見て芸術性があるかどうか、もしくは芸術的表現の上で児童の裸体等を描写する必要性や合理性が認められるかどうかといったことを一つの考慮の要素として判断することになると考えられます。
○高橋(み)委員 ありがとうございました。よくわかりました。
 少しまた細かい話になるんですけれども、今回、法律全体を章立てとしまして、三条の二を総則の章に置いて規定していると思うんですけれども、この趣旨というのはどのようなものでしょうか。
○西田委員 お答え申し上げます。
 恐らく、高橋委員の御質問の趣旨というのは、当初、自民、公明、維新で出していたときには六条で書いていたじゃないかということを受けてのことだと思います。
 趣旨の説明でもさせていただきましたが、今回の改正法案では章立てにしてあります。一章が総則、二章に処罰、三章が児童の保護、そして四章が雑則となるわけでございますけれども、この三条の二の規定というのは、やはり、児童に対する性的搾取、もしくは性的虐待、こういった言うまでもなく許されないような行為、こういったものはきちんと、処罰の章ではなく、総則として、理念として宣言する方がいいだろうということで、六条の二から三条、いわゆる総則の章に移させていただいた次第でございます。
○高橋(み)委員 ありがとうございました。理念として宣言することの大事さということを私も理解しておりますので、それはとてもいい改正というか、作成じゃないかなと思っております。
 それで、もっと細かくなってしまうんですけれども、今のところの、三条の二の「みだりに」というところがございます。「何人も、児童買春をし、又はみだりに児童ポルノを所持し、若しくは」と書いてあるんですけれども、所持することのみだりにというような意味がちょっとどういう意味なのかわからないので、そこを御説明いただきたいと思います。
○西田委員 お答え申し上げます。
 これは法令用語辞典からの引用で大変恐縮なんでございますけれども、法令におけるみだりにの意味というのは、一般に、社会通念上正当な理由があるとは認められない場合、つまり正当な理由がなくというのとおおむね同様の理由であると思われます。
 したがって、児童ポルノを所持する場合であっても、例えば、例示をいたしますが、警察が捜査の過程で持っている場合とか、あるいは警察から依頼を受けて専門家の方々が鑑定をする場合であったりとか、あるいは、先ほどもありましたが、報道記者等が取材のために取得をするに至った場合であったりとか、あるいは、例えばホットラインセンターの業務であったりとか、あるいはまた、フィルタリングソフトの開発であったり、そういったことの過程で取得した場合、これは正当な理由があるものとして、この「みだりに」という規定には当たらないというものと解されると考えます。
○高橋(み)委員 ありがとうございました。
 それでは次に、七条五項の方に行きたいんですけれども、七条五項の文言をちょっと読ませていただきますと、「前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他」というような感じの条文になっているんですけれども、この趣旨をそもそもお尋ねしたいと思います。
○西田委員 お答え申し上げます。
 これも趣旨説明で触れさせていただいた点でございますけれども、今回は、これまでの現行法が、いわゆる提供目的の所持に対する処罰、それと、あとは、児童に姿態をとらせて製造する場合の処罰があったわけですけれども、盗撮もだめだということで、処罰範囲を拡大する趣旨でつくらせていただいたものでございます。
 これまでは、このように、先ほど申したように、提供目的はだめです、そして、児童にそういう姿態をとらせてつくるのもだめですということにしたんですけれども、当然、盗撮というのも甚だ悪質でございます。児童の尊厳を著しく侵害することは言うまでもございませんし、一方で、児童を性的行為の対象とする風潮を助長する、あるいは抽象的、一般的な児童の人格権を侵害する、そういった行為であることも言うまでもないと思っております。流通の危険性を創出する、こういった危険性があるわけでございますし、そういったことを防止する観点も考慮しなければなりません。
 そういったことから、今回、新たに盗撮も処罰の範囲に入れるということで拡大をする趣旨でございます。
○高橋(み)委員 ありがとうございます。
 そうすると、今読みました七条五項の「ひそかに」というのは、盗撮ということでよろしいんでしょうか。
○西田委員 まさにこの「ひそかに」が盗撮を意味するものでございますが、「ひそかに」というものをどう解釈するかというのは、きちんと定義づけをしておかなければいけないというふうに思います。
 この「ひそかに」は、描写の対象となる児童に知られることのないような態様でという意味で解されるものでございます。これは、通常、盗撮されている場合というのは、盗撮されている児童は盗撮されていることを知らないわけでございます。これが一般的かと思うんですけれども、仮に、例外的ではあるかと思うんですけれども、盗撮されていることに気づいてしまった場合であったとしても、ひそかに児童に知られないようにこれを撮影しているような場合であっても、これは基本的に適用されるというふうに解されます。
 以上でございます。
○高橋(み)委員 ありがとうございました。
 同じ条文なんですけれども、「製造」という文言があるんですけれども、「製造した者も、」というところなんですけれども、これは複写も入るということでよろしいんでしょうか。
○西田委員 お答え申し上げます。
 ここに掲げました、第七条五項における「製造」に関しましては、この前段で「児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、」というふうに手段を限定しております。ですので、複写は当たりません。
○高橋(み)委員 わかりました。ありがとうございます。
 それでは、ちょっと次の質問に移りたいと思うんですけれども、今回の法律では、児童の年齢というもの、二条一項に定めてあるんですけれども、十八歳に満たない者が対象とされております。
 十七歳ぐらいというのは、もう児童の範囲を超えて大人と変わらないんじゃないかなというような私はイメージがございます。そうすると、児童という年齢を少し下げて、十三歳未満とかぐらいにした方が、処罰範囲の明確化ということではいいんじゃないかなというようなイメージがございました。
 例えば、今、奈良県では条例をつくっているんですけれども、そこでは十三歳未満をポルノの所持の対象としているんですけれども、このように、少し児童の対象を下げた方がわかりやすい。先ほど処罰範囲の明確化をしやすいということがあるということと、十八歳近辺の場合、はっきりわからないようなポルノ写真を単純所持していた場合この法律に当たるのかということを、ちょっとわからない点というか疑問に思っておりますので、そこについてお尋ねしたいと思います。
○遠山委員 高橋議員から大変重要な御指摘をいただいたと思います。何点か質問の中に要素が含まれますので、できる限り丁寧にお答えをしたいと思います。
 まず、児童ポルノの対象の児童の年齢を十八歳から下げた方がいいのではないかという御指摘がございました。恐らく高橋議員は、決して処罰範囲を狭めろと言っているのではなくて、諸外国の一部あるいは日本の地方自治体の一部が十三歳未満という基準を設けていろいろな規制をかけている例があるからではないかと推察をしております。私どもの実務者協議の中でも、これは我々、調査をして認識いたしております。
 ですが、既存の児童にかかわる条約、法律との整合性をとらなきゃいけないという立場からいいますと、まず、児童の権利に関する条約が、その対象となる児童を十八歳に満たない者とすることを原則としております。また、日本の児童福祉法も、児童の定義というのは十八歳に満たない者とされているわけでございまして、これらの基本的な条約、法律と今回の当該法改正案の目的から考えて、十八歳未満の者をこの法律でも児童と捉えるということにいたしました。
 また、現実に、児童の年齢を十八歳よりも引き下げた場合に、今度は処罰される対象が過度に限定されるおそれも出てくるというふうに思います。
 御指摘になったようなケースがありましたけれども、もちろん、個別具体的な証拠によってそれぞれの事件、事案は判断をしていかなければいけないんですが、一般論としては、被写体となった児童が十八歳未満であれば児童ポルノに該当し、これを自己の性的好奇心を満たす目的で所持すれば、七条一項の所持罪というものが成立することになります。一方で、被写体となった児童が十八歳以上であれば、児童ではないんですが、であれば、児童ポルノには該当しないので所持罪は成立をしないということになります。
 ただ、これは今後運用されていく中で大変難しい問題がございまして、例えば、実際の年齢は二十なんですが、その写真集を売り出すときに十六歳と詐称して売ったものを所持した場合はどうなるのかということもございますし、逆の場合もあり得るわけですね。十八歳未満の児童の写真なんだけれども、二十ですと言って売られた場合、どうなるか。
 これは難しいんです、詳しいことはまた別途、警察庁とか法務省の刑事局にきょうではない日に確認をしていただきたいと思いますが、例えば、十六歳の女性が写っている写真集を二十の写真集だと言って売って、購入した方が二十だと思って買った場合は、児童ポルノを買ったという認識が本人にないんですね。ですから、故意でないので、処罰の対象にはなりません。ただ、写っているのは十六歳なんです。だから、製造した側には罪がありますが、本人が二十だと思い込んで買った場合は罪にならない。しかしながら、十六歳なのに二十のものだと売りながらも、買った人全員が、実は十八歳以下の写真集を買ったと認識をしているような売り方をした場合は、買った人も処罰の対象になるんです。
 ここは非常に難しいラインの引き方が現実にあって、捜査当局とか、判断する側で、先ほど来繰り返していますように、個人の内心にかかわることでもございますので、客観的なその入手の経緯、時期、方法から、きちんと児童ポルノと認識をして自己の意思に基づいて所持に至ったということが立証されなければ処罰されないということも、ほかの法律の箇所でも規制をかけているわけでございまして、そういった、その被写体の実年齢と、実際にその商品がどういうラベルで売られているかということについては、これは慎重な配慮が求められるというふうに認識をいたしております。
○高橋(み)委員 具体的にいろいろ本当に詳しい御説明ありがとうございました。
 実際にこれを運用していったときにどうなるかというのは、具体的な事案に即していろいろ考えていかなければいけなくて、これから事例が積み重なることによってきちんとした明確なものができていくのかなというような印象を持たせていただきました。
 それでは、次に行きたいんですけれども、児童ポルノを撮って所持していた場合、どのような処罰というか科刑になるのかというのをちょっとお尋ねしたいと思っております。
 強制わいせつ罪というのがもちろん刑法にありまして、十三歳未満なら、別に暴行、脅迫を必要としなくても、例えば同意があっても強制わいせつ罪になると私は理解しているんですけれども、児童の写真を撮って所持していた場合、強制わいせつ罪と児童ポルノの所持との関係はどのようになるか教えていただければと思います。
○遠山委員 お答え申し上げます。
 これもなかなかお答えが難しい質問だと思っておりますが、罪数の関係、罪の数の関係につきましては、これはもちろん個別具体的な事案の証拠関係に基づいて裁判所が判断する事柄でございますので、一概にこうだとお答えするのは難しいんですが、あえて一般論的に申し上げれば、この児童ポルノ禁止法が、児童ポルノの製造、所持、提供の各行為を並列的に禁圧する規定を置いているのは、児童ポルノが児童の権利を侵害するなど、社会に極めて重大かつ深刻な害悪を流す特質を有するという認識がありまして、その害悪の流布を防止するため、製造、所持、提供の行為いかんを問わず、あらゆる角度から児童ポルノに関する行為を列挙して、これらを処罰対象とする趣旨と解されます。
 よって、もちろん個別具体の事案によって違うんですが、児童ポルノの撮影、それから所持の各行為は、別個独立の行為としてそれぞれ一罪として処罰され、そして両罪は併合罪とされると考えております。
 ちなみに、この考え方のもとになる判決が、大阪高裁の判決で、平成二十年四月十七日に出されているところでございます。
 また、強制わいせつ罪と児童ポルノ所持、両方の場合どうかというお話でございましたが、これは別個の意思に基づく相当性質の異なる行為でございまして、これ二つをあわせ一罪として扱うことを妥当とするような社会的一体性は認められないと考えております。よって、強制わいせつ罪と児童ポルノ所持も、それぞれ一罪として処罰をされ、両罪は併合罪とされると考えます。
 刑罰でございますが、これも個々の事案によって違うとは思いますけれども、例えば、強制わいせつ罪と本改正案の七条一項の所持罪が併合罪としてあわされました場合、量刑の上限は、強制わいせつが十年で、こちらの法律の七条一項が一年でございますので、六カ月以上十一年以下の懲役というものの中で判断が下されるというふうに理解をしております。例示として御参考までに申し上げます。
○高橋(み)委員 ありがとうございました。
 やはり児童ポルノを撮られるというか、そういう場合、強制わいせつというか、無理やり撮られたということがどう考えても多いんじゃないかと私は思っております。
 ですから、その点、ただ単に立証しやすいから、持っていただけとかというような方に流れるという不安がちょっとあったので今回質問させていただいたんですけれども、その点は、これからどう運用されていくかというところにはかかると思うんですけれども、ぜひ丁寧に見ていっていただければなと思っております。
 次に行きまして、インターネットの利用にかかわる事業者の努力というところについてお尋ねしたいと思います。
 十六条の三になります。ここを読ませていただきますと、「捜査機関への協力、当該事業者が有する管理権限に基づき児童ポルノに係る情報の送信を防止する措置その他インターネットを利用したこれらの行為の防止に資するための措置を講ずるよう努めるものとする。」というような文言になっております。
 インターネットの技術というものはきっと日々進歩していて、捜査機関の側の方が幾ら頑張っても、イタチごっこになってしまう可能性というのはかなり大きいものだと思っております。
 しかしながら、やはり今は、昔のように、写真を撮って、それを写っている人とか町内会とか近くにばらまくというものではなくて、インターネットに一度流されてしまうと本当に簡単に拡大されてしまって、それを一時削除したとしても、削除し切れない、どこかにはあるかもしれないということで、被害者の方たちの心理的なつらさというのは想像するにかなり厳しいものがあると思っております。
 そうしますと、インターネットの接続業者さんたちにはもっともっとぜひ頑張ってもらわなければいけないなというような私は印象がございます。その頑張るというのは、インターネットの事業者さんは、それに基づいていろいろな商売をやって利益を得ている。働いて正当な利益を得ているんですけれども、その中に余り好ましくないものがあった場合、インターネットの接続業者さんにも、それをみずから排除するというのか、制限をしていく必要性が私はかなりあると思っております。
 そうしますと、ここの文言、「努めるものとする。」というのでは少し弱くて、必ず、例えば時間を区切って、何年ぐらいにはこういう被害を防止できるようなものにしていくというような、もうちょっと強い、努力義務以上のものを本当はぜひ検討していただきたいなと私は思っているんですけれども、その点いかがでしょうか。
○ふくだ委員 お答え申し上げます。
 インターネット事業者の自主的な措置といいますのは、これまでも答弁でございましたように、実際、相当程度実施されておりまして、これに義務を課するということは、今まで一生懸命やっている事業者に対して新たな規制を設けるという誤解を招いてしまうこともあると思います。
 そこで、本条は、適切な事業者に対して新たな規制を行うという趣旨ではなく、これらの努力を後押しすることとともに、措置の不十分な事業者というのも実際おりますので、そうした方々に一層の努力を促す趣旨として努力義務規定としたところでございます。
 とにかく、みんなで応援して、もっとしっかりやってもらおうということで、当面対応させていただきたいという考え方でございます。
○高橋(み)委員 ありがとうございます。
 応援してしっかりやっていただくでいいのかなと、私は、被害者の側の立場の方たちを考えるとちょっとそれでは弱いんじゃないかなというようなイメージがあります。
 実際問題、今おっしゃられたように、実際にはしっかりと、義務化とまではいかないけれども、一応、何というのですか、機械的なもの、機械的というか制度をちゃんとつくっていただいている方たちも多いとはもちろん思っております。ただ、そうじゃない人もいるのは事実ですし、また、技術がどんどん進歩していった場合、やはり先ほども申し上げましたけれどもイタチごっこになってしまう可能性もございます。
 しっかり応援していくというよりは、国がもう少し頑張ってそういうことがないようにしていくというのが国の責務ではないかなと思っておりますので、本当は、できたらもう少し、義務化というのは実際難しいかもしれないんですけれども、強い口調で書くような条文というものもつくれたらいいんじゃないかなと、勝手ではございますが、思いました。
 今回、私もちょっと辛口な質問もさせていただいたんですけれども、この法律の改正というのはもちろん大賛成でございます。ただ、これができたので、成立した、改正がオーケーになったということで満足することはなく、やはり泣いている人たちも多いと思いますので、そのために日々検討をこれからもぜひ皆さんで重ねていっていただきたい、私もそのために頑張りたいと思っております。
 きょうは、ありがとうございました。
○江崎委員長 次に、椎名毅委員。
○椎名委員 結いの党の椎名毅でございます。
 本日、児童ポルノの禁止に関する法案ということで、動議者の方々に質疑させていただくことになりました。四十分ということです。
 私自身も、本日ここに御答弁に出ていらっしゃいます四名の先生方とともに実務者協議に参加をさせていただきまして、そして、大筋合意ということができたことから、私も答弁に回りたかったんですけれども、ちょっといろいろ技術的な理由がございまして、私自身は質問をさせていただく側に回らせていただきました。
 私としても、るる実務者協議の中でいろいろ議論してきたことを踏まえて、現実にいろいろ起き得る可能性のある話をしながら質疑をさせていただきたいと思います。
 まず一点目ですけれども、三号ポルノの定義についてです。
 児童ポルノの単純所持規制が現実化するんじゃないかということが問題になったときに、インターネット上なんかでも結構話題になったのが、イギリスの事案です。
 パソコンを修理に出したら、お孫さんの水浴びをしている写真というのが修理業者のところに、中を見てみたらいっぱい出てくるわけですね。修理業者が慌ててこれを警察に知らせた上で、そうすると警察が、非常に挑発的な児童の裸の写真があるということで、その御老人が、お孫さんの写真を持っていただけにもかかわらず逮捕されてしまうということがあったようでございます。これは、インターネットニュースなんかでも指摘されていたことです。
 虐待されている児童の方々を保護し、児童ポルノを禁止するということは非常に正しいことだというふうに私自身は思っていますが、他方で、こういった不慮の事故というか、こういった望まない人たちを処罰することはやはり望ましくないと思っております。
 今回、三号ポルノの定義を比較的明確化したことによって、こういった今申し上げたような事案は排除されるのではないかというふうに期待をしておりますけれども、遠山先生にお答えをいただければというふうに思います。
○遠山委員 椎名議員にお答えをする前に、御自身でもおっしゃっておりましたように、椎名議員はこの間ずっと実務者協議のメンバーでございまして、本来はこちら側に座って答弁をしていただきたい方であるわけでございますが、御心配なく、この法案が当委員会で通りまして参議院に送付された場合には、そこで改めて提案者に登録をいたしまして、参議院で厳しい質問にお答えいただく予定になっておりますので、よろしくお願いいたします。いずれにしても、御努力に感謝を申し上げます。
 さて、今、大変興味深い事例の紹介がございました。イギリスでコンピューターを修理に出したら、そのコンピューターの中に入っていたお孫さんの写真で警察に通報され、児童ポルノの多分所持で逮捕されたということでございますが、今回の改正を受けて日本でもそういうことが起こるのかという趣旨の御質問だったと思います。
 結論は、委員御存じのとおり、これは起こり得ないということでございます。先ほど来御答弁を繰り返しておりますとおり、当該画像の内容が、性欲の興奮または刺激に向けられていると評価されるものでなければならない。その評価の基準として、新たに今回の改正案、いわゆる三号ポルノの定義の中に、殊さらに児童の性的な部位、性器等もしくはその周辺部、臀部または胸部が露出され、または強調されているものであり、かつ、という表現を加えさせていただきました。
 その表現の具体的な意味というのは、児童の性的な部位の描写がずっと延々と続いているのか、静止画であればそこが強調されているのか、あるいは、PCのケースでいえば、発見された写真のうちのどれぐらいの割合の枚数がそういう裸の写真であるか等々から、客観的な要素に基づいて判断をされなければいけないことだと考えております。
 よって、処罰範囲を狭めるということではありませんけれども、より明確にする改正案でございます。
 ただ、一点だけ、先ほど来答弁で申し上げておりますとおり、児童ポルノではないかと疑われる画像の撮影者が両親や祖父母であるから大丈夫だということには自動的にならないわけでございまして、あってはならないことですけれども、近親者が自分の子供や孫を使ってそういう製品をつくった事例も過去にあるわけでございます。あくまでも客観的な状況から、三号ポルノの定義に当てはまるのかどうか慎重に判断することが求められると考えております。
○椎名委員 ありがとうございます。
 そういう形で客観的に要件を絞っていって、きちんと立証していくということで、不慮の処罰というのを排除していかなければならないなというふうに私自身も思っております。
 二点目ですけれども、単純所持の条項について、七条一項をきちんと見ると、自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持して、かつ、自己の意思に基づいて所持するに至っていなければいけなくて、さらに四点目で、当該者であることが明らかに認められる者に対して処罰がなされるということになるんだというふうに理解をしています。
 先ほど枝野委員の質疑の中でも幾つか指摘がありましたけれども、やはりこれは、意図しないでポルノ画像を送りつけられた場合というところを不当に処罰してはならないわけですね。こういうところで、例えばメールなんかで、児童ポルノに相当する、該当するような画像を送りつけられたような場合にやはり問題になるわけです。
 当初、この所持、保管が自己の意思に基づかなかったとしても、その後に自己の意思に基づく所持に変わることがあるというのは、先ほど階委員からも御答弁あったかというふうに思います。これは附則の経過措置とも絡んでくる話だと思います。
 途中で自己の意思に基づいて所持、保管するに至ったと評価をされるような場合、これは具体的にどういうふうに判断をしていくのか、その基準について伺えればというふうに思います。
○階委員 今委員から御指摘があったように、当初、所持、保管が、送りつけ事案のように、自己の意思に基づかずに開始された場合であっても、後に自己の意思に基づいて所持、保管するに至ったと評価される場合があります。
 その基準といいますかメルクマールですが、自己の利用に向けた積極的な行為の有無というところが基準になるかと考えられます。この基準を採用しますと、具体的なケースにおいて、以下のように整理するのがいいのではないかと考えております。
 まず、当該行為のみをもって自己の利用に向けたと評価し得る事例でございますけれども、例えば、送りつけられたメールの児童ポルノ画像の添付ファイルをプリントアウトしたものをファイリングして書庫に置いていた場合、あるいは、送りつけられたメールの児童ポルノ画像の添付ファイルを受信フォルダに入れたままにしておいたが、当該添付ファイルを繰り返し閲覧していた場合、あるいは、送りつけられた児童ポルノ本を貸し倉庫を借りて預けていたような場合が考えられるかと思います。
 他方、当該行為のみをもって自己の利用に向けたと評価し得るかどうか微妙な事例としましては、まず、送りつけられたメールの児童ポルノ画像の添付ファイルをパソコンのフォルダ、USBメモリーなどに入れて保存した場合、こうした場合は、他のポルノ画像が入ったフォルダ、USBに入れた場合は、自己の利用に向けた行為と言えるであろうし、削除の趣旨でごみ箱フォルダに入れた場合には、それのみでは自己の利用に向けた行為とは言えないという意味において微妙だということです。
 あるいは、別な事例としましては、送りつけられた児童ポルノ本を開封して自宅に保管したような事例、こうした事例においては、他のポルノ本と並べてよく使う書棚に保管した場合には自己の利用に向けた行為と言えるであろうし、いずれ廃棄予定の不要な雑誌等を平積みしている場所に一緒に保管した場合などは、それのみでは自己の利用に向けた行為とは言えないということで、微妙なケースであります。
 さらに、三つ目の事例としましては、当該行為のみでは自己の利用に向けたと評価し得ない事例でございます。
 こうした事例は、まずは、送りつけられたメールの児童ポルノ画像の添付ファイルを開いたけれども、その後、削除せずにパソコン内にデータとして残っていた場合、あるいは送りつけられたメールがメールソフトの自動ソート機能でパソコン内に保存されていた場合、あるいは送りつけられた封筒を開封して児童ポルノ本と確認したがそのまま自宅内で放置していた場合、こうしたことのみでは自己の利用に向けたと評価し得ないと思います。
 なお、先ほど枝野議員の質問の中で、他から送りつけられたのではなくて、昔々、自分で取得していた、それが法適用が開始された後に引っ越しなどで見つかったようなケース、この場合には、その時点において性的好奇心を満たす目的がありやなしやということが問題になるわけでございまして、そうした目的の有無について、やはり、今申し上げたような行為があるかどうかということが一つの判断材料になるということであります。
○椎名委員 ありがとうございます。
 今の御答弁によると、恐らく、ウイルスかなんかで送りつけられてきたような児童ポルノ、これをパソコンの中で一旦開く、そして開くと、大体、ダウンロードフォルダというところに恐らく入り込むことになると思います。そのまま放置していたような場合というのは、パソコンの中に自動で保存されてはいるけれども、多分、自己の意思に基づいて所持をしていないし、さらに、その後、新たに自己の意思に基づいた所持というふうには恐らくならないんじゃないかというふうに思います。
 なので、不当な処罰というのは限定されていくことに恐らくなるだろうというふうに期待をしたいというふうに思います。
 三点目について伺いたいと思います。
 この七条一項の中で、主観にまつわる部分が二つあるわけですね。「自己の性的好奇心を満たす目的」というところと、それから「自己の意思に基づいて所持」というこの二つですね。この二つの関係については、先ほど、枝野委員から階先生に対して御質問があったところであるというふうに思います。
 先ほど、私の質問に対する御答弁で階先生が、貸し倉庫について、貸し倉庫で保管しているような場合は、自己に基づく意思、新たな意思が観念できるのではないかというようなお話をいただきましたけれども、他方で、貸し倉庫のような場合ですと、共犯というか従犯というか、そういう人たちが出てくるわけですね。要するに、この児童ポルノの所持をしている人たちに対して協力をする方々について少し伺いたいというふうに思います。
 まず、目的の方について法務省に伺いたいと思います。
 これはいわゆる目的犯だというのは、先ほど遠山先生の御答弁でもありました。目的犯と身分というのは司法試験的な論点でよくある話なんですけれども、これが身分だとすると、恐らく刑法六十五条一項というところの適用関係になるのではないかなというふうに思います。
 目的犯の身分、目的犯の目的が身分だとすると、六十五条の一項の適用関係ということが問題になり、非身分者が身分者に対して加功するということに恐らくなるんだと思います。そういった場合にどうなるのかということ、そして、本法案の「自己の性的好奇心を満たす目的」を持っている正犯に対して、それを持っていない従犯が加功したような場合にどうなるのか、教えていただければと思います。
○林政府参考人 お尋ねの目的犯の目的が身分に当たるかどうか、これにつきましては、判例上は必ずしも明らかになっておりません。また、学説上も大いに争いのあるところでございまして、法務当局として、これが身分に当たるかどうかについて確たることを申し上げることは差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げますと、いわゆる真正身分犯、すなわち、一定の身分を有することによって初めて犯罪が成立し得る、こういう犯罪類型については、その場合に、非身分者が身分者に加功したような場合には、これは判例によれば、刑法六十五条一項により共犯が成立する場合がある、こういうふうにされております。
 そこで、お尋ねの本法案の「自己の性的好奇心を満たす目的」に関して、これをどう考えるかということでございますが、ただいま申し上げましたように、この目的が身分に当たるかどうかについては明らかではないものでございますけれども、いずれにしても、自己の性的好奇心を満たす目的を持たない者が、当該目的を持つ者、これが正犯でございますが、この正犯の行為を容易にして、これを加功したような場合に、当該目的を有しない者がその共犯者として処罰されることはあり得るものと考えております。
○椎名委員 ありがとうございます。
 では、もう一つ、「自己の意思に基づいて」というところについて階先生に伺いたいと思います。
 これは恐らく、正犯者に自己の意思に基づく所持が観念できない場合と、それから、正犯者にはあるけれども従犯者に自己の意思に基づく所持というのがない場合と、いろいろあるんだろうというふうに思いますけれども、正犯者に自己の意思に基づく所持が観念できないような場合、この場合に従犯が成立するのか。こういう「自己の意思に基づいて所持するに至った」というところがどういった法的な意味合いを持つのかを含めて、御答弁いただければというふうに思います。
○階委員 今御指摘のあった点は実務者協議でも大変議論になった点でございまして、まさに「自己の意思に基づいて所持するに至った」という文言の法的な位置づけにかかわってくるところでございます。
 そもそもこの第七条一項の構成要件は、基本的には、自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持あるいは保管というところが構成要件です。括弧内で、「自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。」というふうに定められているわけですが、この括弧書きの法的性質については、その前半部分、すなわち、所持の開始のときに自己の意思に基づいているということを前半が規定しておりますけれども、それは客観的なことを定めているわけですが、後半部分では立証の程度について規定しているということであります。
 これを処罰条件と見るか、構成要件と見るかということについて実務者協議でも議論になりましたけれども、いずれでもないだろう、また、こういったことについて同様の立法例もないということで、結論としましては、この括弧書きの法的性質が必ずしも明らかではありませんねということになったわけです。
 ただ、その前半部分、すなわち、「自己の意思に基づいて所持するに至った」というところが構成要件要素である「所持」を開始した経緯及びその時点における認識についての要件であり、いわば構成要件に関する要素というふうに理解できるのではないか。このように解した場合、共犯の従属性という刑法上の論点がありますけれども、要素従属性のいろいろな学説がありますが、正犯が構成要件を満たさない場合には共犯を処罰しないという立場ではどの学説も一貫しているわけです。
 したがいまして、いろいろな学説がありますけれども、正犯が括弧書き前半の要件を満たしていない場合には、共犯、すなわち教唆犯、幇助犯についても処罰しないという整理になると考えております。
 また、実質的にも、この規定の趣旨は性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持した行為についてその処罰範囲を括弧書きの条件を満たす者に限定するものであるため、正犯が処罰できないのに狭義の共犯について処罰することは相当でないと言えると思います。
○椎名委員 ありがとうございます。
 そうすると、倉庫の業者に児童ポルノを預けているつもりがなくて、預けっ放しにしているような場合、倉庫業者もそれから本人も処罰をされないという結論に恐らくなるだろうというふうに思います。これで不当な処罰というのが大分限定されてきているのではないかなというふうに私自身も思っています。
 次に、十六条の三のインターネット事業者の努力義務のところについて伺ってまいりたいというふうに思います。
 先ほど枝野先生からもありましたので確認的だというふうに思いますが、インターネットコンテンツセーフティ協会、これは、ICSAとおっしゃっていましたけれども、このICSAを通じて、かなりブロッキングというものはやっています。インターネットについては、最新のデータだと七九・六%、そして携帯だと九六・一%ということで、かなりブロッキング自体は行っています。
 しかし、かなり回避可能性が高いというふうに言われています。それは何かというと、例えばグーグルのサーチで援助交際というふうに検索をすると、それはもうブロッキングをされているので見えないということはあったりします。援助交際の略称である援交というのも、援助交際の援助の援と交際の交で、この二文字で検索をするとブロックされるということはあったりします。しかし、字を変えて、音が同じ読み方になる、例えば一円、二円の円に光という字を入れて円光というふうに検索をすると、だあっと画像が出てきたりするわけですね。かなり回避可能性が高いというふうに言われています。
 事業者も非常に努力をもちろんしているわけですけれども、しかし、これ以上さらに努力をするという趣旨であると、今の現状の技術ではなかなか難しい部分もあるということで、あくまでもこれは、現状のICSAの行っている自主規制の取り組みに対して新たな義務をさらに追加して課すわけでは決してないということを一応確認させていただければというふうに思います。
○ふくだ委員 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、提案者といたしましても、本条は適切な事業者に対して新たな規制を行うという趣旨ではありません。こうした努力を後押しするとともに、措置の不十分な事業者に対しては一層の努力を促す趣旨であると考えています。
 先ほど義務化という話もございましたが、このインターネットコンテンツセーフティ協会の中には、まさしく児童ポルノの映像を見て、これは児童ポルノに当たるかどうかを判断して、年がら年じゅう画像を見て当たるかどうかを判断するという仕事をなされている方もいらっしゃいます。こうした方々に、義務だからやりなさいというのは本当に大変だと思うんですね。
 あくまでこれは世の中のために、実在する児童の権利保護のために、みずからの心の強さを持ってこうした仕事をなされているということを考えると、私は、義務だからやれではなく、努力として頑張ってもらう、それを応援するということが努力をされている方々にとっては望ましい形だと理解しております。
○椎名委員 ありがとうございます。
 やはり、過剰なところまでいくと、インターネット事業者もビジネスとしてやっているのでなかなか難しい部分も恐らくあろうかというふうには思いますので、あくまでも応援をしていく趣旨だという確認をさせていただきました。
 そして、警察庁の参考人にいらっしゃっていただいているので警察庁に確認をしたいんですけれども、事業者としては、恐らく非常に不安に思うのが、これは努力義務である、我々立法者の意思としては新たに義務を追加する趣旨ではないと思っているけれども、捜査機関はこの規定があるのであれをやれこれをやれと言ってくることは怖いというふうに思っている部分もあるのではないかというふうに思います。
 そういったところで、一応確認をさせていただきたいんですけれども、この捜査機関に対する協力というのが努力義務の例示として書かれているわけですけれども、具体的に捜査機関側からどういった御協力をお願いしていくことになるのかということについて、警察庁の参考人に伺えればというふうに思います。
○宮城政府参考人 お答えを申し上げます。
 お尋ねの法第十六条の三の捜査機関への協力といたしましては、これまでと同様、捜査に関する照会に応じて、その保有している情報を適切に提供していただくこと、あるいは、捜索、差し押さえに関する令状の執行の際に円滑な協力をいただくこと、こういうことを想定してございます。
 従来から、捜査に当たりましては、関係者の利便を考慮し、必要な限度を超えた負担が生じないよう配慮しつつ、捜査を行っておるところでございます。今般の法案が成立した場合も、引き続き同様の配慮を行ってまいりたい、このように考えてございます。
○椎名委員 ありがとうございました。
 引き続き同様の範囲というふうにおっしゃっていただきました。ありがとうございます。
 インターネットに関連して、あと、附則の三条一項、二項というところがあるので、それらに関連して幾つか確認をしてまいりたいというふうに思います。
 この附則の三条、「政府は、インターネットを利用した児童ポルノに係る情報の閲覧等を制限するための措置に関する技術の開発の促進について、十分な配慮をする」というふうに記載されていますけれども、まず一点目、確認的にですけれども、「インターネットを利用した児童ポルノに係る情報の閲覧等を制限するための措置」というところの内容についてふくだ先生に伺えればなというふうに思います。
○ふくだ委員 これは、児童ポルノへのアクセス自体を制限するブロッキング等の措置を講ずるということが想定されております。
 ただ、先ほども話がありましたように、ブロッキングというのは、基本的には、児童ポルノのデータ自体がサーバーにあるわけですよね。そうしますと、先ほど事例がありましたように、いつそれが出てくるかわからないという恐怖心とずっと闘わなければならない。ですから、本質的には削除が重要なんだというふうに思います。
 現状、削除の要請につきましては、インターネット協会で運営しているこのインターネット・ホットラインセンターから国内のサイトの管理者に削除要請が行きます。あるいは、海外のサイトの場合は、インターナショナル・アソシエーション・オブ・インターネット・ホットラインという会社を通じて削除要請をかけております。今こういう状態なんですね。
 これができないものに対しては結局ブロッキングしかないということでありますが、本来、削除が基本であるということを考えれば、このインターネット・ホットラインセンターも、海外機関を通じて削除要請するだけではなくて、直接みずからが執拗に削除を働きかけるということも今後展開していくべきではなかろうかというふうに考えております。
○椎名委員 ありがとうございます。
 削除というのは本当に、言うはやすし、行うはかたしで、かなり難しいんですけれども、やはり本当に重要だというふうに思います。
 デジタルデータであれば、ファイル名を、数字の羅列でファイル名がついているわけですけれども、数字の羅列の最後の一桁だけを数字を変えたりすると、またそれを上げてブロッキングから解除、解除というか回避をすることができたりします。イタチごっこになる、非常に難しい問題だというふうに思いますけれども、やはり削除をし続けていくということが非常に重要だなというふうに私自身も思っています。
 二点目、この三条の一項、「十分な配慮」というところについてもあわせてふくだ先生に伺いたいんですけれども、これは予算措置等まで含んで考えてしかるべきかというふうに思いますけれども、どうでしょうか。
○ふくだ委員 これは、先ほども御答弁ありましたが、予算措置も「十分な配慮」に含まれ得ると考えておりますし、今削除の話もいたしましたが、こうしたブロッキングだけではなくて、削除に対する技術も含めて、政府としても事業者に対して応援をしていくという趣旨で御理解いただければというふうに思います。
○椎名委員 ありがとうございます。
 総務省の参考人にもいらっしゃっていただいておりますので、現在のブロッキングの技術等の検討状況等について伺えればというふうに思います。
○安藤政府参考人 お答え申し上げます。
 総務省では、プロバイダーの規模などに見合った精度の高いブロッキング方式の自主的な導入を促進するための環境整備の一環といたしまして、平成二十三年度から平成二十五年度までの三年間、実装に適したシステムの開発でございますとか、その実証を実施してきたところでございます。
 この実証実験においては、各種のブロッキング方式について実施をし、そのブロッキングの精度の高い方式などについても、ネットワークへの過大な負荷を与えることなく、かつ、複数のプロバイダーでシステムを共同利用することなどにより、比較的低廉なコストで導入することが可能であることなどが確認されたところでありまして、こういった成果を踏まえて、ブロッキングの普及推進を今進めておるというところでございます。
○椎名委員 ありがとうございます。
 本法ができて、「十分な配慮」というのがこの三条一項に入るので、ぜひ予算を含めて総務省の方でも頑張っていただきたいというふうに思います。
 警察庁の参考人にもいらっしゃっていただいているので、もう一点、伺いたいと思います。
 先ほど来、ふくだ先生もおっしゃっていますが、やはり削除は非常に重要だというふうに思っています。しかし、削除というのは、結局、一個一個検索をし、ファイルを探して削除していくというかなり大変な労力だというふうに思っています。そういう意味で、やはり警察という組織の中で、インターネットの中で専門にサーチをし、取り締まりをする、そういう部隊をそろそろつくっていくということも考えなきゃいけないと思うんですけれども、今の現状として、インターネット専属で取り締まりを行ったりとかサーチをするという能力がどのくらいあるのか、教えていただければというふうに思います。
○宮城政府参考人 お答え申し上げます。
 警察では、今ございました児童ポルノ事犯のサイバーパトロール用の専用の端末を全国に整備してございます。これによりまして、国内サーバー上のウエブサイトにつきましては、取り締まりに加えまして、ブロッキング効果によりまして、これは相当程度減少してきているだろう、このような認識でございます。ただ一方、御指摘のように、事業者のブロッキングを回避いたしましたり、そういった形で児童ポルノ事犯を敢行する例もあることは事実でございます。
 そこで、こうした状況に対処するために、平成二十四年、おととしでございますが、捜査の過程で、いわゆる事業者がブロッキングを逃れるためにIPアドレスを数字で直接打ち込む方法、これをIP直打ちといいます、これを客に教示する例、これを解明して検挙したということで、この手口は少し減ってきておるということでございます。
 ただ、近年問題になってございますのは、こうしたブロッキングによる対策が非常に困難であるファイル共有ソフト、これによる事犯というのが広まっております。現在は、これに向けて重点的な取り締まりを行っておりまして、その結果、最近五年間の送致件数は、最近数年を申し上げますと、平成二十五年中にファイル共有ソフトを用いました児童ポルノ事犯については五百七件、平成二十四年には五百十九件、平成二十三年には三百六十八件、このような形でファイル共有ソフトを用いました児童ポルノ違反を検挙しているところでございます。
 今後とも、さまざまな手口が出てまいります。そういったものにつきまして、情報分析の上、効果的な取り組みを進めてまいりたい、こういうふうに考えてございます。
○椎名委員 ありがとうございます。
 さらに、総務省にもう一点伺いたいと思います。
 先ほどふくだ先生からも御説明がありましたけれども、削除というのは、IHCからプロバイダーに対して削除要請をし、そしてプロバイダーが削除をするということになります。プロバイダーが削除をするとすると、過度に削除をしたりとかすることもあり得るかなというふうに思って、かえって、表現者から、表現の自由を侵したんじゃないかということで訴えられる可能性もあるんだろうというふうに思っています。
 そういった場合に、民事上の責任を免責するかどうかという議論がやはりあってしかるべきなのかなというふうに思っていますけれども、そのあたりの検討状況について伺えればというふうに思います。
○安藤政府参考人 お答え申し上げます。
 インターネット上に流通する児童ポルノ画像により、名誉あるいはプライバシーなどの権利を侵害されたとする者からプロバイダーなどに対して画像の削除の申し出があった場合には、一点目といたしまして、削除したときには画像の投稿者の方から、それから逆に、削除しなかった場合には名誉等の権利を侵害されたとする者から、それぞれ、プロバイダーなどが損害賠償責任を問われる可能性、まさに、委員のおっしゃるとおり、可能性があるところでございます。
 こうした状況に対応するため、現行、プロバイダー責任制限法というのがございまして、この中において、他人の権利が不当に侵害されたと認めるに足りる相当の理由がある場合には、その画像を当該プロバイダー等が直ちに削除したとしても、プロバイダーは損害賠償の責任を免れる旨の規定をしておるところでございます。
 また、プロバイダーなどが画像の投稿者に対して、削除することに同意するかどうか、要するに、削除依頼の要請があったときに、その投稿者の方に削除することについて同意するかどうか照会いたしまして、投稿者が照会を受けた日から七日を経過してもこれに同意しない旨の申し出をしなかった場合には、削除の申し出がなされた画像を削除したとしても、当該プロバイダーは損害賠償責任を免れる旨の規定を用意させていただいているということでございます。
○椎名委員 ありがとうございます。
 こういった形で重層的に対応していくことで、被害を受けている児童の方々を守り、かつインターネット事業者に過度な負担も与えず、それで流通を削減していくという対応をしていかなければならないなというふうに思っております。
 最後に、私自身も、漫画、アニメの話についてさせていただきたいというふうに思います。
 漫画、アニメ、CG等について、児童ポルノ類似の表現が行われることについて私自身も危惧自体はしています。しかし、私自身も法律家であるのもあって、憲法の二十一条によって保障される表現の自由というものの重要性を痛いほど感じている部分もあります。この漫画、アニメの検討条項というのを今回削除したわけです。これは、私自身も、削除をしてほしいという、ここは割と強くお願いを申し上げたところの一つかなというふうに思っています。
 その背景にあるのは、二〇一〇年に、東京都条例がつくられた、青少年健全育成条例、これが議論をされたときに、やはり、非実在の児童に対する、漫画、アニメ、CGという意味ですけれども、に対するポルノ類似の行為を表現した表現物を禁止することについて大きな議論があった。特に、やはりその表現行為に対する萎縮というものがあり得るという指摘がよくなされたわけですね。
 この萎縮というのは具体的に何かというと、特に三号ポルノの定義が、今回はかなり明確化されましたけれども、それより前に、明確化されていないときには、三号ポルノの定義と相まって大きな問題になったりするわけですね。
 それは何かというと、例えば「ドラえもん」の漫画には、必ず、どこでもドアでしずかちゃんがお風呂に入っているところに入り込んでしまうという定番のシーンがあったりします。ここにはしずかちゃんの裸が出てくるわけですね。これは、児童の衣服の一部または全部をつけない姿態であり、かつ、それについての漫画なんですね。「ドカベン」でも、ドカベンの妹のサチ子がお風呂に入っているシーンとかがあったりするわけですね。
 こういう、裸を表現したけれども、別に性的な意図が特段ないような漫画についても、これはまずいんじゃないかということで流通に乗らなくなったりすることが実際にあったんですね。これをまさに萎縮効果と呼ぶわけです。これをやはり避けた方がいいという観点から、私自身は、ここを今回は見送ろうという提案をさせていただきました。
 今回これを削除した理由について、自民党のふくだ先生に伺えればというふうに思います。
○ふくだ委員 本来、椎名先生がここで答えるべき役なんだと認識をしておりますが、御指摘の検討の規定に関しましては、いろいろな関係団体の皆さんからも、創作者の萎縮を招くおそれがあるといった反対の主張が強くなされたということは現実でございます。
 こういったことを踏まえまして、今回の実務者協議会におきましては、改めて検討いたしまして、今回の児童ポルノの禁止法は、実在の児童の保護を目的としたものであるので、自己の性的好奇心を満たす目的での所持については罰則を図るけれども、漫画、アニメ、CG等にかかわる検討規定については、今回の改正案から削除するに至りました。
 これは先ほど来議論になっておりますが、科学的な検証、先ほど橋本委員からもありましたけれども、因果関係を含めて、そうしたものが明らかになったときには、改めて、今回の児童ポルノ法、この法律とは別枠で、しっかりと議論をしていくべき対象ではなかろうかと認識をしております。
○椎名委員 ありがとうございます。
 これは別枠でやっていくべきだというのは本当にそのとおりだと思っています。私も、土屋先生がおっしゃっているような、本当にひどいアニメや漫画等は絶対に規制すべきだというふうに思っています。
 最後に一点、こういった本当にひどい漫画、アニメ、CG等については、きちんと、刑法百七十五条、わいせつ物頒布罪において規制される対象になるということを一応確認したいと思います。
○林政府参考人 一般論として申し上げれば、漫画、アニメ、CG等におきまして、児童を対象とする内容であったとしましても、わいせつな図画等に該当するというものであれば、刑法百七十五条のわいせつ物頒布罪等の適用があるものと理解しております。
○椎名委員 ありがとうございます。
 これで終わりますが、本当に、皆さんで性的に虐待されている児童を守っていきたい、そう思っております。
 本日はありがとうございます。
○江崎委員長 これにて発言は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付しております起草案を委員会の成案とし、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○江崎委員長 起立総員。よって、そのように決しました。
 なお、ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんでしょうか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○江崎委員長 異議なしと認めます。そのように決しました。
 次回は、来る六月六日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十二分散会

186回国会参議院法務委員会23号会議録2014年6月12日

○委員長(荒木清寛君) 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 提出者衆議院法務委員長代理遠山清彦君から趣旨説明を聴取いたします。遠山清彦君。
○衆議院議員(遠山清彦君) 公明党の遠山清彦でございます。
 ただいま議題となりました法律案につきまして、その趣旨及び内容について御説明申し上げます。
 児童ポルノの所持、提供等の行為については、これが真に悪質な児童に対する性的虐待行為であるという基本的認識や、児童ポルノが広く流通している現状に対して有効な規制を及ぼさなければならないとの思いが、これまでも与野党の垣根を超えて共有されてきたところでありまして、平成十一年の法律制定時、また、平成十六年の改正時と、いずれも超党派の議員立法により、累次、規制が強化されてまいりました。
 そして、前回、平成十六年の改正法附則に、法律の施行状況や児童の権利の擁護に関する国際的動向等を踏まえて三年を目途として検討すべき旨の見直し条項が置かれたことから、各党において、児童ポルノ等に関する規制の在り方全般について真摯な議論がなされ、平成二十年六月には自公案が、平成二十一年三月には民主党案がそれぞれ提出されました。その後の平成二十一年七月には、自民党、公明党、民主党の議員による実務者会合において修正協議が行われ、大枠で合意を見ることとなったものの、残念ながら超党派の議員立法として提出するには至りませんでした。
 その後も、自民党及び公明党の共同で、また民主党から、それぞれ単純所持罪等の処罰に係る改正案が提出されましたが、いずれも衆議院解散により廃案となり、昨年の五月に自民党、公明党、日本維新の会が共同で提出した改正案についても衆議院法務委員会において審議がなされていないという状況でありました。
 このような経緯に加えまして、前回の改正から十年が経過し、この間のインターネットの発達により児童ポルノ被害に遭う児童の数が増え続けていること、児童ポルノ単純所持罪を設けるべきとの国際社会の強い要請があること等に鑑みまして、今国会において、衆議院法務委員会の理事会の下に、委員会を構成する各会派の理事会メンバーから成る児童ポルノ禁止法改正に関する実務者協議会が設置されることになりました。
 同協議会におきましては、昨年、自民党、公明党、日本維新の会より提出された改正案に加え、平成二十一年の実務者会合において大枠で合意を見た案を中心に、現在の目で見て真に児童の権利の保護に必要な規制を加えるとの観点から、三回にわたり真摯かつ熱心な議論が行われた結果、内容において合意に至りました。
 次に、本法律案の内容について御説明申し上げます。
 第一に、児童ポルノの定義及びその所持に係る罰則に関し、改正を行っております。
 その一は、児童ポルノの定義を改正しております。すなわち、いわゆる三号ポルノについて、その定義をより明確にするため、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているとの要件を付加しながら、その性的な部位については性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいうものといたしました。
 その二は、児童買春、児童ポルノの所持その他児童に対する性的搾取及び性的虐待に係る行為の一般的な禁止規定を総則において設けることといたしております。
 その三は、自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノの所持について罰則を設けております。すなわち、自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処することといたしております。
 また、所持罪の新設に当たり、施行前から所持している児童ポルノについて罰則の適用前に適切に廃棄等の措置を講じていただけるよう、所持罪は改正法施行の日から一年間は適用しないものとしております。
 その他、児童ポルノの製造の罪について盗撮の場合にも処罰範囲を拡大するほか、適用上の注意規定を明確化するとともに、その具体化を図っております。
 第二に、心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する制度を充実及び強化しております。すなわち、心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置を講ずる主体として、厚生労働省、法務省、都道府県警察、児童相談所、福祉事務所を例示し、措置を講ずる主体及び責任を明確化することとしております。
 これに加えて、社会保障審議会及び犯罪被害者等施策推進会議は、相互に連携して、児童買春や児童ポルノに係る行為により心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の実施状況等について、当該児童の保護に関する専門的な知識経験を有する者の知見を活用しつつ、定期的に検証及び評価を行うものとすること等としております。
 第三に、インターネットの利用に係る事業者の努力規定を設けております。すなわち、インターネットの利用に係る事業者は、捜査機関への協力、管理権限に基づく情報送信防止措置その他インターネットを利用した児童ポルノの所持、提供等の行為の防止に資するための措置を講ずるよう努めるものといたしております。
 以上が、本法律案の趣旨及び内容であります。
 本法律案は、去る六月四日、衆議院法務委員会において、委員会提出の法律案とすることと決し、翌五日、衆議院本会議で可決したものでございます。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
 以上です。
○委員長(荒木清寛君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時九分散会

186回国会参議院法務委員会24号会議録2014年6月17日

○委員長(荒木清寛君) 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○山下雄平君 自由民主党の山下雄平です。
 今週も質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。他委員会も含めて今日の質問で今通常国会で十回目の質問となります。本当にたくさんの機会をいただき、ありがとうございます。
 今回の児童ポルノ法改正案は、現行法が児童ポルノを作ること、渡すこと、広めることに着目して罰則を設けていたわけですけれども、今回はいわゆる加害者というか実行犯側だけではなくて、そもそも利用する側も問題ではないのかということで、改正案では単純所持、つまり持っているだけで罰せられるということになるわけですけれども、今回の改正で処罰対象を広げる理由はどういったところにあるんでしょうか、お聞かせください。
○衆議院議員(ふくだ峰之君) 山下議員の御質問にお答えさせていただきます。
 現行法におきましては、児童ポルノの製造や提供、提供目的の所持等を処罰をしておりますけれども、供給側を中心とした処罰対象とするだけでは児童ポルノを根絶するということはなかなか厳しいものがございます。児童の権利を守るためには需要の側の行為をも処罰対象とすることが必要であると考えまして、今回の、自己の性的好奇心を満たす目的での所持罪の創設を盛り込んだものでございます。
 なお、児童の権利の擁護に関する国際的な動向を見ましても、この児童ポルノの規制はいわゆる単純所持罪を処罰対象とすることも含めまして多くの国で必要なものと捉えられておりますので、今般の改正はこのような国際的な動向にも合致するものであるということを認識しております。
○山下雄平君 この児童ポルノ法というのは平成十一年に成立して、平成十六年に対象を広げ、厳罰化する改正がなされました。
 さきのこの委員会の遠山議員の趣旨説明では、インターネットの発達により児童ポルノの被害に遭う児童の数が増え続けているというふうに指摘されましたけれども、これまでの児童ポルノに係る事件の推移というのはどうなっているんでしょうか、お聞かせください。
○衆議院議員(ふくだ峰之君) 平成十六年の児童ポルノ禁止法の改正以降、児童ポルノの事犯の送致件数は増加をしております。平成十七年の送致件数は四百七十件でありました。それに対しまして、平成二十五年の送致件数は千六百四十四件と過去最多となっております。
 さらに、ファイル共有ソフト利用事犯は、前年比に僅かに減少しましたけれども、依然として高い水準にございます。また、平成二十五年中に事件を通じて新たに特定されたものである被害児童の数も六百四十六名と過去最多となっております。その内訳につきましては、スマートフォンを使用して被害に遭った児童が二百十一名で、前年比約四倍に増加をしています。インターネットの発達によりまして、被害に遭う児童の数は増え続けているという状況にあるということでございます。
○山下雄平君 一問目の私の質問の議員の答弁の中で、単純所持を禁じている国も多いという趣旨の答弁がありましたけれども、では、G8など主要国ではこの単純所持というものを禁じているんでしょうか、お聞かせください。
○衆議院議員(ふくだ峰之君) G8でございますが、現時点で掌握している限りにおきましては、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、イギリス、アメリカでございます。
○山下雄平君 諸外国でもやはり多くの国がこの単純所持を禁じている、だからこそやはり日本もそこに踏み出すべきじゃないかということで、今国会での改正という運びになろうという今動きがあるんだろうと認識しております。
 これまでも、ただ、単純所持を禁じる法改正が度々国会に提出されてきたとは思いますけれども、いずれもこれまでは廃案になってきております。これはどういった慎重論があったために成立しなかったんでしょうか、その経緯をお聞かせ願えればと思います。
○衆議院議員(ふくだ峰之君) 他人に提供する目的を伴わない児童ポルノの所持につきましては、児童ポルノの提供等の行為と比較して児童の心身に有害な影響を与える程度に相当の差異があり、直ちにいわゆる単純所持についてまで処罰するということになりますとプライバシーを侵害するおそれがないとは言えませんでしたし、社会一般にこの法律の趣旨を十分徹底するよう努力した上で社会認識の状況を見て検討すべきものと考えられたということが、立法の改正の経緯があったということを認識しております。
○山下雄平君 これまでなかなか改正できなかったのは、程度の問題であったり、若しくはプライバシーの侵害という観点があって慎重論が消えなかったために改正できなかったという御説明だと思うんですけれども、そういった懸念に今後どう対応していくのか、どうやってその懸念を払拭していこうと考えていらっしゃるのか、お聞かせ願えればと思います。
○衆議院議員(ふくだ峰之君) この懸念というのはやっぱり解決していかなければならないんだと思いますね。先ほど答弁少し削ってしまいましたが、このほかにも捜査機関の権限の濫用のおそれというものも一方ではあったんだと思います。
 まず、今回の改正によりまして、七条一項、自己の性的好奇心を満たす目的での所持罪という新しい処罰類型を設けることによりまして、私的領域に過度な規制が及ぶことへの懸念が指摘されていたことから、三条の適用上の注意規定を詳細かつ具体的に規定をするということにいたしました。
 また、いわゆる三号ポルノの定義に、「殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、」との文言を追加をすることによりまして、画像等の客観的な状況から三号ポルノの該当性の判断を行うとの趣旨を明確にしまして、処罰の範囲を明確化をしたということでございます。
 さらに、改正法第七条一項の所持罪の規定の処罰対象につきましては、自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持、保管した者のうち、自己の意思に基づいて所持、保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限るとすることによりまして、所持、保管開始の時点での自己の意思に基づいて所持、保管するに至ったことを立証することを要するとともに、その自己の意思に基づいて所持、保管するに至った時期あるいは経緯などにつきましてもできるだけ客観的、外形的な証拠により確定すべきであるとの趣旨を明らかにすることで、処罰の範囲を限定をさせていただきました。提案者といたしましては、以上のような改正を行うことによって懸念を払拭していきたいと考えています。
 例えば、冤罪とか意図的な陥れ等が生じますと、日本の場合は裁判での判決が出る前に社会的な制裁を受けてしまうということが度々にしてございますので、日本のこうした社会風習を念頭に置くことも重要ではなかろうかと考えております。
○山下雄平君 先ほど、ふくだ議員から処罰対象の厳格化、明確化という説明がありましたけれども、法務当局にお聞かせいただきたいんですけれども、単純所持、つまり、インターネットに載せたり人に渡したりということではなくて、ただ持っているというだけの人を把握するというのは、これまでの対象に比べてそれを把握するというのは非常に難しいんだと思います。一方で、その把握するのを一生懸命頑張ると、逆に捜査機関の濫用だったり私的な部分に公権力が過度に干渉するということにもつながって、なかなか非常に難しい問題ではあると思うんですけれども、この単純所持をどうやって摘発して、処罰対象、この法改正を実効性を担保していくんでしょうか。この点について法務当局にお聞かせ願えればと思います。
○政府参考人(林眞琴君) この罰則の実効性の担保ということになりますと、まず捜査の端緒の把握というのが重要になると思います。その場合、捜査の端緒としてはもちろん様々なものが考えられるわけでございますが、児童ポルノの例えば所持罪についていえば、例えば一般論として申し上げますと、児童ポルノを販売している者に対する捜査の際にその者が児童ポルノを販売した客のリストなどが発見されて、それが端緒となって児童ポルノを所持している者が判明すると、こういったことも考えられると思います。
 いずれにしましても、この改正法案で新設されることとなっている罪を含めまして、今後、捜査機関において、この法の趣旨を十分に踏まえて捜査の端緒の把握に努めるなどして適切に対処するものと考えております。
○山下雄平君 最後に再びふくだ議員にお聞かせ願えればと思うんですけれども、主要国の中には漫画やアニメの児童ポルノを禁じている国があるとも聞いておりますけれども、今回の改正では漫画やアニメというのは禁止の対象に入っていないわけですけれども、それを対象としなかった理由をお聞かせ願えればと思いますし、また、今後の検討の方向性としてどういうふうにお考えなのか、それもお聞かせください。
○衆議院議員(ふくだ峰之君) 児童ポルノ禁止法が児童ポルノの提供、製造等の行為を規制するのは、このような行為が児童ポルノに描写されました児童の心身に長期にわたって有害な影響を与え続けるものであり、このような行為が社会に広がるときには、児童を性欲の対象とする風潮を助長することになるとともに、児童一般の心身の成長に重要な影響を与えるからであります。
 このような現行法では、第一義的には実在の児童の権利を保護することを目的としており、実在しない児童を描写したポルノにつきましてはこの法律で言う児童ポルノには該当をしないこととされております。
 御指摘のように、実在をしない児童を描写した漫画やアニメ等のいわゆる疑似児童ポルノにつきましては児童を性欲の対象とする風潮を助長するおそれがあると言われていますが、その一方で、その規制には表現の自由に関わる問題がありますし、疑似児童ポルノと児童の権利を侵害する行為との関連性については必ずしもまだ今のところは明らかになっていないという指摘もございまして、その規制の必要性については当法案とは別枠で十分に議論をする必要があると考えまして、今回の改正におきましてはその禁止の規定を置くことはしませんでした。
 漫画、アニメ、CGを検討事項から外したからといって、じゃ、何をやってもよいということでは私はないと思うんですね。表現の自由といいますのは、民主主義国家の運営において最も大切な国民の権利であることは間違いありません。だからといって、何を表現してもよいということとは異なるのではないかなと思います。児童ポルノに類する創作物は、創作者あるいは関係団体等の自主的な取組によりましてまずは対応すべきものであると認識をしておるところでございます。
○山下雄平君 終わります。
○小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川敏夫でございます。
 山下委員から大分基本的なことの質問がございました。なるべく重ならないように質問させていただきますが、やはり今回、単純所持罪というものの処罰規定を設けたということが一番大きな柱だと思いますが、この中で、今までは違法ではなかったから合法ということで所持していた、それが所持していた状態で今度は禁止されるわけでございます。これについて、この本法では一年間を猶予するような規定になっておりますが、これまで言わば違法でないという状態において持っていたものが、違法となったことによってこれを廃棄するなり何らかの処分をしなくてはならないわけですが、この法律の改正を知らなかったとか、あるいは処分をしたつもりがまだ残っていたとか、そんなような状況も考えられると思うのであります。
 それで、本法施行前から所持するものに対してどのような扱いをこの改正案でしているのか、御説明いただけたらと思っております。
○衆議院議員(階猛君) 小川委員の御質問にお答えします。
 今委員が御指摘されたように、本法が施行されて一年間の猶予期間が過ぎた後、過去に遡って所持されてきたものを処罰するとなると、例えば何十年も前に自己の意思に基づいて取得したものが家のどこかにあった場合、これも必死で探し出して処分していないと処罰されるのではないかということが問題になります。さすがにそれは酷であろうということで、今回、一年間の猶予期間を設けましたけれども、その一年間の猶予期間が過ぎた後であっても、罰則適用開始後に引き続き自己の性的好奇心を満たす目的がある場合に限って処罰するということで我々は考えております。
 なお、自己の性的好奇心を満たす目的ありやなしやというところについては、やはり不合理な弁解で処罰を免れるということも避けなくてはいけないということで、立件対象となる所持の時点において、所持者の内心についての供述だけではなく、児童ポルノの所持の態様、分量、所持している対象の内容等の客観的事情からの推認により認定されるものであります。
 したがって、例えば、かつては自己の性的好奇心を満たす目的を持って児童ポルノを収集していて、現在も家のどこかに児童ポルノが保管されていると認識している場合であっても、罰則適用開始後の所持の時点において自己の性的好奇心を満たす目的がないと認められるときは処罰されないということで、過去に遡って処罰されることにより不当に処罰範囲が拡大することを防ごうとしております。
○小川敏夫君 そうすると、くどいようですが、過去に持っていた、そして本法が適用された後、これが処罰されるという場合においては、本法施行後においてもなお自己の性的好奇心を満たす目的で持っていると、そういう状態で、そういう意図で持っているということがこの犯罪の構成要件であるということであるわけですね。
○衆議院議員(階猛君) そのとおりでありまして、適用開始後、つまり、本法施行後一年たった時点で自己の性的好奇心を満たす目的がなければ処罰されないということであります。
○小川敏夫君 では、次の点についてお尋ねします。
 先立って山下委員の質問の中で、いわゆるアニメ、実在しない児童を描写したものについては本法の適用外ということがございました。言わば、児童の保護というようなことでございます。
 それで、実在しないという意味で、では、例えば、もう既に過去に死んで亡くなってしまっている児童の死体の写真が、これを表示したような場合にはこれは当たるんでしょうか。これは、実在する児童になるのか、あるいは実在しないからアニメと同じようにそれは対象外なのか、これはどちらになるんでございましょうか。
○衆議院議員(階猛君) まず、この児童ポルノ禁止法の趣旨からしますと、児童ポルノを規制対象としているのは、児童ポルノが描写された児童の心身に長期にわたって有害な影響を与え続けるものであるから規制しましょうと、こういうことであります。したがって、客体となる児童については生存していることを要するというのが、これはもう法の趣旨からの帰結になります
 ただ、だからといって、死体はもう無制限にはびこらせていいということを我々も認めるわけではありませんので、こうした行為についてもちゃんと適切に規制していくようなことは立法府としてこれから取り組むべきことではないかと思っております。本法については、今申し上げたとおりでございまして、実在する児童についてのポルノを処罰するということであります。
○小川敏夫君 では、別の質問をさせていただきます。
 附則第三条二項でございます。質問としては、この必要な措置を講ずる者は誰かという趣旨での質問でございますけれども、要するに、「検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。」という規定がなされておるんですけれども、そうすると、誰が検討して、誰が必要な措置を講ずるのか。政府だと思うんですが、あるいは事業者なのかとか、ちょっとそこら辺を確認したいものですから、これはそもそも、検討する者、それから必要な措置を講ずる者は誰だという趣旨なんでございましょうか。
○衆議院議員(階猛君) 今、委員からの御質問は、附則三条二項の必要な措置を講ずべき主体が誰かということだと思いますが、まず、三条の一項の方で、技術の開発の促進について十分な配慮をする主体は政府とされておりまして、同条二項においても一項と同様、主体には政府が含まれますが、これに限られず必要な措置には立法措置も含まれるということで、立法機関である国会も含めた国が必要な措置を講ずる主体になると考えられます。
○小川敏夫君 そうですか。政府だけではなくて、国という意味で立法機関も含まれるということでございますね。承知いたしました。
 また、そうした検討を加えていく中で、やはり、特にインターネットに関しましては事業者団体の協力というものが特段に必要だというふうに思っておりますが、この点について、事業者団体の協力というものをどのようにして受けていくのか。これは、この法案の所管大臣である法務大臣に、政府の立場から、より一番基本的なことをちょっと御説明いただけたらと思いますが。
○国務大臣(谷垣禎一君) 附則三条二項にございますインターネットによる閲覧の制限について、これ、現在におきましても、関係省庁、法務省も含めまして、警察であるとかあるいは総務省も場合によっては含まれるわけでございますが、事業者団体の協力を得ながらブロッキング等の技術開発に関する検討を現在でも進めているところでございます。
 そして、こうした検討に当たりましては、省庁だけでやるということは非常に困難でございまして、事業者団体の協力、現に受けておりますが、これは不可欠でございます。したがいまして、関係省庁は、今後とも引き続き、こういう事業者団体との協力関係といいますか、その専門的知見を生かしながら必要な検討を行うなどいたしまして、児童ポルノの撲滅に向けて連携して対応していくべきものと考えております。
○小川敏夫君 事業者団体の方も自主的にそうした社会的な役割というものを意識して取組を行っておると思うんでありますが、そうした意味で、やはりこれは表現の自由とも関わるものですから、事業者団体の自主的な取組というものも非常に重要だと思うんですが、しかし一方、事業者団体の取組に全てお任せで国が全く関与しない、政府が関与しないということでもないと思います。
 そこで、この事業者団体の自主的な取組とそれから政府の役割との立場について、私の認識のとおりでよろしいのかどうか、ちょっと説明をいただければと思いますが、どうでしょうか。法務大臣、要するに、事業者団体の自主的な取組は尊重するけれども、全てをそれに任せるわけではなくて、やはりきちんと国が責任を持って対応をするんだということだと思うんですが、それについて確認をお願いします。
○国務大臣(谷垣禎一君) 小川委員がおっしゃいますように、表現の自由等々と非常に関係がございますので、やはり事業者と事業者団体、こういうところで自主的ないろいろな努力をしていただくことがまずあるべきであり、望ましいと思います。
 ただ、委員がおっしゃるように、じゃ全てそれに任せておけばいいのかというとそうではございませんで、やはり先ほど申しましたように、協力しながら政府として立てなきゃならない措置もいろいろあるんだろうと思います。事業者団体との協力の結果、例えば政令等を作らなければならない場合もあり得ると思いますし、そういう事業者団体の努力、それに加えて我々も、政府関係者も検討していかなきゃいけないという構造だろうと思います。
○小川敏夫君 今、実際に事業者団体との協力の在り方、そうしたことについては総務省が詳しいかと思いますが、そこの状況について総務省の方から御説明いただきますようお願いします。
○政府参考人(安藤友裕君) お答え申し上げます。
 児童ポルノのブロッキングにつきましては、今いろいろと先生と大臣とのやり取りございましたけれども、このブロッキングについてはまず民間における自主的な取組が非常に重要であるということで、平成二十三年の三月に設立されましたインターネットコンテンツセーフティ協会、いわゆるICSAという団体や、プロバイダー事業者などの民間の自主的な取組によりましていろいろ進められておりまして、平成二十五年八月時点でブロッキングを実施している事業者の国内インターネット利用者カバー率は八〇%というふうになっておるところでございます。基本的にはこういった民間の取組がまず自主的に進められているところでございます。
 それに加えまして、私ども総務省といたしましても、この児童ポルノのブロッキングの一層の普及に資するべく、平成二十三年度から平成二十五年度までの三年間にわたりまして、プロバイダーなどの規模に見合った精度の高いブロッキング方式の開発と実装の実証実験、これは民間団体の御協力もいただきながら進めてきたところでございます。
 総務省といたしましては、こうした民間による自主的な取組の成果や実証実験の成果を踏まえまして、今後ともプロバイダーの事業者団体でございますとかICSAなどの協力を得つつ、引き続き児童ポルノのブロッキングの一層の普及を後押ししてまいりたいというふうに考えているところでございますし、また、その際必要となる具体的な取組につきましては、実務の実態に詳しいICSAなどの団体の協力を得て、その専門的知見を生かしながら検討し、民間における自主的取組が一層促進され効果が上がるよう連携して対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○小川敏夫君 技術がすごい勢いで進歩する中でこれを一〇〇%完璧にというのはなかなか難しい面があるかもしれませんが、やはり事業者団体の協力は不可欠でございますので、そこのところの協力関係をしっかり築いて、実効ある対応、体制を築いていただきたいというふうに思っております。
 では、これで質問を終わります。
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。よろしくお願いいたします。
 限られた時間でたくさん聞きたいことがありますので、早速質問に入らせていただきます。
 今回の法改正で一般的禁止規定である三条の二が新設をされました。これは重要な意味を有するものであります。何人も、児童買春をし、又はみだりに児童ポルノを所持し、若しくはこれに係る電磁的記録を保管することその他児童に対する性的搾取又は性的虐待に係る行為をしてはならないと規定をされております。
 ここにいうみだりに児童ポルノを所持してはならないというのは、有体物として二条三項各号の児童ポルノをみだりに持っていてはならないということであり、本、DVDなどのほか、動画や画像をダウンロードして自分のパソコンに保存する場合も、そのパソコンを持っているという意味でこの禁止に該当をします。そして、これに係る電磁的記録を保管することをしてはならないというのは、児童ポルノの動画や画像を自分のパソコンには保存しないけれども、レンタルサーバーなどに保管をすることを禁止をするものであります。
 他人に提供すること、またその目的で所持をすること、以下は保管を含みますけれども、これは従来も違法とされ、罰則が科されていましたけれども、単に持っていることも禁止する、違法であるということを今回明確に宣言したことが重要であります。こうした理解でよろしいでしょうか。
○衆議院議員(遠山清彦君) 佐々木さやか委員にお答え申し上げます。
 先ほど引用もされましたが、今回の法改正で三条の二が新設をされました。それによりまして、他人に提供すること、またその目的で所持、これは保管も含みます、することは従来も違法とされ、罰則が科されておりましたが、今回の法改正によりまして、単に児童ポルノを持っていることも禁止をするということになるわけでございます。
 ただ、この三条の二は総則に置かれておりまして、そのことを理念として宣言をする趣旨でございます。理念として宣言をする趣旨ということは、この規定から直ちに何らかの法律上の作為義務が生ずるものではございません。ただし、本条において、みだりに児童ポルノを所持、保管する行為が児童ポルノ禁止法の理念に反する行為であることを規定したことは、委員がおっしゃったように、重要な意義があるものと考えます。
 また、先ほど委員が違法という表現をお使いになりましたが、この趣旨がこの法律の理念に違背しているということであれば、まさに委員のおっしゃるとおりだと考えております。
○佐々木さやか君 この所持の一般的禁止規定、私は非常に重要なものであると思いますが、特に七条一項の単純所持罪の場合と異なりまして、自己の性的好奇心を満たす目的でという要件がありません。どのような目的であってもみだりに持っていてはならないと、児童ポルノを持っていること自体を禁止を宣言をしております。
 児童ポルノは虐待の記録であり、被害児童は、その写真、映像が存在する限り、永遠に想像を絶する苦痛と更なる被害を受け続けることになります。被害児童の人権の保護、被害からの回復のために、所持の禁止は重要なことでありますが、この点、この三条の二が目的により限定をせず、所持を広く禁止した趣旨というのは何でしょうか。
○衆議院議員(遠山清彦君) お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、児童ポルノの存在は、児童ポルノに描写をされた児童の心身に長期にわたって有害な影響を与え続けるものであると認識をいたしております。
 こうした点を踏まえ、第三条の二は、自己の性的好奇心を満たす目的の有無を問わず、児童ポルノをみだりに所持、保管する行為が許されるものではないという理念を宣言をしたものと理解をしております。
○佐々木さやか君 他方で、被害の告発ですとか捜査のために弁護士や警察が所持するなど、正当な理由がある場合にもこの禁止規定が適用されては不都合であります。これについては「みだりに」という要件が関係すると思いますが、この「みだりに」の意味、そして要件として設けた趣旨は何でしょうか。
○衆議院議員(遠山清彦君) お答え申し上げます。
 法令におけるこの「みだりに」という表現の意味は、一般的には、社会通念上正当な理由があるとは認められない場合をいい、正当な理由がなくという表現とおおむね同義のものと考えております。
 御指摘のように、児童ポルノを所持等する場合でありましても、警察が、例えばですけれども、捜査の過程で所持するに至った場合や、被害者の立場に立って被害告発のために弁護士が児童ポルノを所持する場合などは、正当な理由があるものとして、この規定の対象ではないことを明確にする必要がございました。そのため、この「みだりに」の要件を設けた次第でございます。
○佐々木さやか君 それでは、例えば出版社が自己の出版物を歴史的な意味で保存している場合、それから図書館の蔵書に存在する場合はどうでしょうか。この三条の二に反することになるのでしょうか。蔵書されているとなりますと、自己の性的好奇心を満たす目的で借りる人がいる可能性もあると思いますが、いかがでしょうか。
○衆議院議員(遠山清彦君) お答え申し上げます。
 出版社が過去に合法的な形で児童ポルノを出版するということはあり得るわけですが、その出版社が歴史的な資料等として児童ポルノを保存している場合、あるいは図書館の蔵書の中に児童ポルノが存在する場合は、正当な理由があるものとして、第三条の二に言うみだりに所持していることには当たらないというふうに認識をいたしております。
 しかしながら、図書館や出版社が所蔵する児童ポルノを貸し出す場合、この当該行為は児童ポルノ提供罪の構成要件に該当し得るものでございまして、これらのものは、当該児童ポルノが自己の性的好奇心を満たす目的でこれを所持等しようとする者の手に渡ることがないように適切な管理をすることが望ましいと考えております。また、図書館の蔵書につきましても極めて慎重な扱いをすることが望ましいと、このように考えております。
○佐々木さやか君 極めて慎重な扱いをということでありますので、貸出禁止の措置をとるなど適切な管理をする必要があるということであると理解をいたしました。
 三条の二は、正当な理由がなければ、性的好奇心を満たす目的がなくても所持してはならないという規定であります。この規定の趣旨に照らせば、この法律の禁止に違反する所持が行われることのないよう、正当な理由がない限り、適切に児童ポルノ、これは廃棄をされることが望ましいのであって、広く所持自体の違法性、三条の二の趣旨を周知、そして啓発していくことが重要ではないかと思いますが、この点、発議者とそれから法務大臣にお聞きしたいと思います。
○衆議院議員(遠山清彦君) お答え申し上げます。
 先日の趣旨説明の中でも申し上げましたとおり、これは第七条一項の罰則の関係ではございますけれども、本法におきまして一年間の経過措置を設けた趣旨は、その一年間の間に法施行前に所持に至った児童ポルノを適切に廃棄等していただきたいという趣旨でございます。
 一方、この第三条の二は、児童に対する性的搾取又は性的虐待に係る行為が児童の権利を著しく侵害することから、当該行為が許されるものではないことを理念として宣言をしたものでございます。この趣旨に照らしまして、児童ポルノをみだりに所持、保管してはならないことを広く周知啓発していくべきとの御指摘は極めて重要と考えます。
○国務大臣(谷垣禎一君) 遠山衆議院議員から御答弁がございましたように、児童に対する性的搾取あるいは性的虐待、これが児童の権利を著しく傷つけるというだけではなく、その健全な成長も、何というんでしょうか、阻害してしまう。こういうことから、単純所持等々、そこに書いてある行為をしてはいけないということを理念的に宣言したものと私どもも理解をしております。
 したがいまして、法務省としても、児童ポルノを撲滅していく観点から、こういう趣旨を広く周知啓発していくことが大事だと考えておりまして、関係省庁と連携してそのことに努めていきたいと考えております。
○佐々木さやか君 是非よろしくお願いをいたします。
 次に、七条一項の単純所持罪について質問をします。
 今回の改正では、所持のうち、自己の性的好奇心を満たす目的を有する者について、特に罰則をもってより厳格に規制をいたしました。この規定については、自己の性的好奇心を満たす目的の有無によって罰則の適用があるか否か、違いが生じます。
 そして、当初は性的好奇心を満たす目的を持っていたけれども、途中で興味はなくなってその目的を失ったという場合、法施行から一年が経過し、当該規定が適用されるようになった後で目的を失ったのであれば、目的を持って所持をしていた時点で単純所持罪が成立しますから、そこに罰則の適用があることになります。しかし、目的を持って所持を開始したけれども、法の施行後一年を経過する前に目的を失ったという場合は罰則の対象にならないということが、衆議院の法務委員会の質疑、また今日の小川委員からの質疑でも確認をされました。
 そうなりますと、所持をしている者が施行後一年が過ぎる前に性的好奇心を満たす目的は失っていましたと、このように言えば罰せられないようにも思えますけれども、この点、不当な言い逃れが生じるおそれというのはないのでしょうか。
○衆議院議員(遠山清彦君) お答え申し上げます。
 委員が御指摘になりましたとおり、この第七条一項の所持罪の処罰の対象となるためには、法律の施行の日から一年が経過した後に、その後の所持の時点において自己の性的好奇心を満たす目的を有していることが必要になるわけでございます。よって、その目的を失っていた場合には処罰の対象にならないということは衆議院の審議でも明確に答弁をしてまいりました。
 そうなりますと、委員御指摘のとおり、本当は自己の性的好奇心を満たす目的をまだ持っていて所持もしているんだけれども、持っていなかったと言い逃れをする可能性というものは理屈上あり得るわけでございます。
 これにつきましては、先ほどの階議員からの御答弁の一部にもありましたけれども、自己の性的好奇心を満たす目的があるのかないのかということについては、本人が私は持っていませんと言うだけで言い逃れはできないと。つまり、児童ポルノがその当該者によってどのような態様で所持をされていたのか、どれぐらいの分量を持っていたのか、また、所持に至った事情、そういったものを客観的な事情から、これはもちろん立証責任は捜査当局にあるわけでございますが、客観的事情から推認をされて認定をされるものでございまして、自らの内心についての御本人の供述だけで言い逃れができる、処罰から逃れるということではないと、このように思っております。
○佐々木さやか君 それから、三条でございますけれども、この三条には、この法律の適用に当たって、学術研究、文化芸術活動、報道等に関する国民の権利及び自由を不当に侵害しないように留意しとあります。学問の自由、表現の自由は重要な人権であり、不当に侵害してはならないことは当然であります。罰則の対象となる所持は、自己の性的好奇心を満たす目的を有する場合でありますので、純粋に学術研究などの目的であれば罰則の適用はありません。
 しかしながら、児童ポルノの中でも、例えば明らかに児童への性的虐待のむごい記録としか言いようのないものもあります。表現の自由は非常に繊細な権利でありますが、被害児童の被る権利侵害の程度、被害児童の保護、権利擁護の必要性という法の趣旨も十分に考慮をする必要があると思います。
 この点、学術研究や文化芸術活動だと言い張って処罰を不当に免れる者が出てはならないと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
○衆議院議員(遠山清彦君) 佐々木委員にお答えします。大変重要な、また難しい面も含む質問だと思います。
 原則としては、この第七条一項の罰則の対象となる所持か否かというものは、先ほど来繰り返し申し上げておりますとおり、目的要件である自己の性的好奇心を満たす目的での所持であるかどうかということで判断されることでございます。
 御指摘の学術研究や文化芸術活動の目的で児童ポルノを所持する場合には、もちろんこれはどういう内容の児童ポルノについて判断をしているかによるわけでございますし、個別具体的な証拠関係によりまして実際には認定すべき事柄でございますけれども、通常は、自己の性的好奇心を満たす目的がない者と認められて、七条一項は適用されないと考えます。
 しかしながら、先ほど来繰り返し申し上げておりますとおり、客観的に積み上げられた証拠等からの判断によりまして、その所持の態様、分量、内容において、仮にその児童ポルノを所持していた者が学術研究や文化芸術活動だという内心上の理由を申し述べただけで実際に自己の性的好奇心を満たす目的がなかったと即判断されるとは限らないと、このように考えております。
 また、この問題は表現の自由との関わりがあるわけでございます。もちろん、これは表現の自由、学問の自由、文化芸術活動の自由等々、基本的人権に関わる問題でございますので常に慎重な判断が求められるわけでございますが、この児童ポルノの対応やその中身いかんによりましては、もちろん先ほど来申し上げておりますとおり個別に客観的証拠で判断をしなければいけないということでございますので、原則論として申し上げることはできませんけれども、やはりこの法律の保護法益が、児童の心身を守る、有害な影響がないようにするという趣旨が三条の二で理念として宣言されているわけでございますから、そういったことも勘案しながら総合的に適切な対処をすべきと、このように考えております。
○佐々木さやか君 最後に、いわゆる三号ポルノと着エロについてお聞きします。
 例えば、十八歳未満の少女が非常に露出度の高い水着を着用して、着たままでわいせつ性が高いポーズを取っている画像、映像などのいわゆる着エロは三号ポルノに当たるのでしょうか。
 着エロは現在も非常に多く出回っていて、適切な取締りがなされていないという声も聞きましたが、どうなんでしょうか。法務省に通告させていただいているかなと思いますけど。
○政府参考人(林眞琴君) 一般論として申し上げますと、今御指摘の着エロというもの、いわゆる着エロであるか否かにかかわらず、法の二条三項三号の要件を満たせば児童ポルノに該当するものと考えられます。そして、実際、捜査当局においても、この着エロであるか否かにかかわらず、児童ポルノ事犯についてその取締りに努めて適切に対応しているものと認識しております。
○佐々木さやか君 適切に取締りをお願いしたいと思います。
 以上で終わります。
○真山勇一君 日本維新の会・結いの党、真山勇一です。
 今回の審議の過程で本当に私は感じるのは、子供、児童がこうしたポルノの犠牲になって大きな影響を受ける、心が傷ついたり、そして将来いろいろ問題を起こすというようなことを、いろんな意味でそういうことが今心配されているということが審議でとてもよく分かり、そういう意味では、規制というのはやっぱりしていかなければもういけないときに来ているということは重々感じる。その一方で、規制が行き過ぎちゃって表現の自由というのが奪われる、あるいはそれが作る側に自主規制するとかそういうことになってきてしまう、萎縮してしまうということになってくると、いわゆる文化の発展ということに関しても障害が出るとか、いろいろやはりこの問題というのは、大変複雑な、まさに現代の私たちの社会の悩みを表しているものというふうに私は感じております。
 前回、この児童ポルノ禁止法が改正されたのが平成十六年ということで、今回の改正は十年ぶりということなんですね。その間、私たちの社会というのを見てみると、やっぱりインターネットというのはもう爆発的にこれは広がってきているということが一つありますし、それから、今の法案では、児童ポルノの定義というものが非常に曖昧で、やはりその辺りをもう少し整備すべきではないかという声があったと思うんです。そういう辺りが今回の改正のポイントになってきているというふうに私は理解をしております。
 まず、現状というのをちょっと、何というんですか、基礎的なデータ的にきちっと把握したいというふうに私は思うんです。断片的にはマスコミなどにも伝わっておりますし、いろいろなところで数字は、データは出ているんですけれども、ここ近年の摘発された事件の件数、そしてそのうち児童の被害数はどうなのか、あるいは年齢、やはり児童でも十八歳以下のどういうような年齢が、どの辺が多いのかということ、それから今申し上げたように、インターネットがもう大変普及しているわけですから、インターネット関連の事件というのはどういうふうになっているのかという、この辺り、警察庁になると思うんですが、ある程度具体的に、細かいちょっとできる限りのデータでお願いしたいと思います。
○政府参考人(宮城直樹君) お答え申し上げます。
 まず、過去三年間の児童ポルノ事犯の送致件数と被害児童数をお答え申し上げます。
 平成二十三年が千四百五十五件の六百人、平成二十四年が千五百九十六件の五百三十一人、平成二十五年、昨年でございます、これが千六百四十四件の六百四十六人となってございます。これを児童ポルノ法が制定された翌年の平成十二年と比べますと、平成十二年は送致件数で百七十件、被害児童数百二十三人ということでございます。ですので、送致件数にあっては約十倍、被害児童数は約五・三倍と、こういうふうに増えてきておるところでございます。
 一方、さらに、御質問ございました過去三年間の被害児童の年齢でございます。我々はこれ、統計を学職別、いわゆる小中高と、こういった形で取ってございます。まず、平成二十三年の数字を申し上げます。平成二十三年は、小学生以下が百一人、中学生が二百三十三人、高校生が二百二十八人、その他が三十八人となってございます。次に、平成二十四年でございます。これが、小学生以下が七十三人、中学生が二百人、高校生が二百三十三人、その他が二十五人になってございます。さらに、昨年でございます、平成二十五年でございますが、小学生以下が九十二人、中学生が二百七十二人、高校生が二百五十六人、その他が二十六人ということで、最近は中学生が中心になってきているというふうに考えることができるかと思います。
 さらに、御質問がございました児童ポルノの事件の送致件数のうちのインターネットの利用に係るものでございます。これにつきましては、平成二十三年につきましては八百八十三件で全体の六一%、平成二十四年、これが一千八十五件で全体の六八%、平成二十五年でございます、千百二十四件で六八%となってございます。なお、これをやはり先ほど申し上げた平成十二年と比べますと、平成十二年は百十四件、六七%ということで、実はインターネットの利用に係るものについては余り大きな変化はないと、こういった状況になってございます。
 以上でございます。
○真山勇一君 ありがとうございました。
 やはり、マスコミなどで伝えられているように、それから、私たちが理解しているような傾向の数字がはっきりというふうにこれ見えるわけですけれども、全てで今お話ありましたように増加しているし、それから、年齢は中学生、それから小学生なんかも非常に多いということも分かりますし、何よりもインターネットですね、やはりこれが非常に大きな比率を占めていると。
 これ、前のときでも余りインターネットの割合でいうと変わらないというのは、やはりインターネットというのは使う人というのは限られているから、その辺というのは数字の上でこういうふうに出てくるのかなという、ただ、現実のボリューム、数字、総数としてはやはり増えてきているなという、そういう印象を受けました。
 で、やっぱり、本当にみんな理解していると思うんですけれども、インターネットというのは一旦アップしてしまうとあっという間に拡散をしてしまうと。これがインターネットの一番特徴であり、同時に怖いところであるということで、子供たちにとってはこの辺りをどういうふうに理解されているのかということがあるわけなんですけれども。
 先ほどもちょっとお話が出ましたけれども、その防止ということについては、ネット事業者の協力というのはやっぱり欠かせないというふうに思うんですね。ネット事業者との連携協力、それからその効果が上がっているのかどうか。やる以上はやっぱり効果があるのかどうかということも気になるんです。この辺りを、捜査の現場というふうな立場から、捜査の方ですから警察庁になりますかね、もう一度これはお伺いしたいと思います。
○政府参考人(宮城直樹君) お答えを申し上げます。
 まず一番目のインターネット事業者との協力関係といいますか、こういったものについてでございます。まず、インターネット事業者につきましては、捜査について協力いただくと、こういった局面がございます。これにつきましては、我々が捜査に関しましていろんな照会をいたします。そのときに保有している情報を適切にいただくという話でありますとか、あるいは、我々はさらに捜索、差押えをいたします。そのときにきちんと協力していただくと、こんな形でまず対応していただいているところでございます。
 さらに、より大事なお話といたしまして、被害の防止でありますとか被害の回復についてのお話がございます。これにつきましては、例えば我々警察でありますとかあるいはインターネット・ホットラインセンター、こういった組織がございます。これからの要請あるいは情報提供によりまして、違法なコンテンツをプロバイダーにおいて削除していただく、あるいはさらにブロッキング、見えないようにしていただく、こういったことの取組をしていただいているところでございます。
 さらにでございますが、最近は、こういった削除要請とかブロッキングでは対応できないファイル共有ソフト、ウィニーとかシェアとかございます。こういったものを使った児童ポルノの拡散がございます。こういったものにつきましては、プロバイダーの方から利用者に対しまして、あなたの端末に児童ポルノが入っていますよ、ですからこれをアップしないようにしてくださいと、こういった形の連絡メールを送信していただくと、こういった取組をしていただいているということでございます。
 こういったことでございまして、これは数字はちょっと申し上げられませんが、一定程度の国内プロバイダーの協力によりまして効果が上がっていると、このように考えてございます。
 以上でございます。
○真山勇一君 やはりこれ、かなりインターネットの取締りの難しさというのを今伺えたというふうに思うんですけれども、ただ、もう一つ、インターネットというのは次から次へと新しいサイトができてしまって、取締りがイタチごっこというのは先ほども話出たようなんですけれども、ネット犯罪というのは、使われるサーバー、これは国内だけでなくて海外、国境を越えて海外へ広がっていってしまうということで、この辺り、サーバーということから取締りを考えると、やっぱり国際的な協力とか連携、これもまた重要になってくると思うんですけれども、この辺りについてどんなふうなことを対策として考えておられるのか、伺いたいと思います。
○政府参考人(宮城直樹君) お答えを申し上げます。
 いわゆる国際的な取組ということでございます。
 まず一つは、国際機関との連携がございます。これは、我々の世界ではICPO、国際刑事警察機構がございます。ここを通じまして、今質問にございましたようないわゆる国を超えた形での捜査を行う場合の協力あるいは情報交換を行っているところでございます。
 さらに、外国政府との連携がございます。これは条約等に基づくものでございます。こういったものにつきましては、その条約に基づきまして、いわゆる国際捜査共助というものを行っております。さらに、そういった条約がない国につきましても、外務省にお願いいたしまして、ここを通じてやはり同じような共助を行っているという状況にございます。
 なお、一つ特徴的な取組について申し上げます。
 いわゆる児童ポルノの画像、これが海外のサーバーに置かれているケース、日本の国内ではなく海外のサーバーに置かれているケースでございます。この場合については、INHOPEという組織がございます。これは国際的な連絡組織でございます。ここに警察庁あるいは警察庁から業務委託を受けましたインターネット・ホットラインセンターが通報いたしまして、その児童ポルノの削除、たとえ海外にあるものでも削除していただくと、こういった取組をしていただいておるものでございます。
 なお、海外事業者の直接のやり取りとなりますと、これはやはり主権の問題がございますので、そういった場合につきましては、国際機関でありますとかその国の政府、ここを通じてお願いをすると、こういった形の取組になってございます。
 以上でございます。
○真山勇一君 やはり難しさ、今後の課題というのは残っているんじゃないかなという気はいたします。
 児童ポルノの話をしてくると、具体的にやらないとなかなか、今回の焦点になっている単純所持ですとか三号ポルノというのはどういうものなのかということは、もう大変いろんな角度から議論されてきたと思うんです。
 何点か発議者の方にお伺いしたいなというふうに思っているんですが、重ならないように質問していきたいと思うので。
 先ほど、検討事項になっていた漫画、アニメ、コンピューターを利用して作成された映像というものが規制の対象から外れたと、これは疑似児童ポルノであるということから外したという説明を受けたんですが。私は、そのうちのコンピューターを利用して作成された映像、つまりCGですね、これについてちょっと外したということに関連してお伺いしたいんですが、CGというのは今技術がどんどんどんどん進んでいるし、実在の写真とか映像とCGを合成して作るということは可能なわけですね。そうすると、ベースはCGです、だけれども、その中に実在の人物がはめ込まれているというようなものもあるのではないか、そうした創作物があるんじゃないかというのですが、これはどういうことになるのか、伺いたいと思います。
○衆議院議員(西田譲君) お答え申し上げます。
 CG等の創作物であったとしても、実在の児童の姿態を描写したと認められるものであれば、これはもう児童ポルノとして規制の対象になり得ると考えられます。
 ただ、じゃどの程度の描写という話になってきますと、これはどうしても個別事案になってきますので一概に申し上げられないところでございます。
○真山勇一君 つまり、CGでも、実在の人物そしてそれなりの容疑があるような映像ならば対象になるということですね。
○衆議院議員(西田譲君) はい。たとえCG等の創作物であっても、実在の児童の姿態を描写したものであればなり得ると考えられます。
○真山勇一君 それからもう一つ、単純所持ということなんですけれども、定義に「殊更に」という言葉が付いていますね。殊更に露出されているものというふうに加えられているんですが、その性的な部分、恐らくそこが問題になるんだろうというようなところにモザイクが掛けられた映像、静止画、こうしたものはどういうことになるんでしょうか。
○衆議院議員(西田譲君) お尋ねの趣旨というのは、恐らく三号ポルノの定義の部分をどう読むのかといったところでございまして、これは改正前の法律から、衣服の全部若しくは一部を着けない児童の姿態にそれが当たるのか、あるいは一般人から見て性欲を興奮させ又は刺激すると言えるのかといったことで総合的に判断をしていかなければならないということでございますが、今回の改正では、それに加えて処罰の範囲を明確化しなければなりませんので、今委員御指摘のとおり、三号ポルノの定義で、「殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、」との文言を加えさせていただきました。
 そこで、今例示をされましたモザイクに関してでございますけれども、これも一概にどの程度であればというのは個別の事案になってきますので非常にお答えづらいんでございますが、やはりそのモザイクのきめの細かさや粗さがどうかとか範囲がどうかと、そういったことを含めて判断していかなければならないものでございます。
○真山勇一君 もう少し具体的にちょっと伺っていきたいなと思うんです。
 児童の定義が十八歳未満ということになっているので、赤ちゃん、乳児も当然含まれてくるというふうに思うんですけれども、乳児の裸の写真というのはどうなんでしょうか。
○衆議院議員(西田譲君) これもやはり三号ポルノの定義のところでございますが、これに当たるか否かということにつきましては、一般人から見て性欲を興奮させ又は刺激すると言えるか否かの基準によってやっぱり判断されるものでございます。
 今委員御指摘の一歳未満の乳児ということでございますけれども、その画像の内容が性欲の興奮又は刺激に向けられていると評価すべき特段の事情がない限りは児童ポルノには当たらない場合が多いのではないかと考えられます。
 以上でございます。
○真山勇一君 いろいろ考えてみたんですけれども、またもう一つ伺いたいのは、余りふだん使わない言葉なのでちょっと言いにくいんですけれども、例えば女子高生、おしゃれにそろそろ興味を示す年頃の女子高生がTバックをはいたという、そのTバックを着けた女子高校生、そういう写真、映像というのはどうなのか。それからもう一つ、ポルノというのは女の子ばっかりじゃないですね、男の子も対象になるところです。そうすると、今、児童を対象にした、子供のお相撲大会なんというのが盛んですけれども、その相撲、これ、まわし姿の男の子なんという、こういうものについてはどうでしょう。
○衆議院議員(西田譲君) 本当に委員御指摘のごもっともな事例だと思うんでございますけれども、やはり、どうしてもこれは個別具体的な事由になってきますので、一概的にこの場で当たります、当たりませんということを判断するのは非常に困難でございますし、総合的にやはり判断しなければいけないところでございます。水着の問題に関しましても、その着用している水着の種類もそうでございますし、露出の度合いがどうかと、そういったこともあります。様々なことを総合的に判断していかなければいけません。
 それと、女児に限らずというお話もございました。大事なのは、たとえ自分の子供であっても成長の記録等でないという場合であれば、自分の子供をそうやって描写した場合であっても、これは児童ポルノになり得る場合があるということをお答えしておかなければならないと思います。
○真山勇一君 ありがとうございました。
 幾つか例を発議者の方から伺ったんですけれども、つまり、私も疑問に思っているのは、何が三号ポルノになるかという辺りの、そのやっぱり定義というのはとても難しいなと。お答えを伺っていても、総合的にという、総合的にというのはどういうのかなと、またこれも伺いたくなるんですけれども、事ほどさようにやっぱり微妙で難しいという感じは受けたんですが。
 そこで、今度は法務大臣にお伺いしたいんですけれども、つまり、自己の性的好奇心を満たす目的でということで、今総合的という答えもありましたけれども、自己の性的好奇心を満たす目的でという単純所持についての限定をしているんですけれども、これやっぱり総合的にといっても、どんなふうに立証するんでしょうか。その辺りというのは非常に何か曖昧さも残っていて不安を感じるのと、それからもう一つは、やはりそういうことによって自白の危険性なんというのもあると思うんですね。これを実際にやはり取り締まる側の立場からして、この辺はどういうふうにお考えになっているでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 今お尋ねの自己の性的好奇心を満たす目的というのは、これ目的犯における目的というものをどうやって立証するかというお尋ねだと思いますが、まず一般論で申し上げますと、まず具体的な事案がございますが、その具体的な事案における客観的な事情を基本としつつ、被疑者でありますとか被告人を含む関係者の供述を踏まえて行うと、こういうものだと思います。
 したがいまして、御指摘の自己の性的好奇心を満たす目的につきましても、まずは児童ポルノを所持するに至った経緯でありますとか、所持している児童ポルノの内容や量、それから所持の態様などの、まずこういった客観的な諸事情を基本としまして、その上でこれに関係者の供述などを考慮して、全体を総合して立証するということになると考えております。
○真山勇一君 もう時間なくなったので済みません、ちょっとまとめさせていただきますけれども、私は、やはり表現の自由というのはこれは守らなくちゃいけないというふうに思っています。私、特にマスコミの出身ということなので、この表現の自由を守るということはこれは大事なことだというふうに理解しています。その一方で、今子供たちが性的な虐待などに遭っているのを見ると、やはりそれはそのままに放置してはおけないという、そういう気持ちがしております。
 そこで、法務大臣に最後にお伺いしたいんですが、これは法務省ですと、そういう子供のポルノに関わることとかインターネットとか、それから人権ということで、これ、そういうの、どういうのありますかと言ったら、こんなにいっぱいいろいろパンフレットと冊子をいただいたんですけど、これ非常にいいこと書いてあるんですが、なかなかこれ子供が読むかなという感じがするのと、どうやってこれ啓発するのかなというような感じがするんですね。
 この「あなたは大丈夫?」という、これ多分中学生、小学生向けぐらいなんだと思うんですが、非常に中身は濃いです。今の児童ポルノあるいはインターネットのスマホ、非常によく書いてある。こういうものを、もう少し何か啓発するようなことを是非法務省やっていくべき、やってほしいというふうに思うんですが、これ最後にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
 もしできましたら大臣にお願いします。
○委員長(荒木清寛君) 谷垣法務大臣、簡潔にお願いします。
○国務大臣(谷垣禎一君) 人権擁護機関ですね、法務省、それ持っております。
 これまでもいろんな形で、インターネット利用者等に対して、個人の名誉あるいはプライバシー、こういうものに正しい理解をしていただくように、インターネットを悪用した人権侵害をなくそうというのを啓発活動の年間強調事項の一つとして掲げておりまして、今お示しいただいたようなパンフレットとかあるいは講演会等々も全国で開いてきております。
 それで、その一環として、青少年、若い方々に対して、インターネットと人権というものをテーマにした啓発教材、今お示しになった「あなたは大丈夫? 考えよう!インターネットと人権」というもの、それから人権啓発DVD、ビデオ等々を作成しておりまして、全国の法務局あるいは地方法務局、それから都道府県、政令指定都市、あるいは小中学生を対象とした人権教室を開くと、そういう場で活用をしているわけでございます。
 それから、人権啓発のDVD、ビデオにつきましては、ユーチューブ法務省チャンネルというのがございまして、そこで配信しまして、青少年に限らず、多くのインターネット利用者の目に触れるようにしております。
 それから、インターネット上のソーシャル・ネットワーク・サービス・サイト、それからブログサイトに、人権に関する正しい理解を深めるとともに、相談先や救済手続を案内すると。特に、インターネットに関してはどうやって対応していいか分からない方も多いものですから、そういう対応の仕方を、何というんでしょうか、御相談に応ずると、そういうバナー広告などを載っけたりしております。
 いろいろこれからも工夫を重ねていかなければいけないなと思っております。
○真山勇一君 ありがとうございました。
○山田太郎君 みんなの党の山田太郎でございます。本日はよろしくお願いします。
 本日は、この委員会、差し替えをさせていただきました。関係者の方々には大変御努力いただきまして、本当にありがとうございます。
 私自身、子供の性虐待の防止というのはこれは非常に今重要だということで、本法案の趣旨は分かるんでありますが、これまで議論の過程において、漫画とかアニメがその関連性において検討事項に入っているということについては大変おかしいというふうに、ずっと、実は私の当選の公約、それから議員になってから主張しておりまして、まさにこの問題、まずは漫画とアニメ、附則が落ちたということについてはほっとしております。ただ、この問題自身が抱えている問題、それから限界のようなものもあると思っておりますので、今日はその辺りしっかり質疑させていただきたいと思います。
 実は、本法の議論に当たって、私の方は、非常にいろんな方々から関心が高いということで、ツイッターですとかニコ生、その他ホームページで、どんなことを聞いてほしいかという意見を求めましたところ、ちょっとこれ手元にあるんですけど、千二百通ぐらい届きまして、特に若者の大変に関心の高い領域であるということだと思います。この声を踏まえまして、千二百個全部聞いていきたいんでありますが、時間の許す限り、今日は厳選した質疑させていただきたいと思います。その意味でも、是非、御答弁される方、簡潔にお答えいただければ、たくさんいろんな問題が質疑できると思いますので、そのように御協力よろしくお願いしたいと思っております。
 さて、今回、まず児童ポルノの定義という辺りから行きたいと思いますが、資料を配付させていただいております。本法律で、十八歳未満の児童に対して、例えば、ちょっとなかなか一つずつ読んでいくと、余りこういう権威のある議会ではどうかなと思うような内容でありますが、確認していきますと、例えば性的な虐待が実際に行われているが、顔だけを写した動画でありますとか、あるいは、精液を顔に掛けられたが、服を着ている裸ではない写真ですとか、服を着ている状態でありますが、例えば動物の性器に無理やり触れられている写真ですとか、又は、服の上からロープでむちを打っている状態であるSMの写真、特にこれは性器の強調がない、それから、性的虐待中の音声ファイル、こういった例えば性的虐待の事実の記録物というものも存在しているかと思います。
 本法は、こういったものに対する禁止事項、当たるのか当たらないのか、簡潔にお答えいただけますでしょうか。
○衆議院議員(遠山清彦君) 山田太郎委員にお答えを申し上げます。
 大変重要な、しかし答えるのが難しい御質問からいただいたと思っております。
 まず、本法の第二条の一号から三号の児童ポルノのいずれかに該当するか否かということについては、先ほど来様々な答弁で申し上げておりますとおり、個別具体的な事例に応じた証拠関係に基づいて判断すべき事柄であるという原則を確認をしたいと思います。その上で、今御指摘のありましたところ何点か、法文に則して判断を少し申し上げたいと思います。
 まず、性的虐待が実際に行われているが、顔のみを写した動画ということでございますが、顔のみが描写をされていて性的部位が描写されていない場合には、本法に基づく児童ポルノには該当しないということになります。二つ目の、衣服を着けた児童に精子が掛けられているということでございますが、これもこの一事だけをもって児童ポルノに該当するとは判断ができません。三番目、動物の性器を触っているという例でございますが、これは、法律の中には「他人の性器等を触る」という表現がございますが、これににわかに該当するということはありませんので、この一事をもってだけで児童ポルノに該当するとはなかなか判断しにくいということでございます。それから、服の上からロープで縛られているということで、性器等の強調がないということでございますけれども、これも同じように、この一事だけをもって児童ポルノに該当するとは判断がしにくいと。最後の、性的虐待中の音声ですけれども、これも、「視覚により認識することができる方法により描写したもの」というのが児童ポルノの定義に入っておりますので、これもこのことだけをもって該当しないものと考えます。
 しかしながら、委員御承知のとおり、今申し上げた事例というのはそれぞれの事例を一つだけ切り出してどうですかという判断でございまして、これらが例えば重なり合って、そしてその動画であれば、動画全体の中に法律で規制対象になるような要素が含まれていれば、それは総合的かつ客観的な判断、評価として児童ポルノとみなし得る場合もあろうかと思います。
 また、本法に基づく児童ポルノではありませんが、ここで書かれている事例を私個人的に見まして、明らかに児童虐待に当たる証拠になり得る画像である場合もあるわけでございますから、その場合は、児童虐待も違法行為でございます、処罰もございます。その関係法令に基づいての必要な措置というものは考えられるというふうに思っております。
○山田太郎君 先ほど真山議員の方からもありましたが、その他にも、例えばモザイクを掛けて、一種裸の部分が隠れているというんですかね、性的部位が隠れている部分については微妙だなんていう答弁もありました。
 この法律、本来、児童を性虐待から守るというはずの法律でありながら、実際には、例えばですよ、このように虐待が明らかに行われているという場合においても取り締まれないケースが実はかなりある。
 何でこんなふうになっちゃっているのかなというふうに考えたんですが、この法律が、実は、子供を性的虐待から守ろうとする個人法益なのか、それとも性の社会的風潮に秩序を持たせようとする社会法益なのか、どうも議論がぐちゃぐちゃになってしまっているんではないか。入口としては子供を守るということだったんだけれども、出口としては取り締まる対象物が児童ポルノになってしまっていると。つまり、裸かどうかということが非常に論点の中心になってしまっていて、衆議院段階からも、私、質疑を拝見させていただきましたが、ずっとそういった議論が続いてしまっていると思うんですね。
 本当に子供の性虐待を守ろうということであれば、そういった記録物が頒布されないよう、あるいは単純所持も含めて取り締まっていこうということでなければ、この法律には大きな問題をまだまだ抱えているというふうに思いますが、発議者の方はいかが考えますでしょうか。
○衆議院議員(遠山清彦君) 委員の御主張は、私もかなり共感をする部分がございます。
 ただ、この法律自体は、法律の名前にありますとおり、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰、また児童の保護に関する法律でございまして、それを超える児童に対する虐待あるいは人権侵害等については他の関連法案で対処している部分も多かろうというふうに考えておりまして、委員、御指摘するまでもございませんけれども、本法の目的が第一条で書かれておりますし、また、先ほど来答弁で出させていただいております第三条の二の総則において、一番最後の部分を見ていただきたいんですけれども、「児童に対する性的搾取又は性的虐待に係る行為をしてはならない。」と。それが客観的に証明し得る児童ポルノという形で出ているものについて、その提供罪や所持罪を処罰化したものという整理をしております。
 委員の考え方については、私ども全く異論はないところでございます。
○山田太郎君 もう一つ、ちょっと細かいんですけれども、コスプレーヤーの方から結構今回質問が多くて、非常に心配であると。先ほど着エロなんという話も佐々木議員の方からもあったんですけれども、例えば自画撮りでこの三号ポルノの要件に該当するような写真をホームページでアップした場合に、例えば提供罪としてこの法律で取り締まられる可能性があるのかどうか、この辺り、これは法務省になると思います、お答えください。
○国務大臣(谷垣禎一君) これは、先ほどから御答弁がありますように、証拠に照らして個別に判断しなければ該当するかどうかというのは申し上げにくいんです。
 ただ、一般論として申し上げれば、いわゆるコスプレ写真であるか否かにかかわらず、この二条三項三号の要件を満たす写真等々をネット上にアップロードしていく、こういう行為は、被写体となっている児童本人がこれを行う場合も含めて、児童ポルノの提供罪あるいは公然陳列罪が成立し得る場合があるというふうに考えております。
○山田太郎君 まさにそうなんですね。この法律は、被害者である子供を守るはずが自ら加害者になってしまうケースもあるということで、やはり個人法益なのか社会法益なのか、本来、法律の立て付けをきちっと議論してスタートするべき部分もあったんじゃないかなというふうに実は思っています。
 次に、いわゆる興奮の主体という辺りも少し質疑させていただきたいんですが、衆議院の議論の段階で國重委員に対する政府参考人の答弁としまして、現行法の二条三項二号及び三号にいいます「性欲を興奮させ又は刺激するもの」といいますのは、これは一般人を基準に判断するべきものと解されていると承知しますという御答弁がありました。
 一般的に三歳の児童に対して性的興奮するということは実は考えにくいわけでありまして、仮に、三歳の子が例えば犯されていて、一般人が普通にそれを見て、私は目を覆いたくなることはありますけれども、決して興奮することはないんでありますけれども、そうなってくると、例えば三歳の児童は本法律の対象外となってしまうのかどうか、この辺り、お答えいただけますでしょうか。
○衆議院議員(階猛君) お答えいたします。
 個別の事案に関して収集された証拠に基づいて判断されるべき事柄ではありますけれども、一般論としてお答え申し上げますと、児童の裸体等が人の性欲を興奮させ又は刺激するかどうかについては、個別具体的な事案に応じて、性器等が描写されているか否か、動画等の場合に、児童の裸体等の描写が全体に占める割合、児童の裸体等の描写方法と諸般の事情を総合的に検討して判断すべきものであります。三歳だからという児童の年齢のみをもって判断すべきものではないということであります。
○山田太郎君 三歳だからということを主張しているんではなくて、一般人というのは何なのかということを是非御答弁いただきたいんですね。
 まさに、その対象物を見た場合に、一般人が性的興奮をするものであるというんですが、その一般人というのがよく分からなくて、誰か一人でも興奮したらこれは児童ポルノになってしまうのかどうか、そういったことも含めてもう一度御答弁いただけますでしょうか。
○衆議院議員(階猛君) 一般人というのはどういう人を指すのかということを問題にされるのかもしれませんけれども、そこはなかなかこういう人が一般人だということは言えないわけでありまして、外形で見ていくしかないと。つまり、その問題となっている児童ポルノとされるものの外形で見ていくしかないということで、先ほど申し上げたような、性器等が描写されているか否か、動画等の場合に、児童の裸体等の描写が全体に占める割合がどうなっているか、それから、児童の裸体等の描写方法、こういったものを総合的に検討して判断するしかないのではないかと考えます。
○山田太郎君 今回、冤罪というか、犯罪の対象が広がるかどうかということは、まさに、この性的に興奮するというものに対する定義がちょっとこんなに曖昧でありますと、非常に不安も残るところであります。
 ちょっと先に行きたいと思いますが、これ、もう一つ、そういったこと、何で起こるかというと、やっぱり名称等の問題、この法律の目的性というのをもう一度考え直す必要があるんではないかなと。
 例えばインターポール、国際刑事警察機構も、児童ポルノという呼称を使って児童に対する性的搾取や虐待ということが実は矮小化されてしまっていると。児童ポルノとか幼児ポルノという用語は犯罪者が使用するものであって、警察、司法機関、公共機関、メディアが使用する正当な用語であってはならない。こういうことを国際的に言っているわけであります。
 まさに、児童の性的虐待を示す素材というふうにすれば、虐待がされているというものに対して取締りを行うということに変わるわけでありますから、余り、ポルノであるとかないとか、裸が見えているとか見えていないとか、そういったことでもって虐待が定義されるというのはおかしいと思うんですね。
 そういった意味で、この辺り、名称を変えるべきだ、実はこういった投書もありまして、各議員の先生方の方にも行っていると思いますが、これも一万三千名ぐらいの実は投書が集まって、非常に、しっかり子供の性虐待を、守るという形に名称を変えたらどうかと、こんな議論があるわけでありますが、この辺、発議者の方、名称変更をするということはいかがでしょうか。
○衆議院議員(遠山清彦君) 御質問にお答えをいたします。
 名称変更の要望等につきましては、今回の実務者に参加した五名、ここに今答弁者として立っておりますが、この五名にも各種団体から送付をされておりましたため、実務者協議の場でも議論になりました。児童ポルノという呼称よりも、性的虐待あるいは性的搾取が記録されているものを取り締まる法律だという趣旨を明確にすべきではないかという御意見については、余り異論が出なかったところでございます。
 他方で、今回、改正案を諮っておりますこの児童買春、児童ポルノ禁止法が制定されましてから既に十五年が経過をしておりまして、この児童ポルノという用語に対していろんな御意見があることは事実でございますが、既に社会の中に児童ポルノが何を指すかということについては、一般国民の皆様の理解について定着性が見られるのではないかという認識に至ったものでございます。
 すなわち、この児童ポルノというものが児童に対する性的虐待を記録したものであるという認識が社会に浸透しておりまして、そういった観点から、今回、児童ポルノという呼称を直ちに変更すべきであるとは考えないという合意に至りまして、そのまま法律の名前は維持させていただいたところでございます。
○山田太郎君 私自身は、この法律がきちっと、変な方向に行かないように、名称と目的も合致するようなものにしてもらいたいなと。そうであれば、例えば漫画とアニメの議論なんかも附則で検討するというようなナンセンスな話にはならなかったはず。虐待があるかどうかということに対して説いていけば、ポルノの定義に終始することはなかったんではないかなというふうに思っております。
 さて、ちょっと次に行きたいと思いますが、警察庁にお伺いしたいと思います。単純所持の問題であります。
 所持していることが明らかであっても、性的目的があるかどうか、合理的な理由があるかないか分からない段階で、本法に違反するかの捜査を実際行うケースというのはあるのかどうか、この辺り、明確にお答えください。
○政府参考人(辻義之君) お答えいたします。
 刑事訴訟法第百八十九条第二項は、「司法警察職員は、犯罪があると思料するときは、犯人及び証拠を捜査するものとする。」と規定しておりまして、御指摘のような場合には、そのような目的があるのかどうかということにつきましてまさに捜査をしていくということになると承知をいたしているところでございます。
○山田太郎君 じゃ、次に、事前の廃棄命令の辺りも少しお伺いしていきたいんですが、京都や栃木県の児童ポルノに関する条例というのがあるのは御存じかもしれませんが、児童ポルノの単純所持については、行政による事前の廃棄命令というものが実は存在しているんですね。本法による例えば冤罪ですとか萎縮効果を防ぐために、今回の改正案の中で事前廃棄命令についての検討はされなかったのかどうか、この辺りも発議者の方にお伺いしたいと思います。
○衆議院議員(椎名毅君) お答えをいたします。
 委員御指摘のとおり、いわゆる京都府方式、いわゆる栃木方式という形で、児童ポルノに相当する文書について単純所持を規制する際に、行政による事前の廃棄を命令するというものを介在させる例がございます。栃木県では、県の公安委員会によって、子供ポルノの廃棄命令を出し、それに違反した場合に処罰をするという構成になっております。
 これについても実務者協議の中で検討はいたしました。しかし、諸外国における単純所持規制の中で、事前の廃棄命令を課さずに直罰としている例が多いこと、もう一点が、自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノの所持規制に関しても、仮に事前の廃棄命令を介在させたとしても実効性の点で問題があるということから、今回はこの件について採用するということにはならなかったものでございます。
○山田太郎君 海外でないといっても、国内の条例には幾つかあるわけですから、本当はしっかりこの法案の中でももうちょっと審議していただければよかったなと、こういうふうにも思っております。
 さて、次も質問が非常に多かった中から取り上げていきたいと思いますが、PCフォルダの中にあるいわゆる単純所持という辺りも伺っていきたいと思います。
 パソコンの中に保有する画像ファイルに、個別のケースで伺いたいと思うんですが、性的目的の単純所持が、施行後、成人ポルノ画像が例えば大量に集められたそのフォルダ内に一部児童ポルノに該当するファイルが含まれていた場合、この児童ポルノ禁止法で処罰される可能性があるのかどうか。
 先ほど、実際に、目的が、その量等も鑑みるということだったんですが、逆に一個二個存在しているんであればいいのか悪いのか、そんなようなところも含めて御答弁いただけますでしょうか。
○衆議院議員(遠山清彦君) お答え申し上げます。
 委員の御質問の趣旨は、PCのフォルダの中にたくさんの画像が入っていて、そのうち一点二点が児童ポルノに該当するものだった場合どうかというお話だというふうに思います。
 これも、済みません、一般論として申し上げるしかないわけでございますけれども、基本的には、多数の画像の中の一つ二つにすぎない画像について、その所持している方が自己の性的好奇心を満たす目的を持って所持していることが当局によって客観的に証拠関係から推認されるという状況でないと処罰はされないという整理でよろしいかと思います。
○山田太郎君 今の場合は非常に難しいと思っておりまして、持つ側が十八歳未満なのかどうかというのを意識しなければ、成人のものを見ていたり、たまたま児童のものを見ていたりということでありますが、もしかしたら総体においては性的興奮の目的を満たすということになりかねないと思うんですが、その点いかがでしょうか。
○衆議院議員(遠山清彦君) それも個別具体的なケースだと思いますが、これ実際に衆議院の答弁でも私言及しておりますけれども、いわゆる外見上一体何歳なのか判別をすることが困難な女性なり男性なりというのは、委員も御承知のとおり存在するかと思います。
 よって、例えば、触れ込みが二十歳であっても実年齢は十代であるということもありますし、逆に、触れ込みが十代であるけれども実年齢は二十歳以上ということも十分あり得るわけでございまして、その辺につきましては、私の理解では、実際にそれが事件化された場合に、捜査当局の方におきまして、慎重に科学的にその年齢等を判断できる専門家の意見も踏まえながら判断をしていくというふうに当局からは伺っておりますし、また、もちろん所持している本人の供述だけでは判断できないわけですから、客観的に、それらが自己の性的好奇心を満たす目的で自己の意思に基づいて所持したものであり、かつ、それらの画像等が総体として、先ほど来御議論がありました一般通常人の感覚からいって性欲を興奮したり刺激するものであるかどうか、そういったものの総合的判断によって判断されるべきものと考えております。
○山田太郎君 今、遠山議員の方からお話しした内容の中にちょっと重要な問題が隠れておりまして、いわゆる対象物がまさに年齢が分からない場合であったとしても、そう見える場合に関しては逮捕され、起訴される可能性があるのかどうかということに逆に言及されましたので、ちょっとその辺りも確認させていただきたいと思いますが、それはいかがなんでしょうか。
○衆議院議員(遠山清彦君) 基本的には、被写体の児童が身元が特定されていることが要件ではないということでございますけれども、画像から十八歳未満であると証拠上認められている場合等で、かつ、児童ポルノ該当性についての要件を含む所定の要件を満たす場合には、この児童ポルノ禁止法違反の罪で起訴されることもあり得ると、こういうことでございます。
○山田太郎君 結構そのことは何か怖いなというふうにも思っておりまして、対象者が分からない、実際にはいわゆる児童なのか児童じゃないのか、ぎりぎりの線に置いたとしても、捜査、起訴され、裁判になってそこで証明をされていく。実際には、その少女が最終的には誰だか分からなくても問題になるということはちょっと大きな問題も抱えているのかなというふうに思っております。
 もう一つ、質問ですごく多かった議論の中に、PC上で削除したと。ただ、ごみ箱に入れているだけでは駄目で、ごみ箱からちゃんと削除したということでないと、要は捨てたと、一年以内にやってくださいというような条文があるようですけれども、ただ、これはレクの中でお伺いしたんですが、ごみ箱から削除された状態でも、削除ファイル復元ツール等をインストールしている場合には削除とみなされないというような話もありましたが、この点いかがでしょうか。
○衆議院議員(椎名毅君) お答えいたします。
 まず、定義から入りますけれども、冒頭、所持をするということがどういうことを意味するのかということですけれども、自己の事実上の支配下に置くことをいうということです。この所持罪にいう所持に該当するかどうかについては、まさにこの自己の事実上の支配下に置いているかどうかという観点から、証拠関係で認定できるかどうかについて判断いたします。
 この点、まず、ごみ箱に入れるだけという意味であれば、この行為だけをもって所持していないとは断言できないということです。今御指摘の点、ごみ箱から削除した上でファイル復元ソフト等を入れている場合という話でしたけれども、ごみ箱から削除した場合については、原則として、特段の事情のない限りその当該ファイルを自己の事実上の支配下に置いているとは認められないというふうに考えます。
 では、おっしゃるこのファイル復元ソフト等を持っている場合が特段の事情に当たるのかどうかというところでありますけれども、復元できるような特殊ソフトを保有した上で、これによって復元する意思を明確にしているというような事情があれば特段の事情に該当する可能性があるものと考えます。
○山田太郎君 今のもなかなか証明しにくい問題で、非常に法律上曖昧なところもあるなと思っています。
 さて、ISP、インターネットのいわゆる捜査協力義務のような話にも移っていきたいと思いますが、十六条の三におけるインターネットの利用に係る事業者には捜査機関への協力やファイルの削除についての努力義務を課されております。
 そこで、楽天市場とかヤフーショッピングさんに代表されるようなオンラインショッピングサービスを提供する会社にも、本法による捜査機関への協力義務が負われるのかどうか、この辺りを教えてください。
○衆議院議員(椎名毅君) ありがとうございます。お答えいたします。
 条文上、この十六条の三を見ると、主体は「インターネットを利用した不特定の者に対する情報の発信又はその情報の閲覧等のために必要な電気通信役務を提供する事業者」というふうに定められておりますので、この条項が適用されるか否かについては、当該事業者が提供している電気通信役務がインターネットを利用した不特定の者に対する情報の発信、閲覧に必要なものかどうかというところについて判断されるものというふうに理解をしております。
 御指摘の楽天市場その他のオンラインショッピングサービスについては、一般に、当該事業者が提供する電気通信役務がインターネットを利用した不特定の者に対する情報の発信、閲覧に必要なものに該当するというふうに考えられ、十六条の三の事業者に含まれるものというふうに理解をしております。
○山田太郎君 もう一つ、これも事前にレクでお伺いしていたんですが、ドロップボックスとかエバーノートに代表されるようなオンラインストレージサービスで、かつ日本にサーバーがあるような場合なんですが、アップロードされたファイルをインターネット上で広く公開ができる機能を持っているサービス、これが本法の対象になるということをお伺いしています。
 ファイル削除及び捜査機関への協力についての協力義務、この辺り、それからもう一つ、まさにプロバイダーやサーバー管理者にこの削除義務を課すのであれば、こういったオンラインストレージサービスを運用する会社にもサーバー上のファイルを随時監視し、削除を行う必要が出てくるのかどうか、この辺りをお答えいただけますでしょうか。
○衆議院議員(椎名毅君) ありがとうございます。御質問にお答えをいたします。
 まず、オンラインストレージサービスに関してはですけれども、まず、御指摘のとおり、提供する電気通信役務がインターネットを利用した不特定の者に対する情報の発信、閲覧に必要なものに該当するということで、一般論としては十六条の三の事業者に含まれるというふうに理解をしております。
 他方で、事業者が国内の事業者かそれとも海外の事業者かという点で申し上げますと、基本的に、本法十六条の三はあくまでも努力義務を規定したものにすぎず、刑罰法規ではないので、これは行政法規だというふうに理解をしますが、そうだとすると、一般的に、我が国の行政法規の効力の及ぶ範囲というのは日本国内に限られるものというふうに理解をしています。
 そういった観点からすると、ドロップボックス、それからエバーノートといった御指摘の海外の事業者により運用されるオンラインストレージサービス業者に関しては、本法の事業者に該当をしないというふうに理解をしております。
 その上で、国内の事業者に関してですけれども、やるべきことという意味で申し上げますと、このオンラインストレージサービス事業者に課される、あくまでも努力義務ですけれども、この努力義務の内容という意味で申し上げますと、当該事業者が管理権限に基づく画像等の情報送信防止措置を実施し得る立場にあるかないかというところで区別がされるものというふうに考えておりますけれども、もし仮にこれに当たる場合には、当該管理権限の範囲内で情報送信防止措置を講じるように努力をしていただくことになろうかというふうに理解をしております。
○山田太郎君 削除の努力義務を課すということは、中のクラウド等にたまっているデータを実は検閲、閲覧をするということにもなります。そういう意味で、本法が、例えばインターネット通信に対する通信の秘密を制約するもしかしたら最初の立法になるかもしれないという重要な問題も抱えているかと思っています。
 まさに、電気通信事業者に対して通信記録に関する情報を提出させるというようなこと、その努力義務は、電気通信事業法の第四条、又はそもそも憲法の二十一条の通信の秘密を侵すことにならないのかどうか。重要な問題ですので、法務大臣、お答えいただけますでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 議員立法で今審議中のものに法務大臣がお答えするのは適切かどうかということがございますが、私は、今までの御議論を聞いておりまして、この十六条の三の趣旨は、椎名衆議院議員が答弁されましたように、努力義務を負わせているものである、捜査機関の捜査権限を拡大する趣旨ではないというふうに、今の御議論を聞いて、また条文を読んでそのように理解しておりますので、捜査機関の捜査権限を拡大して、今の御不安がそういうところにあるのだとすれば、必ずしもそういうことではないのではないかというのが私の今までの議論を聞いての感想でございます。
○山田太郎君 本件に絡んで、警察庁の方にもお伺いしたいと思っています。
 プライバシーが詰まったストレージをもしかしたら令状なく警察が丸ごと見る、そういうのは下手をすると捜査権の濫用に当たるのではないかという危惧もあるかと思っています。そういった意味で、仮に、児童ポルノの捜査の過程で他の犯罪に結び付くものが見付かった場合、容疑を切り替えて捜査を進める可能性はあるのかどうか、それは別件捜査につながらないのかどうか、お答えください。
○政府参考人(辻義之君) お答えいたします。
 犯罪捜査の過程で新たな犯罪があるというふうに思料されました場合には、刑事訴訟法の手続にのっとりまして適切に対応させていただきたいというふうに考えております。
○山田太郎君 実は、そういった意味で、児童ポルノの規制をするに当たっての努力義務そのものが、いろんな情報を見られてしまうのではないかというような有権者からの非常に不安があります。これを行き過ぎた形にならないように、どうしたら逆に通信の秘密というものを守っていけるのか、信用できるお互い社会にできるのか、そういったことを是非考えていく必要が残っている法律ではないかなと、こういうふうにも思っております。
 さて、もう一つ先に進んでいきたいと思いますが、漫画、アニメに対する規制につながる可能性があるかどうかということについても少し確認をしたいと思っております。
 社会保障審議会、犯罪被害者等施策推進会議というのがこの中で定義付けられております。それぞれの会議体において、漫画、アニメ等が、性的被害との因果関係、相関関係について研究が行われる可能性があるのかどうか。さらに、付け加えて質問させていただきますと、政府全体としても、漫画、アニメと性被害との関連についての調査研究について今までに実際に行ったことがあるのかどうか、また今後行う予定があるのかどうか。内閣府、厚労省、それぞれお答えいただけますでしょうか。
○副大臣(岡田広君) お答えいたします。
 犯罪被害者等の施策推進会議は、平成十六年十二月に成立いたしました犯罪被害者等基本法に基づき内閣府に特別の機関として置かれた会議であり、犯罪被害者等のための施策の実務を推進し、並びにその実施の状況を検証し、評価し、及び監視することとされております。被害に遭わないための取組については、基本的には同会議の検証対象とはならないものと考えております。
○副大臣(佐藤茂樹君) 山田委員の御質問にお答えいたします。
 今般の改正案では、社会保障審議会は、被害児童の保護施策について定期的に検証及び評価を行うものとされておりまして、今御指摘の漫画、アニメの検証、評価については、この規定上、社会保障審議会の事務として想定されていないと考えております。
○山田太郎君 これ、内閣府の方なのか官房の方なのか分からないですけれども、政府全体として、漫画とアニメの性被害との関連についての調査について今までに行った事実があるのか、今後も行う予定があるのか、この辺り、内閣府だと思いますが、お答えください。
○副大臣(岡田広君) お答えいたします。
 児童ポルノの蔓延防止を、食い止め、排除を進めていくため、現行法に基づいた総合的な対策として、昨年の五月に第二次児童ポルノ排除総合対策を策定し、国民、事業者、関係団体等の連携の下、各府省において施策を推進しているところでありますけれども、この第二次児童ポルノ排除総合対策に係る関係省庁の施策として、山田委員御指摘のような調査研究が実施されたとは承知をしておりません。
 また、現時点において、関係省庁において御指摘の調査研究を実施する予定があるとは承知しておりません。
 以上です。
○山田太郎君 次に、まさにこの本法の本来の目的である児童虐待というのをどう防止していかなきゃいけないかという方向性について、最後になるかもしれませんが、質疑していきたいと思います。
 実は、現行の法体系では、児童の虐待を防止するというのがなかなか法律として作られていないんではないかと。今日、今さんざん質疑してきましたが、児童ポルノ禁止法においてもいろんなケースではみ出ちゃっているというか対応できない。それから、児童虐待の防止法という法律がありますが、これも実際には性虐待について取り締まる規定はありません。親が虐待をした場合に、例えばそれを保護しなければいけない団体が怠慢をこいていた場合に罰則があるという立て付けでありまして、実際に児童の、特に性虐待の防止ということについてはありません。それから、児童福祉法も組織法でありまして、この中にも罰則規定がありません。
 そういった意味で、実は我が国は、この児童ポルノのたとえ禁止法を改正したとしても、なかなかまだまだ児童の性的虐待を取り締まるということができないと思っています。ここで是非、関連法案を一度整理していただいて、あくまでも児童の虐待を取り締まるべき法律を整理した方がいいんではないか。
 先ほどポルノ対策会議というようなことを岡田さんの方からも御指摘あったようですけれども、全体として、国は、もうちょっと、児童ポルノというポルノの定義にかまけているんではなくて、あるいは取り締まるということを一生懸命我々もやるんではなくて、あくまでも性虐待あるいは虐待行為に対して取り締まっていくということをしっかり考えるべきだというふうに思っておりますが、まず、関係省庁としては厚労省、いかがお考えでしょうか。
○副大臣(佐藤茂樹君) 山田委員御指摘のとおり、幾つかの法案がございまして、具体的に確認で申し上げますと、児童ポルノ禁止法というのは、児童買春、児童ポルノに係る行為により心身に有害な影響を受けた児童の保護等について規定をしております。他方で、児童虐待防止法は、性的虐待を含め保護者による虐待の防止及び被害児童の保護等について規定しているわけでございます。
 その上で、児童相談所、今全国に二百七か所ありますけれども、ここで、児童福祉法に基づき、児童ポルノの事案、虐待事案のケースに限らず、児童の福祉の観点から性的被害を受けた児童に対して必要な支援を行っております。
 具体的には三つぐらい施策を行っておりまして、一つは、児童心理司によるカウンセリング、児童福祉司による指導、援助、こういうものを行っております。二つ目には、緊急的な保護を必要とする場合は一時保護。三つ目には、子供の生活の立て直しが必要な場合には児童福祉施設への入所措置などの支援を行っているわけでありまして、今後とも、厚生労働省としては、どのような事案であっても被害児童の適切な保護、支援の確保にしっかりと努めてまいりたいと考えております。
○委員長(荒木清寛君) 山田君、時間が来ておりますのでおまとめください。
○山田太郎君 じゃ、最後にまとめたいと思います。
 まさに児童の被害の防止をするための法律にするべきでありまして、当たり前のことながら、性虐待された児童を保護すると同時に、特に表現の自由、この児童ポルノという定義をめぐっていわゆる拡大解釈され、やっぱり特に若者が萎縮等をしないように、是非最後までこの法律をしっかり審議していきたいというふうに思っております。本日は質疑、これで終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 児童ポルノは、児童に対する最悪の性虐待、性的搾取であって、政府を先頭に、社会全体がその根絶のために断固たる姿勢を示して対策を強める必要があるということは明白であると私どもも考えております。そうした意味で、単純所持の禁止規定を置いて社会全体にその違法性を広く宣言すると、こうしたありようは適切だと考えています。
 しかしながら、本法案による単純所持の処罰化条項、具体的に言いますと、七条一項とその構成要件となります三号ポルノも含めた児童ポルノの定義規定が規制目的を達するために必要最小限のものと言えるのかと、この点についてまず議論をしていきたいと思うんですね。
 これまでの質疑におきまして幾つもの例が出されましたが、その質疑、答弁を伺っておりましても、本罪が成立するとされ得る事案というのはこれ相当広範に及んで、かつその外延が曖昧なのではないかという疑問を私も拭えないわけです。
 そこで、本法案の保護法益についてまず確認をしたいと思うんですが、その前提として法務省刑事局長に、現行法にも定義をされています性欲を興奮させ又は刺激するものというこの法の要件は構成要件ということだと思いますが、先ほど来、これは一般人を基準に判断すべきという答弁が衆議院でもあったという紹介がありましたが、改めて、この性欲を興奮させ刺激するものという定義、そしてこれがどのように判断されるのかという基準についてお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) 今御指摘の性欲を興奮させ又は刺激するものというものでございますが、御指摘のとおり、これは一般人を基準に判断すべきものと解しております。
 その判断につきましては、個別具体的な事案の内容にはよるものの、一般論として申し上げれば、その判断要素といたしましては、性器等が描写されているか否か、あるいは動画等の場合にその児童の裸体等の描写が全体に占める割合、あるいはその児童の裸体等の描写方法、こういった諸般の事情を総合的に検討して、それを一般人に当てはめて、その基準で、性欲を興奮させ又は刺激するものに当たるかどうかを判断するものと解しております。
○仁比聡平君 そうしますと、先ほど山田議員始めとした方々の議論にもありましたけれども、一般人が性欲を興奮させ又は刺激されないものであれば、たとえそれが性的虐待あるいは性的搾取という観点から見たときに許されないものであったとしても、この構成要件には該当しないということになるわけでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 性的搾取あるいは性的虐待、こういったものを防止するという法の趣旨があるわけでございますが、その中で個々具体的な刑罰を科す条文を見ますと、それぞれに例えば今の性欲を興奮させ又は刺激するというものが構成要件としてございます。したがいまして、これに当たらなければ刑罰は科せられないということになります。
○仁比聡平君 例えば、イングランド、ウェールズのこうした児童ポルノに関する事件の量刑について量刑諮問委員会というのがあるそうで、もちろん前提とする法制度が改正案のような趣旨かはいろいろ、国それぞれだと思いますけれども、この中でも参考とされている欧州におけるペドファイル情報ネットワークの闘いという、コパインスケールと言われている、児童ポルノと今のところ申し上げておきますけれども、この中身を分析している基準があります。この中で、例えば下着姿、水着姿などの子供を写したものだと、エロティックでも性的でもないというレベル一、暗示的なものに始まってレベル十まで、最も厳しいあるいは許し難い、そうした画像としてレベル十、こんなふうな定義が示されているわけです。子供が縛られ、拘束され、殴られ、むち打たれ、又は痛みを暗示するその他の行為を受けているところを写した写真、子供を対象とした何らかの形態の性的行為に動物が関与しているところを写した写真。これは、ウェールズにおいては、つまり量刑事情として重く見られなければならないという考え方かと思うんですけれども。
 先ほど山田議員の質問にもありましたけれども、私もこうした画像というのは吐き気がする思いだと思います。一般人がそうした画像によって性欲を興奮させ、刺激されるのかという基準でいうと、これはそれには当たらないということになりかねないわけですが、これ、一般人の性欲をということで基準とすると、そういうことになるのではありませんか。局長。
○政府参考人(林眞琴君) 今御指摘の外国のコパインスケールでございますか、こういったもので幾つかの分類があるわけでございます。これについては、詳細は承知していないわけでございますが、外国の研究者が児童ポルノをその虐待性の観点から幾つかの段階に分けた指標であろうかと思います。
 したがいまして、これがどういう形で日本の今回のこの児童ポルノ禁止法に当てはめになるのかというのは、具体的な詳細な対応関係というのはもちろんないわけでございまして、結局のところ、そういった各外国での分類のものがこの児童ポルノに該当するか否かにつきましては、こういった個別具体的な証拠関係に基づいて判断すべきでございまして、結局、そういった写真等が法の二条三項各号の要件を満たすかどうか、そういった場合には児童ポルノに該当することとなり、全ての場合にそれが児童ポルノに該当するわけではないというふうに理解しております。
○仁比聡平君 結局、性的虐待あるいは性的搾取による児童の自由や人格、あるいは身体、生命の安全が保護法益、それが保護されなければならない、ここに対する侵害を抑止しなければならない、そういう立法の意図が貫かれるのであれば、別の定め方が私は十分あり得ると思うんですね。
 御存じかどうか、インターネットアーカイブを参照しますと、インターポールが、この児童ポルノという今国際的に使われている名称はこれは不適切ではないのかと。実際に保護されるべき児童の虐待やあるいは性的搾取という、ここの実態を表していないのではないのかという批判がされています。既に二〇一一年の十月にそうした認識がインターポールのホームページに掲載をされておりまして、呼び方として、チャイルドアビューズ・イズ・ノット・ポルノグラフィー、ポルノではなく児童に対する虐待物と認識を一致させるべきではないかという趣旨が示されているわけです。
 本法をめぐっても、我が国でも児童性虐待描写物という表記を使ってはどうかという議論もあったように思うんですけれども、そうした考えを取らなかったというのはどうしてなんでしょうか。提案者。
○衆議院議員(遠山清彦君) 仁比委員にお答えを申し上げます。
 先ほども山田太郎委員から類似の御質問がございました。おっしゃるとおり、ポルノという言葉だけ考えますと、成人の場合はそれは認められているわけでございまして、それが対象が成人ではなくて児童になった場合に児童ポルノということでございますから、委員が御指摘のとおり、ポルノという言葉イコール性的虐待という含意がないのではないかという御指摘についてはそのとおりでございますし、恐らく、インターポールが、そういった意味でチャイルドポルノグラフィーという英語の中にはアビューズという、虐待という意義が必ずしも入っていないのではないかと、そういう趣旨からの御提言と私どもも理解をしております。
 他方で、今回、法律の名前を児童ポルノのまま、つまり十五年前の制定時のまま維持をするとした理由につきましては、既にこの児童買春と並びまして児童ポルノを、今回の本改正前にも提供罪等は既に処罰化の対象にしてきた、つまり犯罪化してきたわけでございまして、そういった意味で、児童ポルノという用語が、その字義の元々の意味を考えれば必ずしも虐待という意味を含んでいるとは言えなかったものの、この法律が制定されてから十五年間の間に社会で定着また浸透していく中で、今回の法律の三条の二にも明確に書かれておりますとおり、誰人も児童に対する性的搾取あるいは性的虐待に係る行為をしてはならないという精神の下にこの児童ポルノ禁止法が作られているという趣旨が社会に十分浸透しているという点に鑑みまして、実務者協議におきましても本法律の名前の変更は取らなかったと、こういうことでございます。
○仁比聡平君 今の御答弁にありますように、改正案三条の二において児童に対する性的搾取又は性的虐待に係る行為を禁ずるのだと、抑止するのだということが現行法も含めたこの法の趣旨であるということが明確にされるのだという御答弁なのであれば、今回の案ではないんですけれども、その趣旨を明確にするという法改正や、あるいは広報、周知も含めて検討をこれからすべきではないかと申し上げておきたいと思います。
 趣旨はそうなのだというふうにおっしゃりながら、けれども現実の構成要件は、先ほど指摘をしたように、性欲を興奮させ又は刺激するものという要件があって、これを一般人を基準として判断をする以上、例えば公然わいせつなどにおけるわいせつ性という概念と厳密には一致はしていませんが、ですが、わいせつ性と似通った判断を捜査機関そして裁判所が行うということになるんだと思うんです。しかも、七条一項に言う「自己の性的好奇心を満たす目的」という目的規定にしたことによって、限定されていないとは言いません、限定されていないとは言わないが、しかし主観的要素がこの犯罪の成立に関わるということになるということなんですね。
 そこで、まず警察庁にお尋ねしたいと思うんですけれども、性欲を興奮させ又は刺激するものか否かというこの判断は捜査の段階においてはどうやって行うんですか。
○政府参考人(宮城直樹君) お答え申し上げます。
 先ほど法務省の方からも、この性欲を興奮させ又は刺激するものについての答弁がございました。その判断の要素といたしまして、例えば性器等が描写されているか否か、あるいは、例えば動画等の場合ですと、その動画の占める割合の問題、それから児童の裸体の描写方法、こういったものを総合的に検討して判断をすると、こういった考え方に基づいて個別の事件の摘発をしてまいると、このように考えてございます。
○仁比聡平君 個別の事件において、そうした性欲を刺激するなり興奮させるなりというふうに言えるかどうかを判断するんだと。これは捜査機関のまず判断に委ねられるということになるわけなんですね。
 いわゆる三号ポルノについて、今回の改正案で付加されようとしている「殊更に」とかあるいは「強調」というこの構成要件というのはどう判断されるのか。警察庁に引き続き伺いたいと思いますが、強調されているかどうかというのは、これはもちろん一つ一つの画像の個別具体的な判断でしょうから、結局その現場での判断ということになるのではありませんか。
○政府参考人(宮城直樹君) お答え申し上げます。
 この法の二条三項三号の「殊更に」というのは、一般的には合理的な理由がなくわざわざと、この意味でございます。これは、例えばその画像の内容が性欲の興奮や刺激に向けられているかどうか、また、そういったふうに評価されるかどうかと、こういったことを判断するために加えられたものというふうに考えてございます。
 したがいまして、その判断でございますが、例えば性的な部位が描写されているかどうか、児童の性的な部位の描写が画像で占められるのはどの程度になっているか、こういったことを個別のその映像、画像に基づきまして判断して摘発してまいると、こういうふうに考えてございます。
○仁比聡平君 その判断というのは極めて曖昧で、今日質疑で出た議論ですので通告はしていないんですが、答えられればでいいんですけれども、先ほど真山議員がCGの例を挙げられました。実在の児童を描写していればこれに当たるのだと。CGは当たらないが、CGが実在の児童を描写するものであればこれに当たるのだという提案者の御答弁だったと思うんですが、警察庁、これどんな場合に実在をしている児童を描写しているという判断がされますか。
○政府参考人(宮城直樹君) 実際の児童を描写するということでございますが、例えばですが、まさに普通のアニメーションから作られたようなCGというのがございます。一方で、本当にその実際の、実在の画像から作られたもの、CGがございます。ですから、その中で、実在するその写真から作られた、それを加工して作られたもの、それにどれぐらい近いかと、こういったことで個別の判断をしてまいると、このようになろうかと思います。
○仁比聡平君 例えば顔が特定できるとか、体つきが特定できるとか、何か示せますか。
○政府参考人(宮城直樹君) いわゆる児童であるか、恐らく今のお話は児童であるかどうかということに関連するかと思います。
 我々の摘発する側といたしましては、仮に児童で、その児童の人定といいますか、どこの誰さんだということが分からなくても、要するにその画像がまさに児童に係るものであると、もう児童ポルノであるということが分かればそれは摘発するものでございます。
 したがいまして、その場合には、例えば、先ほど他の答弁にございましたですけれども、いわゆる医学的な方法を用いまして専門家の方に鑑定をしていただいて、そういった中でこれが児童に係る画像であると、こういったものを判断して摘発すると、こういうふうになるかと考えてございます。
○仁比聡平君 その実在する児童との特定さえされれば当たるのだということになれば、十八歳未満の例えばアイドルの顔を使ったCGというのも当たり得ると、当たると決め付けませんけれども、当たり得るというふうになると思いますが、先ほど御答弁された提案者の方、そういう趣旨ですか。
○衆議院議員(西田譲君) 先生の問題意識は本当に大切なところだと思います。
 あくまで実在の児童を描写したものであるかどうかということでやはり判断をしなければなりませんので、たとえCGであったとしても、仮にそうであるのであれば児童ポルノに当たる場合があり得るということでございます。
○仁比聡平君 という御答弁であれば、全く構成要件としては外延は明確ではないでしょう。
 自己の性的好奇心を満たす目的という七条一項の主観的要件について伺いますけれども、これについては、先ほど来、客観的に表れている事実を見て判断するのであるという趣旨の御答弁が刑事局長からもあっているんですが、改めて、この目的とは何か、どう判断するのか、お聞かせください。
○政府参考人(林眞琴君) 一般論として申し上げますと、これは目的犯でございまして、目的犯におけるこの目的、自己の性的好奇心を満たす目的、これを立証する場合には、当該の具体的事案におけるまず客観的事情を基本といたしまして、かつ、被疑者、被告人を含む関係者の供述をも踏まえて行うものと考えております。
 したがいまして、この自己の性的好奇心を満たす目的につきましては、児童ポルノを所持するに至った経緯、所持している児童ポルノの内容や量、また所持の態様など、これらが客観的な諸事情となりますが、こういった客観的な諸事情を基本としながら、それに関係者の供述を総合して判断することになると考えます。
○仁比聡平君 そうした事情を総合して判断をするというのも、まずは警察の判断に委ねられてしまうということは指摘を先ほどしたとおりですが、例えば先ほど例として出された、一旦所持をしていたものを削除したが復元プログラムを持っていた場合に、復元する意図があるかどうかということが判断要素として述べられました。
 そうした点も含めて、この主観的要件を満たすかどうかというのは、つまりは捜査を遂げてみないと分からないということですね。児童ポルノ一、二、三号とに該当し得る画像を自己の支配に置いているという人を見付けたときに、この自己の性的好奇心を満たす目的で所持をしているのかどうかというのは、つまり様々なことを調べてみないと分からないということになるわけです。
 となると、その行為者が、このまま自由にしていると証拠を隠滅するのではないか、あるいは逃亡をするのではないかというおそれが捜査機関によって判断され裁判所が令状を出すということになれば、逮捕され得る、勾留され得るということになりますよね。たとえ、裁判で後になって、いや、そういう目的はなかったということで無罪にされるとしても、そういう意味で処罰されないとしても、そうした捜査機関の強制捜査の対象となる。当然、自宅ないし立ち回り先のパソコンなどはガサ入れの対象になる。そういう理解でいいですか。刑事局長。
○政府参考人(林眞琴君) あくまで、その捜査におきまして、刑事訴訟法の要件に従いまして、あるいは逃亡のおそれ、あるいは証拠隠滅のおそれ、こういったものを、令状請求したときにそれを、裁判所にそういうものがあるということが認定される、そういった資料を提供するまず必要がございます。その上で、刑事訴訟法の要件を満たすとなれば令状が出されて、それに基づいて捜査が行われるということになると思います。
○仁比聡平君 私は、必ず濫用されるというふうに言っているつもりはないんです。そういう規定でしょうと、この改正案はと申し上げているんですが。
 三条について伺います。
 適用上の注意という表題になっているわけですが、「学術研究、文化芸術活動、報道等に関する国民の権利及び自由を不当に侵害しないように留意し、」という規定ですけれども、これは、構成要件該当性や違法性阻却あるいは責任を阻却するというものではなくて、こうした行動であっても犯罪としては成立するのだと昨日、法務省のレクチャーで伺いましたけれども、刑事局長、そういう理解でいいですか。
○政府参考人(林眞琴君) この三条の規定でございますけれども、基本的にこういった本法の適用上の注意をしたものでございます。特に、学術研究、文化芸術活動、報道といった、こういった本法の規制と密接な関係を有する国民の権利、自由を今回の法改正で例示として追加して、かつ、その追加されたものを考慮して本法の全般の適用上の注意を規定としてここに掲げられたものと理解しております。
○仁比聡平君 つまり、犯罪としては成立すると。つまり、児童ポルノ一、二、三号に当たり、それを所持をしており、そのときに自己の性的好奇心を満たす目的であるというふうに認定をされれば、それは犯罪としては成立するということですよね。
 当然、自己の性的好奇心を満たす目的と、学術研究、文化芸術活動、報道等ということが、その自由、権利が両立し得ないというのであれば犯罪の成否は明確だということになるのかもしれませんけれども、先ほど来の議論でも、それが混在するなり、厳密に切り分けられないなり、そういう場合は逃れさせてはならないというような御答弁もありましたよね。例えば学生が、あるいは大学院生が、こういう児童ポルノや虐待ということについての研究を行おうという目的で世界中に流布されている画像をその資料として蓄積しているという場合を、先ほどの議論では、学術目的だからという言い訳だけで逃れさせてはならないという趣旨の御答弁がありました。
 これは、つまり、そうした場面でも、七条の一項の要件を満たすのではないのかということが厳密に捜査の対象になるということなんでしょう。発議者。
○衆議院議員(遠山清彦君) 法務省の刑事局長からも御答弁があったかというふうに思いますけれども、この学術研究の目的で集めていても、実際には、客観的証拠から自己の性的好奇心を満たす目的を持って自己の意思に基づいて所持するに至ったと立証された場合は処罰の対象になり得るという理解でございますので、これ、先ほども佐々木さやか議員からも御質問ありましたけれども、正当な目的の中に学術目的は当然に入るわけでございますから、もし正当な業務行為であるとすれば、刑法三十五条上、違法性が阻却されるという解釈も私ども理解をしておりますので、そこは、それぞれの個別な事例における客観的な証拠で、本当に学術目的で所持に至ったのか、そうではないのかということを、やはり収集した証拠に基づいて当局が立証されない限り処罰はされないと、こういう理解でいるところでございます。
○仁比聡平君 そうした御答弁でも犯罪成立の外延が明確になったと私には思えないんですね。
 アメリカやカナダの児童ポルノをめぐる規制については、例えば恋愛関係にある男女の間の性的行為の記録という概念が議論されているようでございまして、例えば日本でも、婚姻適齢を、婚姻要件の年齢を考えても、十八歳未満の女性と男性がそうした性的行為に及ぶ、それを自分の記録として保管するということはあり得ることで、これだけインターネットや動画撮影も可能になっている社会において、そうしたら、それを全て単純所持だといって禁ずるのか、そういう議論さえ起こり得るわけですが、私は、そういう場合、つまり個人の私的領域に刑罰をもって立ち入るということは、それはすべきではないのではないかと思いますけれども、提案者、いかがでしょうか。
○衆議院議員(遠山清彦君) 仁比委員、これも個人的な、今おっしゃったような恋愛関係とかあるいは法律上婚姻している関係の男女においての性的行為を自らの意思で記録に撮ったものの所持についてどう扱うかということでございますが、特に今回の場合、児童ポルノでございますので、女性あるいは男性どちらかが十八歳未満というケースに限られるとは思いますけれども、これは、私的な記録として所持をしている場合と、それを他の目的、つまり、例えば他者に頒布する場合には、その他者の性的好奇心を満たす目的というところに該当するような形態の中でそういう事案が出てきた場合には、当然に児童ポルノの所持という定義に合致するケースもあり得るかと思います。
 しかしながら、単に婚姻関係にある男女が私的に記録で撮ったビデオを所持していることだけをもって、即この児童ポルノの禁止法の処罰対象になるとは考えにくいかと思っております。
○仁比聡平君 その御答弁はもっともだけれども、それは法文上は明確でないと思います。
 児童ポルノを根絶するという観点で少し議論を進めたいと思うんですけれども、イタリアの児童虐待・児童ポルノ防止団体に虹の電話というふうに呼ばれているNGOがありますが、二〇一一年二月の報告によりますと、九六年以来、インターネット上で流通している児童ポルノや虐待の動画像というのは三十三万五千件以上に上ると。その流出元はヨーロッパが五四%、北米が四三%であるというのです。つまり、ほとんどが欧米だという調査なんですね。その報告では、日本発のものは二〇一〇年で順位でいうと十七位、ワーストワンは米国で、二位はドイツ、そういった報告もされているわけです。二〇〇九年の段階でこの団体が確認したサイトというのはおよそ五万件で、日本はそのうち五十四件で〇・一%であると。
 そうした指摘がありまして、こうした欧米諸国では単純所持を罰則化すると、そうした規定が先行しているわけですが、この単純所持を処罰化したからといって、製造やあるいは流出、提供といった、とりわけインターネット上の拡散を防止するという効果があるとは言えないのではないのか、処罰規定はむしろ成功していないのではないのかという意見もあるんです。
 これ、警察庁にお尋ねしたいんですが、日本政府として、世界のインターネットを中心にした、国際的に児童ポルノというのがどんな実態にあって、その中で日本の行為者やプロバイダーなどがどんな役割を果たしているのか、そういった調査というのは行ったことがあるんですか。
○政府参考人(宮城直樹君) お答えいたします。
 児童ポルノに係る電磁的記録でございますが、これはインターネットを通じてオンラインで流通するということでございまして、その全貌を把握することは極めて困難というふうに考えてございます。
 ただ、我が国について言いますと、これは捜査の現場の感触でございますが、外国の捜査機関からの積極的な情報提供や捜査協力の申出が増えてございます。こういったことから、日本に関わるものが増加しつつあるのではないかと、このような認識はしてございます。
 いずれにしましても、国際的な捜査協力を推進することによりまして、我々としては児童ポルノの事犯に的確に対処してまいりたいと、このように考えてございます。
○仁比聡平君 今の答弁でお分かりのように、そうした調査はないんですよ、していないんですよ。現場の肌感覚で増えているというのは、先ほどの統計の数字でも、それは私もそう思いますよ。だけれども、どうやって根絶するかということを真剣に考えるには、その調査をしないと、実態をと思います。
 もう一つ、先ほども話題になりましたが、昨年五月に第二次児童ポルノ排除総合対策が犯罪対策閣僚会議として出されているわけですね。
 ここで、私、特に捜査の中でも被害児が特定されていく、六百数十人というお話が先ほどもありましたが、その一人一人の児童がその後どう保護されているのか、その点は極めて重要なことだと思うんですが、どうも、昨日来伺いますけれども、昨年の五月以降、そうした関係省庁の間での連携、例えば警察が、そうした被害児が特定されたときに例えば児童相談所に通告をする、そうした行動がどうなっているのか、実情が。その通告をされた後、児童相談所でどんな苦労があっているのか。あるいは、被害児にPTSDを始めとしてどんな苦しみが発現しているのか。そうした意味での連携ということが着目されていないのではないのか。
 それぞれの機関が一生懸命やっておられるのは私は信じたいと思いますが、だけれども、連携して児童ポルノの被害児に対してどう臨むべきかという認識はないのではないかと思うんですけれども、厚労省、おいでいただいていますが、いかがですか。
○政府参考人(鈴木俊彦君) お答え申し上げます。
 児童ポルノ事犯は多くの場合、御指摘のように、警察の捜査を通じて把握されることになります。警察におきましては、少年サポートセンターにおきましてカウンセリングの実施が行われていると承知いたしております。そのプロセスにおきまして、その児童について保護者による監護が不適当な場合など、児童相談所の関与が必要と警察が判断した場合には児童相談所への通告が行われているところでございます。
 そこで、児童相談所におきましては、こうした通告を受けた場合に、児童心理司によるカウンセリングでございますとか、あるいは児童福祉司による指導、援助を行う、医療ケアが必要な場合には病院等の専門機関をあっせんする、さらに、緊急の保護を必要とする場合には一時保護、生活の立て直しが必要な場合には、場合により児童福祉施設に入所させるなどの支援を実施しているところでございます。
○仁比聡平君 児童相談所に引き続き私は頑張ってもらいたいと思いますけれども。
 大臣に、時間が参りましたので、二点だけお尋ねを最後にしたいと思うんです。一つは、今の児童ポルノの加害被害の実態の国際的な調査をすべきじゃないか、加えて連携を強めるべきじゃないかという点が一つ。もう一つは、この児童ポルノ法も今度対象範囲に拡大しようという通信傍受についてなんですけれども、これ、どうも警察庁にお尋ねをしても、この中身を聞かせてはもらえないような現況になっておりまして、ちょっと今日質疑をする時間はなくなっているんですが、この政府の今の案には、現行法で処罰対象となっている行為についての通信傍受も対象にするという提案なんですね。
 これ、今度の改正で七条一項が新設されるとなれば、これも含めて通信傍受の対象犯罪という提案を、進んでいく方向があるんですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今回の改正法案、それからいろいろなその対応、議員立法でやっておられる最中、法務大臣としてお答えが大変しにくい、ですから踏み込んだことは私は申し上げません。
 ただ、私自身、平成十一年にこの法案ができる前、当時、準備の段階は自社さ政権だったと私の記憶では思います。私、その与党の児童ポルノ・児童買春法を作るときの座長を務めておりまして、法案を提出するときは閣僚になっておりましたので提案者にはなっておりませんが、私自身としても非常に思い入れのある法律、今日改正を審議していただいているんです。当時、私どもが気付いていなかったこと、それから、当時にはそういう事態がなかったこと等々についていろいろこの委員会でも熱心に御議論されていることにまず心から敬意を表したいと思っております。
 その上に、やはり、先ほど警察からの御答弁もございましたけれども、特に当時は意識していなかったインターネット上のものが非常に出回ってくることになりますと、国際的な連携というのは、委員の御指摘のように、これは極力図っていかなければ効率的な児童ポルノの根絶というのはできないだろうと思います。どういうふうに実態を調べていくかということはこれは工夫をしなければなりませんが、この犯罪実態がどこにあるかということは我々も今後十分関心を持って取り組んでまいりたいと、このように思っております。
 それから、今、通信傍受のお話がございました。これは今法制審で御審議中でございますので、私は、法制審でどういう結論を出していくか、バランスの良い結論を出していただきたいと思っておりますが、今私の立場で御報告できる段階ではまだございません。
○仁比聡平君 終わります。
○谷亮子君 生活の党、谷亮子です。
 本日の議題につきまして伺ってまいりたいと思います。
 平成十一年に超党派の議員立法によりまして児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律が成立いたしております、いわゆる児童ポルノ禁止法でございますけれども。そして、平成十六年に法改正が行われまして、本年、平成二十六年に十年を経過いたしまして、今回改正が行われるわけでございますが、その背景には、インターネット等の普及や発達、そしてまた急速な発展によりまして、児童が児童ポルノの被害に遭うということが年々増え続けてきているということもございます。
 また、児童ポルノの被害は国際社会におきましても大変深刻化いたしておりまして、G8加盟国のアメリカ、イギリス、イタリア、カナダ、ドイツ、フランス、ロシア、日本は、これまでも、二〇〇七年のミュンヘン会議、そして二〇〇八年の東京会議、二〇〇九年のローマ会議におきまして、司法・内務大臣会議で毎年、児童ポルノを非難、弾劾し、G8加盟国は闘うということを宣言していらっしゃいます。
 そして、先日、フランスのAFP通信は、今回の改正案が衆議院を通過した時点での報道の中で、日本が今日、児童ポルノ所持の禁止に近づいた、日本はまだ禁止していない先進国で最後の主要国だと報じられたと伝えられておりました。
 そこで、発議者の方にお伺いさせていただきたいと思いますが、児童ポルノ単純所持罪を設けるべきとの国際社会からの強い要請もある中で、今回の改正によって期待できるところはどのようなところでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
○衆議院議員(遠山清彦君) 谷委員にお答え申し上げます。
 まず、先ほどのAFP通信の報道は私は知らなかったものですから、御指摘いただいてありがとうございました。是非この参議院におきましてもしっかりと成立をさせていただければと思っているところでございます。
 先ほど委員のお話の中にも御指摘がありました国際社会の動向につきましては、G8のうち単純所持規制を設けている国はロシアと日本以外の国々でございまして、そういう意味でかなり長い間、日本は他のG8諸国、ロシアを除く諸国から、あるいは国連関係の委員会等から、早くこの単純所持を処罰化するように求められてきたところでございます。
 一例だけ挙げますと、平成二十二年の六月十一日には、国連の児童の権利委員会による報告書が出されまして、これは元々日本が、日本政府が児童の権利に関する条約議定書に基づいて出した報告書に対する審査報告書でございますけれども、この中で、日本において児童ポルノの所持が依然として合法であることに懸念が表明をされて、児童ポルノの所持を犯罪化すべきであるということが指摘をされておりました。
 私ども提案者といたしましては、先ほど来答弁繰り返しておりますとおり、自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノの所持を罪とするということにいたしまして、今申し上げたような国際社会の要請に少々遅まきながらしっかり応えていくということを考えております。
 そして、この今回の改正案が成立することによりましてどのようなことが期待されるかということでございますが、やはり児童買春の相手にさせられた若い女性の皆様方のお話や、あるいは、まだ自分で余り考えが及ばない年齢のときに、いろんなケースがございます、私個人的に相当怒りを持って聞いたケースもあるわけでございますが、親戚のおじさんにだまされて、数年間にわたって幼い頃から裸にさせられて写真を撮らされたり動画を撮らされたりということが中学校入る前まで継続的に続いて、そして途中でこれはおかしいのではないかということをその相手に言ったところ、今度、親にばらすぞと、学校にばらすぞと脅されてそのまま黙っていたけれども、自分自身が成人期を迎えて、自分が子供の頃にどんなことをされていたのかということで、自殺未遂に至ったり、あるいはその当時撮られた写真とか動画等がインターネットを通じていろんなところにばらまかれているのではないかと、そういうところに思いを致しただけで死にたくなってしまうと、そういうような方々が残念ながら日本でも実際にいらっしゃるということからいたしますと、今までももちろん、谷垣大臣が先ほどおっしゃっていたように、平成十一年の制定時から、例えば児童ポルノを製造したり提供したりすることは罪であったわけでございますが、そういうサプライサイドはきちんと処罰の対象にしてきたわけですけれども、所持することを罰してこなかった。つまり、英語で言うとデマンドの方ですね、需要の方を処罰してこなかったという不備があったわけでございまして、これが今回の法改正によりまして所持も原則として処罰化されると。
 そして、その理念につきましても、法律の三条の二で、先ほど来議論されておりますとおり、児童に対する性的搾取、性的虐待は誰人もしてはならないということを理念として明確化したということでございまして、先ほど来、山田委員始め様々な方々からまだまだ不備があるという御指摘があって、そこは今後また、議員立法でございますから立法府の議論を踏まえて検証していかなければいけないと思いますが、しかし、今回の改正によりまして大きな改善が図られると、児童の権利を守るための大きな改善が図られると考えております。
○谷亮子君 ありがとうございました。
 今お話を伺っておりまして、やはり児童の心体的立場に立った改正でなければならないということが、これもう大前提であるというふうに思いますし、国際社会の中においても、やはり児童ポルノに対する深刻化、また課題というのが今後も続いていくということが明らかでありますので、そうしたことで今回、日本においては法改正が行われ、自己の意思に基づいて所持するに至った者に対しましては一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処するという単純所持罪が新たに改正案の中に盛り込まれているということで、やはりこうした単純に所持している場合に対しても罰せられることがなかったということで、今回新たに改正されるということで一歩前進かなというふうに受け止めさせていただいております。
 そして次に、インターネット上におけるブロッキングについて総務省にお伺いさせていただきたいと思います。
 インターネット上の児童ポルノ画像の流通、閲覧防止策であるブロッキングにつきましては、犯罪対策閣僚会議におきまして、政府が、事業者によるブロッキングの主導的導入に向けた環境整備を積極的に行うとされておりまして、優先度の高い事業となっております。
 そこで、総務省におかれましては、平成二十三年から平成二十五年度までに約十四億円の予算を計上し、ISP、インターネットサービスプロバイダーの規模に応じたブロッキング方式の開発、実証実験を行い、その成果として報告書を取りまとめられております。また、このことに基づきまして、プロバイダーがブロッキングを円滑に導入するための事業者によるガイドブックを策定するとともに、ブロッキングの導入に慎重な地域のISP等を中心に、これらを活用して、普及啓発活動を積極的にこれは実施されていらっしゃいます。また、実証実験連絡会には、多くのユーザーを持つ多数のISPや通信事業者団体、児童ポルノサイトアドレスリスト作成管理団体等、幅広く関係者がこちらの方には参画されていらっしゃいます。
 そこで、インターネット上の児童ポルノの画像や動画の閲覧を防止するブロッキングに関する取組につきまして伺いたいと思いますし、もう一点、実証実験の成果につきまして、総務省に併せてお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(安藤友裕君) お答え申し上げます。
 児童ポルノのブロッキングにつきましては、平成二十三年三月に、ブロッキングを行うプロバイダーなどの民間事業者により構成されるインターネットコンテンツセーフティ協会、いわゆるICSAが設立され、同協会がブロッキングの対象となる児童ポルノ画像の判断をするなど、民間における自主的な取組として進められてきているところでございます。
 こうした中、今委員御指摘のとおり、総務省では、プロバイダーの規模などに見合った精度の高いブロッキングを導入可能な環境を整え、事業者による自主的導入を一層促進するため、平成二十三年度から平成二十五年度までの三年間、実装に適したシステムの開発でありますとかその実証を行ってきたところでございます。
 具体的には、ブロッキング方式には、ドメイン、これはインターネット上の通信の相手方を特定するために付けられる名称のことでございますけれども、このドメイン単位で児童ポルノ画像にアクセスする通信を検知しブロックするいわゆるドメインネームシステムブロッキング方式や、ドメイン単位でのブロッキングと、URL、これはインターネット上に存在する画像等の場所を示す記号のことでございますけれども、このURL単位でのブロッキングの混合方式でありますハイブリッド方式などがあるところでございますが、それぞれ、ドメインネームシステムブロッキング方式の場合、技術面及びコスト面での実装が容易である一方、児童ポルノ以外の適正なサイトなどをブロッキングしてしまうといういわゆるオーバーブロッキングを発生させるおそれがあるという課題があり、また、ハイブリッド方式の場合には、よりきめ細やかなブロッキングが可能であり、オーバーブロッキングの発生を抑制できるものの、多額の設備投資などを要するといった課題が挙げられていたところでございます。
 実証実験においては、これらの課題を踏まえ、ブロッキングの精度の向上に向けたシステムの開発を行うとともに、ネットワークに過大な負荷を与えないかどうかや、共同利用による導入、運用コストの低減化の実現可能性などについて検証を行ってきたところでございます。
 その結果、ブロッキングの精度が高いハイブリッド方式についても、ネットワークへの過大な負荷を与えることなく、かつ、複数のプロバイダーでシステムを共同利用することなどにより比較的低廉なコストで導入することが可能であることなどが確認されたところでございます。
 このように、総務省といたしましては、児童ポルノのブロッキングに関し、民間による自主的な取組を支援しつつ、必要な環境整備を図ってきているところでございます。
○谷亮子君 ありがとうございました。詳しく御説明していただきました。そのとおりであるというふうに思います。
 そして、やはり民間による協力というのが非常に重要であるということと、さらにはその開発、実証実験によってそれらに対する課題という、先ほどもお話ありましたけれども、オーバーブロッキング等の課題、こちらの方にも今後さらに実証実験、そして開発、さらには支援等、やはり国がしっかりとその辺を拡充して更なる取組というものも私、期待してまいりたいと思っておりますし、応援してまいりたいとも思っております。
 そして、やはりブロッキングについて国際社会に目を向けてみますと、G8では、ドイツ以外の日本を含む全ての国で何らかのこれはブロッキングの対策が行われておりますけれども、イタリア、ロシア、フランスではブロッキングに対しましては法律に規定が既にございまして、その他の国では、これはブロッキングに対しては自主的に実施されているということがG8諸国における児童ポルノ対策に関する調査におきまして平成二十五年三月に報告されておりました。
 また、日本におきましては、ファイル共有ソフトネットワーク上の流通、閲覧防止対策の推進はなされておりますけれども、通信の秘密に不当な影響を及ぼさない運用等にもこちらは配慮されつつ、児童の権利を保護するとの観点から、こちらは関連事業者との連携をして、そして更に取組を進めていっていただきたいなというふうに思っています。
 そこで、総務省に続けてお伺いさせていただきたいと思いますが、ブロッキングに関する取組、ただいま御説明いただきましたけれども、今後更なる取組というのがまさに今必要とされておりますので、その展望等ございましたらお聞かせいただきたいというふうに思います。
○委員長(荒木清寛君) 安藤電気通信事業部長、簡潔に答えてください。
○政府参考人(安藤友裕君) お答え申し上げます。
 児童ポルノブロッキングにつきましては、先ほど申し上げましたような民間による自主的取組などの結果、平成二十五年八月時点で、このブロッキングを実施している事業者の国内インターネット利用者カバー率は八〇%となっているところでございます。
 こうした中、総務省といたしましては、今後、児童ポルノブロッキングの一層の普及を図っていく上で、特に中小のプロバイダーにおける自主的なブロッキングの導入が促進されることが重要であると認識しているところでございまして、こうした観点から、これまでの三年間の実証実験の成果を踏まえ、実証実験で得られた各ブロッキング方式の有効性やブロッキングの精度、導入、運用コストなど、ブロッキングの円滑かつ的確な導入に必要な情報を取りまとめたガイドブックなどを中小プロバイダーなどに広く普及することで、プロバイダーの規模に合った精度の高いブロッキング方式の自主的な導入を一層促進してまいりたいと思っておりますし、こうした取組による普及促進、あるいはその後の技術の進展、いろいろあろうかと思います。そういったところについては、またその必要に応じて的確な対応について関係団体とも協力しながら、専門的な知識を持っている団体いっぱいございますので、そういった団体とも協力、連携しながらしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
○谷亮子君 ありがとうございました。
 やはり、これからは更にそうした中小のプロバイダーの皆様、協力してくださる事業者の皆様の協力と、またそうした推進していくという姿勢が必要なのだということでございますし、またさらには、そうしたインターネット上の制度の問題であったり高技術な問題というのが年々発展してきていますし、日に日にこれは変わってきているという状況がありますし、取り消されてもまた更に再生していくというようなことで、非常に複雑多様化しているという現況がありますので、その辺も引き続き御検討と更なる取組をお願いしてまいりたいというふうに思っています。
 そして次に、警察庁にお伺いさせていただきたいと思います。
 警察庁の発表によりますと、二〇一三年度中の児童ポルノ事犯の送致件数は千六百四十四件と、前年よりもこちらは四十八件増加をいたしておりまして過去最多となっております。このうちファイル共有ソフトを利用した事犯の送致件数は五百七件を占めておりました。
 そこで、警察庁にお伺いさせていただきますが、総務省のブロッキング対策の実証実験において得られた成果などを踏まえた上で、ファイル共有ソフトの現況と課題、そしてまた今後の方針につきまして、その後どのように取り組んでいかれるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(宮城直樹君) お答えをいたします。
 インターネット上の児童ポルノでございますが、これにつきましては、まず削除ということを我々は考えてございます。これは警察による削除、それから警察の委託を受けたインターネット・ホットラインセンター、これより削除の依頼をするということでございます。
 その次に出てまいりますのが、今委員から御紹介ありましたブロッキングでございます。いわゆるこれはインターネットサービスプロバイダーによる自主的なブロッキングということでございまして、警察庁あるいはインターネット・ホットラインセンターでは、児童ポルノを掲載するアドレスの情報をこれらの団体に、あるいはISPにお伝えすると、そしてそこでブロックしなさいと、こういった形で支援をするという形をやってございます。
 しかしながら、先ほど委員からも御紹介ございました、このブロッキングによる対策が非常に困難なものとしてファイル共有ソフトがございます。P2Pでございます、ウィニー、シェアでございます。こういうものにつきましては、まずはこれは取締りだろうということで考えてございまして、先ほど委員からも数字の御紹介ございましたですが、最近では平成二十五年中に五百七件、二十四年中に五百十九件、二十三年中に三百六十八件と、どんどん数が増えてまいりますが、こういった数の摘発しておるところでございます。
 さらに、この取締りに加えまして、ファイル共有ソフトにつきましては、今ありました総務省、あるいはインターネットコンテンツセーフティ協会と連携いたしまして、プロバイダーの自主的な協力を得まして、このファイル共有ソフトのキャッシュフォルダからの流出、これは要するに、ファイル共有ソフトを入れているそれぞれの人のそのソフトの中にありますフォルダの中に児童ポルノが入っているという状況でございます。これを自ら削除してくださいと、こういったお願いをインターネットサービスプロバイダーについてお願いするという形の取組にしてございます。
 ただ、この児童ポルノでございますが、他の犯罪と同様、捜査手法でありますとか各種対策、ブロッキングもございました、こういったものの進展に対応して、向こう側といいますか、相手方も手口をいろいろ変えてございます、高度化してまいります。こういったものに対しまして、警察といたしましても、総務省を含め他の関係団体あるいは機関と協力いたしまして、時機を失せずに的確に対応できるように努力してまいりたいと、このように考えてございます。
○谷亮子君 ありがとうございました。
 やはりアップされた時点で警察としては削除していくということがまず取られる方法であるということが分かりましたし、今後、関係団体さらには関係省庁がやはり連携をして、警察庁とまた更に連携を密にして、その取組というのが行われていくということを期待申し上げてまいりたいというふうに思っています。
 そして、次に発議者の方にお伺いさせていただきたいと思いますが、今回の改正案では、七条一項に児童ポルノを所持した場合の罰則が新たに設けられましたけれども、所持をしている場合の罰則、刑罰についてはどのようになりますでしょうか、改めてお聞かせいただきたいと思います。
○衆議院議員(遠山清彦君) お答え申し上げます。
 刑罰、罰則の中身でございますが、これ、委員も先ほどの御質問の中で自らおっしゃっておりましたけれども、改正案七条一項は、自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持あるいは保管した者につきましては、そう認定された場合には、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処するという規定でございまして、いろんな見方あるかと思いますが、厳罰化させていただいたというふうに思っております。
 ただ、一点留意していただきたいのは、自己の性的好奇心を満たす目的に加えまして、この本罪が成立するためには、処罰されるという状況になるためには、今回の条文の括弧書きに、自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者ということで、自己の意思に基づいて児童ポルノ所持に至った場合に限定する、明確化するということもはっきりとさせていただいているところでございます。
 また、今回の法律は、施行されてから一年間はこの七条一項の罰則を適用しないということになっております。これは、立法者の趣旨といたしましては、今回の法改正の施行前から持っている児童ポルノにつきましては一年間罰則が適用されません、罰せられませんので、その間に廃棄等の処分をしていただきたいということでございますが、この一年間の経過措置の後に自己の性的好奇心を満たす目的を持って児童ポルノを所持をしていると、そしてそれが自らの意思で所持するに至ったということが客観的に証拠関係で推認される、認定されるということになった場合には、冒頭申し上げました罰則が適用されて処罰をされると、こういうことでございます。
○谷亮子君 改めて御説明いただきまして、ありがとうございました。
 今回一年の猶予があるということで、さらに、ただいま御説明していただいたとおりに、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金ということで、単純所持罪がこうして新たに設けられたという現況でございますが、もう一点伺いたいんですけれども、実務者協議におきまして、その点で、先ほどお話の中にありましたけれども、厳罰化についても十分話がされたというふうに思いますけれども、厳罰化というよりも適正化ですね、につきましては、こちら、実務者協議におきましてどのような議論が行われたのか、少し御紹介いただければと思います。
○衆議院議員(ふくだ峰之君) お答え申し上げます。
 衆議院法務委員会の理事会の下に置かれました児童ポルノ禁止法改正に関する実務者協議会、私たちでございますが、におきましては、自己の性的好奇心を満たす目的での所持罪のほか、実は盗撮による児童ポルノの製造罪というものも新設をしておりまして、こうした議論も行いました。
 既存の罪の法定刑の引上げに関する議論は、実は深く、深くといいますか、なされなかったのが現実でございます。これは、前回改正から十年が経過いたしまして、この間、インターネットの発達によりまして、先ほど来議論に出ておりましたが、児童ポルノの被害に遭う児童の数が増えているわけですよね。それで、児童ポルノの単純所持罪を設けるべきだという国際世論の要請もございました。ですから、一刻も早くこの単純所持罪を創設すべきという立場で実は私たちは議論を行っておりましたので、まずそれを早く解決しようということを先行させていただいたわけでございます。
 もっとも、先生も御指摘いただきましたけれども、この既存の罪の法定刑の引上げという問題は、私たちは認識していなかったわけではございません。ただ、この必要性を含めまして、この法案が通った後にでもまた、重要なテーマでございますので、今後の検討課題と認識をさせていただいているところでございます。
○谷亮子君 ありがとうございました。
 やはり協議の中ではいろいろな角度から、この厳罰化についてもそうですし、盗撮に対しても議論が行われたということで、今回、改正案が成立した場合には、その後にまた更にそうしたいろいろな部分での議論というのが深められて、そしてまたより良い法律ができていくということを期待申し上げてまいりたいというふうに思っております。
 そして、今後のそうした議論の中にも関係してくるとは思いますけれども、こちらは刑事局長に伺いたいと思うんですけれども、最近のこれは事例でございますが、栃木県の女児殺害事件の事例では、犯人とされる者が児童ポルノの画像等を所持しており、殺害した女児の写真を撮影しておりました。また、二〇〇四年に発生した奈良県小学校一年生の女児殺害事件におきましては、犯人が自宅に児童ポルノビデオを八十本から百本所持をしておりましたし、二〇一〇年に長崎県で女児五人に対して強制わいせつ罪で逮捕された犯人は、わいせつ画像を撮影し製造しておりました。また、二〇一一年に発生した熊本県の幼児殺害事件におきましては、犯人の自宅から少女の、こちらは服を着用していない姿を描いたポルノ漫画が多数押収されるなど、他の児童ポルノ画像を所持しているということも分かっておりました。そして、いずれの事件におきましても、わいせつ事件の強制わいせつ罪と殺人事件でございましたが、殺人罪のみが問われていたという事例もございます。
 そこで、児童ポルノの製造、所持などにつきましても一括して刑を量定し、併合罪として処断されるべきと私は考えるんですけれども、法務省としてはどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか、お伺いします。
○政府参考人(林眞琴君) お尋ねのような場合に、殺人罪の捜査の過程で例えば児童ポルノの製造でありますとか所持等が発覚すると、こういった場合があります。あと、こういったときにその両者の関係は併合罪という形になるわけでございます。
 こういった一連の複数の犯罪、併合罪をどのように捜査し処理するかというのは、もちろん個別の事案でその証拠等を踏まえて判断すべきことでございまして一概にお答えはできませんけれども、いずれにしましても、こういった一連の犯罪について犯罪ありと思料すれば、それを捜査を遂げまして法と証拠に基づいて適切に対処すべきものと考えております。
○谷亮子君 やはり併合罪として認めていくためには、児童ポルノとして被害に遭った児童、そして児童ポルノの被害に遭った児童が殺害されたということを何らかの形で立証しなければ、つながらなければ、それは一つずつの罪に問われるということになって個別の事案になるということでございましたけれども、やはりそうした併合罪ということが、それぞれによって法と証拠に基づいてそれは刑が決まっていく、罪が決まっていくということになっていくというふうに思います。
 私は、こうした立証をするということは、やはり児童を対象としておりますので、その児童がどれだけ話をするときに立証できるのか、きちんと的確にあったことを話ができるのかといったことにも非常に心配もしているし、疑問もあるわけでございます。
 そして、さらには、身体に障害のある児童である場合には、そうした児童ポルノの被害に遭った場合であったら、やはりなかなかそういったことを立証するには非常に難しい観点も出てくるということも考えておかなければならないというふうに思っています。
 ですから、この児童ポルノに対する今回の改正案でございますけれども、児童ポルノから更に殺人事件につながったというような本当に重大な事件に対しましては、やはりそうした併合罪、そしてさらには、またそうした立証の在り方、児童が実際に立証していかなければならないということに対して配慮が今後なされていかなければならないなというふうに改めて感じているところでございます。
 そして、今回、衆議院でも議論がなされまして、参議院の方でも議論がなされているわけなんですけれども、最後に谷垣大臣にお聞かせいただきたいと思います。
 現行の児童ポルノ禁止法は議員立法によって提出をされまして、谷垣大臣におかれましては、提出当時に閣僚をされていらっしゃいましたので提出者にはおなりにならなかったとはいえ、その基本設計に多大なる御貢献をされたというふうに理解をいたしております。今回の法改正につきまして様々な思い入れがおありであるというふうに思いますし、私といたしましては、児童が児童ポルノによって被害に遭った現実、そしてさらには殺人事件にまで発展したというようなことが今後やはりあってはならないというふうに考えておりますし、今回この改正案が成立した際には、今回の改正案が実効性ある法律として機能していくということを望んでまいりたいというふうに思っているわけなんですが、谷垣大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 法務大臣としては、こうして国会で熱心に御議論をいただいた成果、法律となりましたら、それを誠実に執行していくというのが、もうこれ以外のお答えはないんでございますが、今、谷委員から触れていただきましたように、私も当初からこの問題には関心を持ってまいりました。
 先ほど遠山衆議院議員から御答弁がありましたように、当初は、サプライサイドとおっしゃいましたが、供給者側ですね、供給者側をどう取り締まっていこうかと。これは当時は、子供の商業的性的搾取と闘う武器が欲しい、こういう気持ちが非常に強うございまして、子供の商業的性的搾取と闘うにはまずサプライサイドをどうするかという意識でございました。
 しかし、これだけインターネットが発達してまいりますと、いわゆるサプライサイドを、何というか、それに対して闘う武器を持つというだけでは必ずしも十分ではない。ですから、単純所持のようなものを取り締まるということができますと、より効率的な児童ポルノとの闘いができるのではないかと、私はこう思っているところでございます。
 今お話がありましたように、そういう小児虐待あるいは性的虐待を受けた子供たち、いつまでも児童ポルノというようなものがあると、そういう対象になった子供たちの健全な成長を阻害することはもちろんでございますけれども、子供を性の対象とするような風潮が広まるということは、谷委員が言われましたように、小児性愛者の凶悪な犯罪というもの等が起こってくるということと必ずしも無関係ではないのではないか、これは法務大臣としてそう思っているというよりも、私は一人の政治家としてそんなふうに思っているわけでございます。
 もちろん、今回御議論をいただきましたように、表現の自由とかそういう問題にも十分配慮していかなければなりませんけれども、やはり、こういう子供を性的商業的に搾取していく、性愛の対象として弄んでいくという風潮には私どもは断固として闘わなければいけないのではないかなと、こんなふうに感じているところでございます。
○谷亮子君 ありがとうございました。
 谷垣大臣からのお話の中からも伝わってくるように、今回の改正は未然の対策の改正でもあるということで理解をいたしましたし、さらには、やはり児童の立場に立った法改正であるということが明らかになったというふうに思います。
 私も、今回の改正案が成立した際には、実効性ある法律として機能していただくことを期待申し上げまして、質問を終えたいと思います。
 ありがとうございました。
○委員長(荒木清寛君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────
○委員長(荒木清寛君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、石井準一君及び山田太郎君が委員を辞任され、その補欠として長峯誠君及び行田邦子さんが選任されました。
    ─────────────
○委員長(荒木清寛君) これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、今回の児童ポルノ法改正案には反対の立場から討論を行います。
 児童ポルノは児童に対する最悪の性虐待、性的搾取であり、政府を先頭に社会全体がその根絶のため断固たる姿勢を示し、対策を強める必要があることは明白であります。その製造過程は無論のこと、インターネット社会において画像の流出は被害児童を著しく傷つけ苦しめ続けるものだからです。所持の禁止規定を置き、社会全体にその違法性を広く宣言することは適切だと考えます。
 しかしながら、本法案による単純所持の処罰化条項が、規制目的を達するために必要最小限のものと言えるか、その妥当性には疑問を持たざるを得ません。いわゆる三号ポルノの規定は、本法案で一定の明確化を試みられたものの、依然として不明確さを残しています。その単純所持を処罰することは恣意的な捜査を拡大するおそれが大きく、処罰する必要のないものにまで広範に捜査の網を掛けることが否定できないものです。個人の私的領域にまで捜査機関が踏み込み、冤罪を生むことも懸念されるからです。
 インターネット上の児童ポルノ画像のほとんどは単純所持を刑罰で禁止している欧米諸国から流出しているとの調査があり、それらの国々での処罰化は必ずしも効果的な歯止めとなっているとは言えません。
 今必要なことは、インターネット上への流出など、提供目的の行為を徹底して摘発すること、流出や被害実態の適切な把握と被害に遭った児童の手厚い保護です。警察による摘発と被害児童保護の連携を強化することを始め、政府の対策充実を求めるものです。
 本法の保護法益は実在する児童の自由と人格であり、この観点から、今後、法の名称についても、ポルノから被害実態をより適切に表す児童性虐待描写物などを検討し、その規定も、わいせつ性や主観的要素を構成要件とするのではなく、児童への被害の重大性を評価する必要があります。
 また、今後とも、表現物に対象を拡大することはあってはならないことを指摘し、反対討論を終わります。
○委員長(荒木清寛君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(荒木清寛君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、行田さんから発言を求められておりますので、これを許します。行田邦子さん。
○行田邦子君 私は、ただいま可決されました児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本維新の会・結いの党、みんなの党及び生活の党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
 一 児童を性的搾取及び性的虐待から守るという法律の趣旨を踏まえた運用を行うこと。
 二 第七条第一項の罪の適用に当たっては、同項には捜査権の濫用を防止する趣旨も含まれていることを十分に踏まえて対応すること。
 三 第十六条の三に定める電気通信役務を提供する事業者に対する捜査機関からの協力依頼については、当該事業者が萎縮することのないよう、配慮すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(荒木清寛君) ただいま行田さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(荒木清寛君) 全会一致と認めます。よって、行田さん提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、谷垣法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。谷垣法務大臣。
○国務大臣(谷垣禎一君) ただいま可決されました児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
○委員長(荒木清寛君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十六分散会

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